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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン

私の名は色情霊のミノムシ。

生きていた時の名は仲間義男と

呼ばれていた。

私は44歳という若さでこの世を

去ったのであるが生きていた時は

耳塚南高校で古典の教師をしていた。

悲しいかなこの世を去るまで独り身で

あった私はお金を払ってという

方法でしか女性を知らずして運悪く

交通事故でこの世を去った。

しかもソープランド帰りに

興奮し過ぎた私は職場である

耳塚南高校に忍び込み

運動系の女子の更衣室から

様々な宝物を盗みそれを

守衛に見つかり車で逃亡の挙句

廃病院である耳塚労災病院へ

突っ込み死亡。

全く持って自業自得の私の

不祥事は学校側の計らいで

ただの交通事故という事にされ

死してまで不名誉を受けることは

無くなった。

思えば私の短い人生の終焉を

あのような形で迎える羽目に

なったのは私が初めて副担任を

持ったあのクラスのある2人の生徒が

原因の様に思える。

指導力無しというレッテルを張られて

いた私は43歳にして初めて副担任を

持たせてもらいその年は意気揚々と

やっと私にも教師としての道が開けて

いくのかと未来は明るい物だと思えるように

なってきた年であった。

そして同じ国語教師の水嶋恭子先生38歳と

付き合いだし半ば諦めていた結婚も出来るのでは

無いかと思い私は本当に今までになくやる気に

満ち溢れていた。

この時はまだ私たちはプラトニック。

恭子先生とは肉体関係は無かったが

毎日響子先生が作って来てくれる

お弁当を頂けるだけで私は幸せだった。

私が副担任となったクラスは2年7組。

担任は学年指導も務める指導力の塊のような

中辻先生。

私より年下ではあるが既に学校を支配するほどの

影響力を持つ体育教官室の覇王と呼ばれている御仁。

当の中辻先生を見ていればそう呼ばれるのも分かるのだが

それでも私の先輩としてのプライドは傷ついていた。

初めて副担任にして貰った事は喜ばしい事では

あるが何故年下の中辻先生の下に付かなくてはいけないのか?

そして事もあろうか教頭は私に仲間先生も中辻先生の

指導力に生徒を掌握する方法を見習いなさい・・・

と苦言を呈される始末。

しかし私は耐えた・・・

愛する響子さんとその日を迎えるためにそして

来年こそは担任を持ち行く末は国語科の教科主任に

そして学年指導から教頭、校長の道を目指すべく

遅咲きであろうとかまわない。

そう思っていた。

そして私は副担任となったあの恐怖のクラス

2年7組であの生徒達と出会う・・・

仲代伸也。

木林博喜。

あの覇王中辻先生をして悪童どもと言わしめる

恐怖の生徒達。

しかし覇王ともあろうお方が何故か

この2人にはいつも寛大な大岡裁きを下し

気にいっているようにも見えた。

そうか・・・

彼等を掌握する事により

クラスの調和を保とうとしておられるのか?

さすがは中辻先生。

そして私も早速プライドもかなぐり捨て

覇王中辻先生を見習い彼等には

時には厳しく時には寛大に接しようと

考えた。

そして運命の修学旅行・・・

修学旅行は新潟県へのスキー旅行の

2泊3日の旅であった。

愛しの響子先生はこの学年の国語こそ

教えてはいるが担任でも副担任でも無い

彼女は引率の教師としての同行はできず

寂しいが少しの間は会えない事となる。

1日目の夜・・・

消灯の21:00になり私は男子の部屋に

見回りに行った。

海野に冨田に持村達が斉藤,堀垣外と言った

女子たちと楽しそうに怪談話をしてたのを

注意したところにあの2人木林と仲代が

部屋に帰ってきた。

今までどこに行っていたのだろうとは

思ったが私は優しく

「冨田君たちも木林君たちも

そろそろ寝るようにね。

女子は自分たちの部屋に戻りなさい」

と注意をした。

斉藤由紀子に堀垣外綾子そして

時枝理美などは不満そうに部屋から

出て行き、せっかくのお楽しみを

邪魔した私は勿論悪者。

これも辛いが教師の務め・・・

そう思っていたが冨田に海野あたりは

素直に言う事を聞いていたが今帰って来たばかりの

仲代が信じられない事を呟く。

「ヨシオ、ケチ臭い事言うなや~

自分モテへんからって

こいつらの邪魔せんでもええやないか~」

そして相棒の木林が仲代に続き

「ヨシオ先生って何か

ミノムシに似てるよな~」

それは関係ないでしょ!

と私が言おうとした瞬間周りに

居た生徒たちが爆笑して部屋を出て

行った女子たちもが戻ってきて爆笑しだした。

そしてその日から私は生徒たちに

【ミノちゃん】

と呼ばれるようになった。

私は怒りに任せて木林が手にしていた

カード麻雀を取り上げ中辻先生に

報告した。

「仲間先生!

仲間先生があいつらを

指導してくれても

良いんですよ!」

覇王こと中辻先生は

教員用の宿泊部屋で

浴衣で胡坐をかいて

そう言った。

私はその中辻先生が身に纏う

覇気のようなオーラのような

威圧感でビクついてはいたが

年下の中辻先生にここまで

言われてだまっていられるはずもなく

愛する恭子先生との明るい未来のために

教師として出世を目指すと決めたことだし

再度、2年7組の悪魔、仲代伸也と木林博喜を

呼び出した。

「先生麻雀返して下さいよ~」

木林がふてくされたように言っている。

「ヨシオそもそもケチ臭いんよ~

河下がケツオならヨシオはケチオやな!

ぎゃははははっ!」

やはりこの2人は全く反省して

いないようだ。

そもそも私と中辻先生は何が違うのだろう?

私には中辻先生の様にあの身に纏う王の如き

衣はない・・・

あれがあればどんなに便利だろうと思う。

そして若いがこの2人には何だか中辻先生程では

無いが似たような衣があるようにも感じる・・・

だから私は舐められているのだろうか?

いやしかし相手は16歳の子供だ・・・

私の半分にも満たない若輩者にこの

仲間義男舐められるわけにはいかない・・・

「木林君。

これは修学旅行が終わったら

帰すからね。

仲代君も君たち2人は修学旅行で

してはいけない賭け事をした罰として

今から1時間ここで正座していなさい。」

「なんでやねんっ!

もうそれ先生にやるわっ!」

木林が立ち上がる。

「ホンマ、ヨシオ

話せんわ~!」

仲代も立ち上がりそのまま

部屋を出ようとしたとき

彼ら2人の足が止まった。

「うおっ!

せっせんせい・・・」

「もげ~!!

何で先生いてんすかっ!?

先生のことやから

てっきりもう酒飲んで

寝てるかと思ってたわ~」

木林と仲代が中辻先生の気力に

押されてかその場に座り込んだ。

「キバ~!!!

ナカダイ~!!!

座る~!!!!」

2人は既に座っていた。

「お前らがなんか

しでかすか心配で

先生おちおち

酒も飲まれへん~!!!!」

いや中辻先生それは・・・

心配やなかったら飲むという

事では・・・?

「ははははっ!

先生結局飲む気やないですかっ!?」

木林が笑いながら正座している。

「ぎゃはははっ!

先生それなら俺らが付き合ったるわ」

「アホガ~!!!」

中辻先生が木林と仲代の

頭を叩いた。

「いって~

冗談やないっすか~」

「先生さすがに

俺らも先生の酒まで

パクリませんって~」

「お前らが二十歳になったら

いくらでも付き合わしたる~

嫌ていうほど付き合わしたる

から覚悟しとく~!!

わかったら正座1時間~!!!

終わったら行ってよしっ!」

「はい・・・」

この後2人は素直に1時間正座してから

頭を下げ部屋を出て行った。

修学旅行で起こったこの事件が

きっかけでこの後私は生徒達から

ミノムシやミノちゃんと呼ばれるように

なり恭子先生からは威厳の無い教師は

結婚対象では無いとふられた。

そして私は元のソープ通いが趣味の

やる気のない教師に逆戻りして

例の深夜に女子更衣室に忍び込み

逃亡の果てに廃病院に突っ込み死亡する。

死んだ私は廃病院に居た通称院長と

呼ばれる爺さんに色情霊として

ミノムシという命名を受け今に至る。

そしていずれは恭子さんの元に行く予定では

あったが何分ソープランド以外は経験の無い

私は様々な所を地場にしてせっせっと美女を

犯し続けていた。

そしてまた私の前にあの男が立ちはだかり

私を足蹴にしてあのサンハイツ鶴澤を

追い出されたのだ。

私は本当に今度こそこの色情霊で居ることすら

無理だと思い死んだと思った。

いや十分

今でも死んではいるのだが存在そのものが

霊体である事すら許される程のダメージを

受けたが奇跡的に色情霊としての体は為して

いた。

気が付くと私は元の廃病院で院長の前で

寝ていたのだ。

『色情霊ミノムシよ・・・

お前を蹴れる人がいるとはな・・・

奴は何者なのだ?』

「ひゃっひゃいっ!

私が生きていた時

教師をしていた時の

教え子です・・・」

『ふむ・・・・

名は・・・?』

「キバヤシ・・・

確かキバヤシヒロキ

だったと思います・・・」

『ふむ・・・・』

キバヤシヒロキ・・・

か・・・

ミノムシよ・・・

主が助かったのは運が良かった

だけ・・・

あの男が真の力に目覚めて

いれば主など跡形も無く散華させられて

いたであろう。

今後の主の行動については

世もとやかく言うつもりは

無い。

あの男に復讐したくあの男に

ゆかりのある女人を喰うもよし

色情霊として長生きしたくば

あの男には近づかぬ事を世は

勧めるがそこは主の好きにすれば良い。

それではミノムシよ・・・

励めよ・・・」

そう言って院長は目の前から消えた。

私は院長の忠告も有り難かったが

この仲間義男を2度も殺した

木林を許せなかった。

院長が言うように奴のゆかりのある

女子を喰いながら奴には会わないように

細心の注意を払う。

そして耳塚南高校時代に教師である

この私をバカにしていた女生徒への

復習もまだであった。

そして恭子先生・・・

木林っ!

次は私のターンだよっ!

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン 終わり⦆


私が根城にしていた

サンハイツ鶴澤を

憎き木林に追い出された私は

新たに根城とすべき住処を

探さなくてはならなかった。

院長が言うには私は色情霊で

ありながら1つ所に縛られずに

自由に動ける所謂、色情霊の

中でも亜種であるらしい。

そしてさらに院長が言うのだが

通常の色情霊は生きた人間と

まぐわらなくても散華さえ

させられなければ霊体として

浮遊し続けていられるが

私は少なくとも8日の間

に1度は生きた人間とまぐわる

必要があり生きた人間とまぐわらずに

9日目の朝を迎えてしまうと

自動的に消滅・・・

つまり散華してしまうらしいのだ。

これも色情霊の亜種ならではの

特性で自由にこの耳塚労災病院を

出れる事ができる代償のような物

であるらしい。

さて・・・

そんな色情霊ミノムシとして

死して新たな目標が出来た私なのだが

それにしても

あのサンハイツで犯したOLは良かったなぁ~

肉付きに感度は最高でした~

またあの子のような子を犯したいなぁ

と思いながら新しい根城を探す事と

木林への復讐、そしてあのサンハイツの

OLを犯してから既に5日が経過している

事を考えるとまずは最終の女子を犯した日から

8日の経過を避けるためにどこかで寄り道

して女子を犯しつつ根城を探すか・・・

ふむ・・・

今までは特に気にしていなかったが

この間まさかの木林に再開を果たし

思い出したが耳塚南高校の卒業生も

今や皆女子大生になっているわけか・・・

そう言えばこの身体になってからは

知り合いや顔見知りを犯した事は

1度も無かったが木林への復讐の前に

生きている時の教師時代に私を

小馬鹿にした女生徒たちに復讐してやるのも

良いかも知れないね~

そうと決まれば散歩をしつつ

私の教え子であった耳塚南卒業生が

今どこで何をしているか探してみよう。

そう思い私は耳塚労災病院を出て木の高さ位を

浮遊しながらとりあえずはあてもなく

徘徊する事にした。

私を馬鹿にしていた女生徒の代表は

川上裕美、斉藤由紀子、堀垣外綾子

このあたりか?

うん。

でも何も私を馬鹿にしていた生徒でなくても

とりあえずは私が副担任を持っていた

あのクラスの生徒に出会ったらやってしまおう。

外は今は16時過ぎかぁ・・・

少しこの耳塚市から出てみるか?

おっあのスーツ姿のお姉さん良いね~

おっあっちの主婦風の女性も良いですね~

買い物帰りかな?

こうして見ていると今までの様に

手当たり次第で付けて行って犯したくはなるが

まだ散華の日までは3日もある事だし

とりあえずは顔見知りを犯すという

新しい性癖に目覚めつつある私は浮遊中に

見つけた好みの女性に憑く事は堪え

知っている顔を探すことにした。

そしてフラフラと生きている人間どもを

眺めながら私は泉佐川駅で知っている顔が

通過するのを待つことにした。

すると微かに覚えのある顔が改札口を通過する。

紺色のスーツを着た若い女性だ。

髪を後ろに1つに束ねていて猫目の

あの可愛らしい感じの少し細身の女の子は

確か耳塚南高校で私が副担任を持っていた

クラスの生徒では無いが私が古典を教えていた

クラスに居た生徒だ。

たしか名前は西口・・・

西口真由佳・・・

陸上部のマネージャーをやっていた

という記憶がある。

あの木林めが所属していた陸上部の子か?

それなら十分価値があるではないか・・・

フフフッ・・・

この色情霊ミノムシの糧となってもらおうか?

西口さん。

そう思い私は紺色のスーツ姿で泉佐川駅の改札口を

出た西口真由佳に憑いた。

~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~◦~~◦~◦~◦◦~◦~◦

ふぅ~

短大に入ったばかりだのに・・・

もう就職活動せんとアカンなんて・・

そんな事聞いてない~

氷河期、氷河期とは聞いていた

けどここまでとはぁ・・

ヨッチャンやあっちゃん

のように四大目指せば良かったぁ

早く社会に出たいと思い

短大にしたんやけどぉ・・・

私は今、箱友短期大学に通い

簿記や会計ソフトに事務系で

使う表計算の勉強をしていた。

しかし年々新卒の就職率が悪化する中

まだ1年生だというのにもう就職活動で

就職セミナーに顔を出したりするよう

学校から言われている。

しかも就職セミナーに積極的に

参加している生徒程、来年のこの時期に

学校斡旋の優良企業に優先的に

推薦してもらえるとの事。

耳塚南高校の同級生の子達は四大に

進んだ子も多く良く今でも仲良くしている

子達からはサークルや合コンの話も聞き

凄く楽しそうにしている。

私の仲の良かった同じ陸上部の

マネージャーをしていたよっちゃんと

そのよっちゃんを介して友達になった

あっちゃんと3人でこの間カラオケに

行ったのだが2人共非常に楽しいキャンパス

ライフを送っているように見え羨ましく思ったものだ。

カラオケで少し酔ったよっちゃんが

あっちゃんが通う泉修大学の同じ学校

出身の冨田君と木林君の話をし出した時に

酔いの勢いでマイクで

「冨田のアホー!!!」

と叫んでいたよっちゃんを見て

変わらないなと思ったものだ。

でも私は既に社会人に向けて動き出して

いるので2人のようにテンションを上げたくても

何だか行くたびに就職の難しさを

思い知らされ社会の厳しさを思い知らされ

よっちゃん達と遊んでいても就職セミナーの

事が頭をよぎると憂鬱になる。

そして私も少し飲み過ぎてしまい

よっちゃんの真似をしてマイクで

「不景気のアホー!」

と叫んでしまい結局ストレス解消にはなり

良かったのだが・・・

就職に向けて既に戦っている私は

箱友短期大学に入学し日商簿記の3級は

合格した。

在学中に2級まで合格するのを目標にしている。

ITパスポートの資格なども合わせ取り

私は2年の選択科目で銀行業務検定も

2科目ほど取り地方銀行への就職を目指していた。

そのことを相談できる雰囲気でもなかったので

その日はよっちゃんとあっちゃんには

相談できる雰囲気でもなく

私も酔ってしまいお開きになった。

そして今日も就職セミナーに行ってきて

今年から1人暮らしを始めた泉佐川駅傍の

ワンルームマンションに今から帰宅する所であった。

家賃は親が出してくれているが

生活費や小遣いも欲しいので

今は夜に週3回だけここから

自転車で通えるテナントにある

楓というスナックでバイトをしていた。

優しい先輩も多く非常に働き易い職場で

私は楓のバイトが徐々に楽しみになって

来ていた。

それに飲みに来てくれるお客様の話を聞かせて

もらうのも社会人に向けての勉強になる。

そしてもう1つ面白い事は同じテナントの

ロビンフッドと言う店で同級生で同じ陸上部で

中距離を専門にしていた木林君もバイトして

いたのだ。

私は先輩の陽子さんに連れられ1度だけ

ロビンフッドに飲みに行った事があったが

木林君は少し見ない間に凄く大人になった気が

した。

それにロビンフッドの店自体が凄く大人の

雰囲気のする店で本当にドキドキした。

私は今度は一度1人で行ってみたいなと思い

楽しみにしてた。

そして今日はバイトの日なので部屋に帰宅した私は

2時間ほど仮眠を取り入浴を済ませ出勤する。

夕食は高校を卒業して少し太ってしまった

ので栄養補助食のビスケットを2つほど食べて

出勤する事にしていた。

服装は今の就職セミナーに通う為に作った

紺のリクルートスーツで良いよと

ママさんが言ってくれているので

このスーツで出勤してた。

もう1つ同じタイプの黒系のスーツもあるので

その2つを交互に来ているが陽子さんからは

「初々しくて良いね」

と言ってもらえたし

ロビンフッドに行った時に

偶然会った木林君からも

「西口さん大人やんっ」

て言われたが私から見れば年上の女性

相手に上手く接客できていた木林君の

方が余程大人に見えた。

それにあの綺麗な私のお姉さん的存在の

陽子さんを虜にしているなんて凄い!

心底そう思っていた。

そんな事を考えながら今日も楓への

出勤の為にひとまず就職セミナーの

為に着ていた紺のスーツを脱ぎ

白のブラウスも脱ぎ捨て薄い黒の

パンストを片足づつ抜くと私は

薄い黄緑色の下着のみの姿になり

仮眠をとる為にベッドに潜りこんだ。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン2 終わり⦆



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色情霊のミノムシ

こと俗名、仲間義男が

元教え子の西口真由佳に

憑いていた頃、同級生で

あり彼を何度も励まし支えて

くれた元陸上部のマネージャーが

ピンチという事も知らずに

この男は鼻の下を伸ばし

メガネを光らせていた。

「この気持ちを誰に

伝えてやろうかでっさ。」

俺の名前は北尾公貴。

今は泉佐川市にある泉修大学という

所で大学生と言うものをやっているのでっさ。

俺はつい最近、ある絵画のせいで

本当に酷い目に合ったでっさ。

その時は本当に酷い顔をしていた

らしいでっさ。

元高校の同級生で現大学でも同級生の

友人木林に言わせればその時の俺は

希望戦士ギャンダムに登場する

量産型スゴックのような顔色

つまりは真っ青な顔色をしていたらしいでっさ。

しかしその俺の量産型スゴックの

ような顔色も友人の木林を介し

同じく友人の武市、その武市が召喚して

くれたAYAさんというマイフェアリーの

尽力により今は元に戻っているでっさ。

その後俺は木林と武市に付き合いある店に

連れて行かれる事となるのでっさ。

俺の心をそれこそジャン専用スゴック

つまりはハッピーレッドに変えてくれた

店なのであるがその店の名は

「GENS,BAR」

と言うの名の洒落た店であったのでっさ。

初めて行った時には渋いマスターに

美女2人が俺を迎えてくれたのであるが

この時は武市に木林は途中でマスターの

伊田さんという渋い中年の男性に連れられ

途中で店を立ち去ったのでっさ。

その後の俺は美女2人とのハーレムを

満喫したのは言うまでもないでっさ。

無論翌日にそのハーレムを満喫した

代償は訪れたでっさ。

俺の耳は木林の手によりギャンダムに

出て来るジャン専用機カラーに塗装された

のは言うまでもない事でっさ。

しかし俺は19年間生きて来て

あのような楽しい空間がある事など

露ほども知らなかったのでその後も

武市や木林には内緒で通いつめて

いたのでっさ。

あれから毎日がパラダイス、つまり天国に

居る気分を味わっている俺に更なる幸運が

舞い降りて来たのでっさ。

ククククッ・・・

失礼・・・

今俺は笑わずにはいられない気分なのでっさ。

なあ読者様て~

俺には今誰かに少し聞いて頂きたい事があるのでっさ

俺には高校時代より密かな野望があったのだが

その1つに同じ陸上部の短距離パートで

俺と凌ぎを削って来た男。

武市より先に彼女を作ってやるという

壮大な計画を水面下で進めてきてはや4年。

いよいよ実現する時が来そうなのでっさ。

クククッ・・・

その経緯を話すとでっさ。

先週、武市と木林には勿論内緒で

GENS,BARに行くといつもの

お姉さんとはまた違うお姉さんが居たのでっさ。

その女人の名は

「リョウコさん」

と言うのだが・・・

これがまた俺好みの太川ふみよ並の

乳(にゅう)・・・

つまりバストを持っていて

その顔もふみよ似で俺は一目

見て衝撃を受けたものでっさ。

俺は思わずかけていたメガネを

はずし拭きなおして再度

彼女を直視したのでっさ。

メガネの度は狂っていなかったでっさ・・・

その日から俺はリョウコさんに

会いたくて毎日GENS,BARに通う日々でっさ。

うん?

金なら心配いらんでっさ・・・

俺はバイトと言うような事は

していないが飲みに行く金くらいは

潤沢に存在するものでっさ。

そして先週末の店が終わってから

俺はリョウコさんに誘われ

もう1件朝まで空いている居酒屋に

飲みに行きその翌日の土曜日に

デートをすることになったのでっさ。

リョウコさんは鍼灸師になる為に

鍼灸短大に通っている20歳の俺より

1歳年上のお姉さんなのだが何と

美術品に造詣が深く、元々は

美大に行くか鍼灸師を目指すかと

迷い実益を取り鍼灸師を選んだらしいのでっさ。

美術品には目が無いこの俺とは元々

話が良く合ったのでっさ。

俺はこの日美術館デートを

経てついには彼女とお付き合いを

させて頂くことになったのでっさ。

今日で彼女ができて3日目でっさ・・・

クククッ・・・

そりゃ勿論メガネも新調したさ。

何せ俺は大手メガネスーパーを運営する

社長を父に持つのだからメガネの新調位は

毎日でもできるのでっさ。

そして今俺はこの1日中でも太川ふみよの

スコスコスーを歌いながら回っていたい

気分を誰かに伝えたくて仕方がなかったのでっさ。

電話をする相手の候補は2人・・・

武市か・・・木林なのだが・・・

木林にかけても羨ましがられる事はない

可能性が高いでっさ。

普通に祝福こそされる可能性もあるが

奴の機嫌が悪かったら家にまで俺の

耳をジャン専用機カラーに塗装しに

くる可能性もあるでっさ。

よし木林は却下でっさ・・・

俺は短縮ダイアルの武市の番号を

プッシュしていた。

ピッピッピッ・・・

トゥルルルル・・・・

クククッ

相変わらず色気のない

着信音でっさ。

今や俺の着信音は太川ふみよの

スコスコスーだと言うのに。

『もしもしぃ・・・・

おう北尾か?

どないしたんや?

また霊障とちゃうやろな~?』

クククッ・・・

武市め今の俺のこの

ハッピーな気持ちをお前は

知るまい。

いや言っていないのだから

当たり前か・・・

クククッ・・・

「なあ武市て~

お前の最近の調子はどうなんだ?」

霊障か・・・

あの絵画がもたらすパワーは

恐ろしかったが今や俺には

リョウコさんという女神が

ついているのでっさ。

霊障などおそるるに足らずでっさ。

『なんや。

お前いきなり電話

してきてっ

調子?

調子は良くないわよ~!

まあ自業自得もあるがな・・・

ちょっと色々あってな~』

クククッ・・・

武市めお前はどうも今は

不調と見えるがこの俺は

人生最良の時を迎えているのでっさ。

「そうか。

それは気の毒な事だな。

なあ武市て~

そう言えばお前にはいつに

なったら彼女というものが

できるのでっさ?」

『はぁ!?

お前何言うてんねんっ!

俺は今それどころじゃ

ないんやて。

そう言うお前はどうなよ?』

ククククッ・・・

「なあ武市て~

生きていれば必ず

何か良い事があるから

お前も頑張るでっさ。」

『はん?

なんやお前何か余裕そうな

口調や無いか?』

「なあ武市て~

この世には何故

男と女と言う相反する

属性が存在するのだろうな~

俺は毎日そのことを

考えながら生きていたさ。」

『いや・・・

北尾・・・

お前なんらしかの

霊障にかかってるやろ?

お前最近またややこしい

絵手に入れたりしてないか?』

「クククッ・・・

武市て~絵なら手に入れたさ

俺はつい最近

愛と言う名の絵を手に

入れ恋という霊障に

かかっているのかもな~

それではな。

武市お前にも必ず

幸せはやってくるでっさ。

アディオス!」

俺は電話の向こうから感じる

激しい怒気などには全く

気づいておらずにただ幸せな

気分を武市に分け与えてあげれた

満足感で一杯であったのでっさ。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン3(ちょっとだけ北尾のターン)終わり⦆



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19:00の目覚ましで

起きた私はとりあえず

シャワーを浴び身支度を

整える。

スナック楓のバイトに行く為である。

陽子さんに教えて貰った

最近のおじさん受けする化粧を

すると私は昼の就職セミナーに

着て行った方とは違う方の黒系の

スーツに身を包んだ。

化粧は少し薄目で清楚感を

出すようにする。

先輩の私の憧れる大人の女性の

陽子さんは

「まゆちゃんは

猫っぽく可愛い感じだから

そのままでも良いくらいだけど

やっぱり夜のお店だし

ある程度の色気はあった

方が良いと思うのよね~

髪は今の感じで黒髪のままに

しておかなければならないなら

化粧も薄目で後は服装で

勝負ねっ

リクルートスーツもこういう

店じゃ着ている人は少ないから

普通のOLがそのまま

帰りに働きに来た感を出せば

受けると思うよ~

丁度膝丈だし二折りくらい

すれば少し短めになるから

おじさん受けするよ~」

とのアドバイス通り私は

楓に出勤時は就職セミナー用の

スーツの腰の部分を2回程

折り込んで短めにしていた。

一応まだ暑さも残るので

就職セミナーならパンストを

着用するが楓には陽子さんを

見習い素足で出勤する。

私は身支度が整うと

部屋の明かりを消し

バイト先の楓と言うスナックが

あるテナントに自転車で向かった。

そういえば・・・

ここ3回陽子さんは出勤日なのに

来ていない・・・

ママが言うには体調不良との

事らしいけど陽子さんが居ないと

お店は本当に寂しかった・・・

そう言えばロビンフッドで

バイトしている木林君って

陽子さんと一緒に陽子さんの

車で出勤しているらしいのだけど・・・

陽子さんが本気で木林君を

気にいっているみたいなのよね・・・

今日お店早く上がれたら私も

ロビンフッドに顔を出してみようかしら?

木林君に陽子さんの事も聞いてみたいし・・・

そんな事を考えながら自転車をこいでいたら

あっという間に楓のあるテナントビルに着く。

「おはようございますっ!」

私はいつも通り元々小さな声しか

出ない声を精一杯張り上げて挨拶を

しながら店のドアを開ける。

「おはよう~まゆちゃんっ

今日も可愛いわね~」

「まゆちゃんおはよう~

今日も陽子ちゃん来れないみたい・・・

っていうか携帯が繋がらないんよね~

本当にどうしたんやろ?」

茜ママと静香さんが先に店の

準備をしながら私に応えてくれる。

私も化粧品や財布に携帯などが

入っているバッグをバックヤードの

ロッカーにしまうとカウンターに

出て行きテーブル拭きを手伝いながら

茜ママと静香さんに応える。

「陽子さん私がかけても

やっぱり出ないんですよ~

何かあったのでしょうか・・・」

不安そうな表情で私が茜ママと静香さんを

交互に見ながら言った。

茜ママは28歳で元々蜘蛛取の

ヨンチェリーというテナントの

スナックで働いていたが26歳の時に

自分の店を持ちたくてこの楓をオープンしたらしい。

私から見れば凄く大人の女性で

色気もあり綺麗で学ぶことも多い。

凄く私を可愛がってくれるし

本当に良い人である。

男兄弟しかいない私には陽子さんや静香さん

同様姉のような存在でもあった。

静香さんは陽子さんより2歳年上の

27歳で陽子さんと同じく貧乳の私からすれば

羨ましい限りの立派なバストを持っている。

陽子さんよりも酒乱の気があり

静香さんは酔うといつも

私の小さな胸を

揉まれると大きくなるのよ~

と言いながら触ってくるのが困った人でも

あるが根本的に姉御肌で面倒見も良く

入店当初に私がボックス席で

ゲンジさんという地元密着型の建設業者の

社長さんにスカートの中に手を入れられ

抵抗もできずに泣いてしまった所を

「まゆちゃんばかりじゃなく私も触って~」

と身代わりになり助けてもらった事も

あり本当に感謝していた。

あと今日は出勤していないが私と同じ

短大生の1年生で雪ちゃんと言う子も楓の

スタッフである。

開店準備も終わり20:00を超えたが

今日はお客様がまだ来ない。

早い日であれば20:00丁度に

カウンターが埋まる事もあるが

今日は出だしが遅いのかな?

と思いながらママと静香さんとの会話を楽しむ。

茜ママはお客様が居ない時はいつも

カウンターの前に座り私たちの話し相手を

しながら焼酎を1人飲んでいる。

この人は本当にお酒が好きなんだぁ

茜ママにはこの仕事天職だよね~

そう思いながら私は茜ママと静香さんの

話を聞いていた。

「あの下の店の男の子?

ヒデ君?

高い歌が得意のちょっと

不良っぽいけど

意外と礼儀正しい子?」

「はい。

知ってますよ~

私もロビンフッドは

たまに行っていますから~」

ママが言っているのは多分

木林君の事かな?

そう言えば本名では働いて

いないみたいだし1度だけ

陽子さんに連れられて行った時も

確かお客様にヒデ君と呼ばれていたような?

「あっそうなの?

静香ちゃんも知っているんだ?

あの子確か陽子ちゃんと

仲良かったよね?

一緒に出勤したりも

していたみたいだし」

「陽子ちゃんはああいう

子好きそうやからね~

あっでもまだエッチは

出来ていないみたいですよ~

ヒデ君意外と堅いのかも?」

えっえっ・・

そういう話っ・・・

私は同級生の木林君とお姉さん的存在の

陽子さんのディープな話をする

2人の会話に恥ずかしくなり頬を赤らめながら

聞いていた。

「もう~静香ちゃんは

少しはエッチから頭切り離しなさい~

あのね。

私が言いたかったのは

そのヒデ君なら

陽子ちゃんがどうなったか

何で連絡つかないかって

知っているんじゃないかな~

って思ってね。」

茜ママが焼酎を飲みながら

脚を組み替え静香さんを見る。

肩が完全に露出された膝丈の

セクシーなドレス姿の茜ママは

お客さんが居なくてもその仕草だけで

充分色っぽく見えて羨ましく思う。

「あっそうやね~

ホンマや~ママ頭良いっ!

じゃあ私今日店終わったら

ヒデ君捕まえて尋問しちゃいます~」

えっ?えっ?

静香さんっ尋問って・・・

「ハハハッ

もう静香ちゃんが言うと

エッチな尋問に聞こえるわよ?」

「吐かなきゃ犯すから

そうかも?

ははっ

冗談ですよ~

陽子ちゃんのお気に

の子に手つけたりせ~へんですよ」

あぁ・・・

冗談かぁ・・・

良かったぁ・・・

って木林君と静香さんが

そんな事したとしても

私には関係ないか?

そう思いながら勝手に顔が赤く

なっていた私は

「あっあの・・・」

「どうしたの?

まゆちゃん」

途中で話に割り込んだ私に

茜ママが優しく微笑んでくれる。

「その・・・

ヒデ君・・・

なのですが・・・

実は私の高校時代の

同級生なのですよ。

部活も同じでしたし・・・

それで陽子さんの事が

心配でしたから

私も今日お店が終わった後

木林君・・・

あっヒデ君に陽子さんの

事知らないか聞きに行こうかなと

思っていたのですが・・・」

「え~!!!

そうあったん!?

じゃあまゆちゃんに

任せようっ!」

先に私の話に思いっ切り

喰い付いたのは静香さんであった。

「へ~そうなんだぁ

同級生で顔見知りなら

話しやすいかもしれないわね。

あっじゃあ

まゆちゃん今日はきちんと

12時までタイムカードつけて

おくから今から行って来て良いわよ。

どうせ今日何か暇な予感するし」

「えっ?

良いのですかっ!?」

私は驚いた表情で

茜ママを見る。

「うん。

陽子ちゃんの事は私も気になるし

その陽子ちゃんと仲良くしていた

ヒデ君がまゆちゃんの同級生なら

まゆちゃんに聞きに行って貰った

方が良いしね・・・」

「そうそうっ!

教えてくれなかったら

犯しちゃえっ!」

茜ママに続き静香さんがとてつもない事を言い

私は本気で恥ずかしがりながら挙動不審な動きになる。

「えっえ~!!!

そっそっそっ・・・

そんな事しませんよ~!」

「きゃはははっ!

まゆちゃん可愛い~」

静香さんが酔ってもいないのに

私に抱き着きキスをする。

「こらこら

静香ちゃん。

まゆちゃんへのセクハラは

その辺にして早く行かせて

あげなさい。

あっ・・・まゆちゃん・・・?

それとあなた最近何処か

心霊スポットとか肝試しの類に行ったかしら?」

茜ママが静香さんを止めてくれながら

妙な事を私に聞いて来た。

「えっえっ?

いえ・・・行っていないですけど・・・」

「・・・・・

そう・・・ごめんね。

変な事聞いて・・・

何でもないの気にしないで・・・・

それと・・・

静香ちゃんいつまで揉んでるの!?

やめてあげてね。」

気になる~!気になるよっ茜ママっ!

とは思ったがまだ私の胸を揉む静香さんの

手の方が気になり私は茜ママに何も

聞けずにそのまま静香さんの

「あはははっ!

は~い。

じゃあまゆちゃん

陽子ちゃんの情報お願いね~」

という言葉に店を送り出された私は

ロビンフッドへ1人で元同級生に

先輩の安否を確認しに行く事となった。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン4 西口真由佳の章 終わり⦆



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私はアルバイト先の楓を

出るとエレベーターで3階に降りた。

3階にはお店が2件あり1つは

ロゼという女の子がお客様の

隣に座りお話をしながら飲むという

スタイルのお店ともう1つは私の

行先である女性客を男性がおもてなし

してくれるロビンフッドがある。

私の耳塚高校時代の同級生にして

陸上部の同僚でもあった木林君も

アルバイトをしていて彼は私の

バイト先の楓の先輩にしてお姉さん的

存在の陽子さんと仲良くしている

のでここ最近全く連絡がつかなく

なりお店にも出勤して来ない

陽子さんの事を聞く為に楓のママの

計らいで私はお店を早く切り上げ今から

木林君に会うためにロビンフッドのドアを

開けようとしていた。

カランカラン♪

ドアを開けると耳障りの良い

透明感のある鈴の音が聞こえる。

中を見るとカウンターに女性2人組の

お客様が居るだけでカウンター内に木林君と

マスターらしき男性にもう1人20代

後半くらいの男性も居た。

「いらっしゃいませ~」

3人の男性が私に声をかけてくれるが

何だかこういう店に1人で来るのは恥ずかしく

俯いてしまう。

「いらっしゃいませ。

確か・・・

楓の真由佳さんでしたよね。」

カウンターからマスターさんが

出て来られて私をエスコートして

くれる。

「あっはい・・・」

「今日はお1人ですか?」

笑顔で爽やかに私の前まで来て

手の平で店内を差し案内してくれる

仕草が凄く様になっていて

大人の雰囲気を醸し出していて

かっこよく思う。

やっぱり同級生の男の子達とは

違うなぁ・・・

感心しながら店内に歩を進めずにいる

私にマスターさんは

「以前は陽子さんと

ご一緒に来て下さいましたよね」

とさらに笑顔で声をかけてくれ

私も1歩2歩を店内歩を進めながら

カウンター内の木林君と目が合う。

「あっはい・・・」

木林君は笑顔でカウンターに座る

お客様と話をしながら私を見て

少し暗い表情になったのに私は気づいた。

私が1人で来ることが私の事を少しは

知る木林君からすれば私の行動らしく無いと

思ったのだろう。

そして陽子さんの事が原因でお店に来たと

察してくれたのかも知れない。

「それでは真由佳さんは

今日はカウンターでは無く

こちらで楽しまれますか?

少ししたらヒデ君を付けますので

それまでは私がお相手させて

頂いて宜しいですか?」

マスターに案内され私はボックス席に

座った。

「あっはい・・・・

ありがとうございます。」

マスターが一旦カウンター内に戻り

氷と陽子さんがキープしている

楓と言うネームプレートのかかる

ブランデーのボトルを持って来てくれた。

「楓さんのボトルですが・・・

まあ主に陽子さん用ですがね。

こちらでお作りしても

宜しいですか?」

マスターさんの手際の良さを同業者で

ある私は見本にしたいなと思いながら

見ていた。

「あっはい・・・

すみません・・・

それでは少し薄目でお願いします。」

私はボックス席の奥にバッグを置き

スーツの上着を脱ぎバッグの上に

かけようとするとスルッとマスターの

奥から手が伸びて来て

「お客様こちらで

おかけしますね。」

と木林君が私に真剣な表情だが

目だけが笑ったおそらく笑いを

堪えながら言いながら私の黒の

スーツの上着を半ば強引に奪い取った。

私も陽子さんの事があり少し気持ちが

重かったが笑いを堪える木林君を見ていると

私も何故か笑いを堪えるような感じで

「はい。

お願いします」

と言ってしまう。

するとマスターさんが

「ヒデ君。

カウンター様一段落したら

こちらのボックス席と

交代してね。」

と言ってくれた。

私も同級生の木林君をわざわざ

指名するのも恥ずかしかったので

マスターさんが私が木林君に会いに

来た事を察してくれたのか

有り難い配慮に無意識に

マスターさんに頭を下げていた。

しかも最初から木林君を付けられたら

カウンターにいるお客様に私が嫌な

感じに見えたかもしれないが

マスターさんがワンクッションを

置いてくれたことにより極自然に

指名もせずに目的が達成できることが

有り難くこのマスターさんは本当に

プロだなと感心させられる。

「真由佳さんは

こうして見ると

うちに来て下さる仕事帰りの

OLさんの様に見えますね。

黒のスーツが凄くお似合いですよ。」

マスターさんが私の前のコースターに

注文通りの薄い水割りを差し出しながら

爽やかな笑顔でそう仰った。

「えっ・・・

あっ・・・はい・・・

これ就職セミナー用に

作ったスーツですので・・・」

何故か緊張してしまいながら

答えてしまうのは私がまだ接客を

するのもされるのも慣れていない

事に他ならないからである。

「あっ真由佳さんは今

女子大生でしたよね?

それで就職活動ですか~

ビジュアルは完全に何処でも

採用されそうですよ~

清楚な感じが本当に素敵です」

こんな大人の落ち着いた男性に

仕事とは言えここまで褒められると

悪い気もするはずも無く私も

照れながら薄い水割りが注がれた

グラスに口をつけるペースも早くなる。

「いえ・・・

私まだまだ何もわかっていなくて

楓でも日々社会勉強をさせて

頂いています・・・」

そんな感じでマスターさんの大人の接客に

ドキドキしながら木林君を待っていると

私が店のドアを開けた時と同じ音が店内に

鳴り響く。

カランカランッ♪

「おはようございます~!!」

お店のスタッフの人が出勤してきたのだと

あまり気にせずにボックス席に座り

私のお尻に引っ張られ腰で折っていた

スーツのタイトスカートがかなり

上まで捲れ上がってきていたのでスカートの

裾を引っ張り座りなおしていると

「あ~!!

西口さんっ!?

西口さんやんっ!!」

私の頭の上の辺りで凄く大きな声で名字を呼ばれる。

バチンッ!!

するとカウンターからこちらに

出て来ていた木林君がその男性の頭を叩いた。

「お前声でかいねんっ!」

私も振り返りそのやりとりに注目すると

「あっ・・・

石藤君・・・?

石藤君もここで働いていたの!?」

「やっぱり~

こんな猫目美人は西口さんしか

居ないと思ってたけど・・・」

「ハハハハッ・・・

3人はそう言えば同級生だったね~」

マスターさんがそのやり取りを

見ながら笑顔で温かい目で見ながら

席を立った。

「あっマスターすみません。

代ります。」

木林君がマスターさんと入れ替わりで

マスターさんが座っていたテーブルの前の

四角椅子に腰を掛けた。

木林君に頭を叩かれていた石藤君は

マスターさんに肩を抱かれてカウンター内に

入っていき

「恵さんっ朝子さんっ

いらっしゃいませ~

来てくださっていたのですね~」

「あっケイスケ君~

今日も何やらかしたの~!?

早速ヒデ君に突っ込まれてなかった~?」

何だか楽しそうにやっている・・・

まさか木林君だけでは無く吹奏楽部で

私も1度高校時代に同じクラスになった

事もある石藤君にまで会うとは思わなかった。

先程までマスターさんが私を接客して

いた席に座った木林君は接客中のカウンター内で

居た表情とはうってかわって真剣な表情に変わり

私を見る。

そしてカウンター内の騒がしい声でかき消され

私にしか聞こえないくらいの小さな声で

「西口さん・・・

俺が恋しくなってきたんや

ないよなぁ?」

と真剣な顔で冗談を言うあたり

変わっていないなあと思い

少し吹き出してしまうが

「その方が良かったよ~」

と私も同級生が付いてくれた

事により少しリラックスしてきて

グラスも進み先程までのかしこまった

お行儀のよい姿勢は崩しボックス席の

ソファで足を組む。

木林君は仕事中なのでお行儀よくして

くれているのを見て高校時代からいつも

尊大な態度で同級生に接していた木林君に

少し優越感を感じおかしくなる。

「やよなぁ・・・

陽子さんの事か?」

木林君の表情が一気に曇ったのを

感じ一瞬浸ってしまった優越感も

一気に冷めて行き私は嫌な予感しかしなくなっていた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン5 西口真由佳の章2 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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