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扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド

俺は大学の授業を終え今日は

まっすぐ帰宅し実家で風呂と飯を

済ますとバイトへ行く為に準備をしていた。

「いっつも黒ばっかりやって

マスターとか浩二さんに

突っ込まれてるけど・・・

俺実は服って黒しか

持ってへんよな~

着たくないのに

別の色買うのも

この木林のポリシーには

反するし・・・」

俺は実家の2階にあるマイルームの

クローゼットにズラリと並ぶ黒の

Yシャツに黒のカーディガン

黒のチノパンに黒の革のパンツなどを

見ながら独り呟いていた。

「今日はヒカルさんは

来る予定無いけど・・・

芳恵さんと幸子さんが

来るから・・・

あの2人はヒカルさんより

さらに大人やさかいな~

ちょっと今日はスーツでビシッと

決めたろかっ」

黒である事には変わりは無いが

俺は黒のカッターに上下黒の

スーツに身を包むとネクタイだけは

赤色の物を締め自宅を1階に降りた。

「ヒロキ~

あんたなんちゅう恰好してんよっ

何処に行くんや?」

実家の母は俺がバイトをしている

事は知っているが何のバイトを

しているかまでは知らないので

この服装を見て驚いている。

「バイトやって!」

「バイトてあんた

何のバイトしてんよっ!

ややこしい事に首

突っ込んでんちゃうんやろね?」

まあオカンがこう言うのも

解るがオカンに言われると

煩いだけである。

「なんや

ややこしい事って

普通のバイトやよっ!

接客や接客!

俺は時給でチマチマ働くのが

嫌なんやっ!

無能な輩と横一線の

同じ給料で働けるか~よっ

俺は今この身一つで

歩合給というやればやるだけ

金になる仕事をしてんねんっ!」

「それがややこしいって

言うてんやんかよっ!」

「もうっ!うるさいな~

オカンみたいな昭和初期の

人間に言うても解らん世界で

俺は生きてんのやっ

ほな行ってくるわっ!」

俺は玄関口でガミガミ煩い

オカンを何とか巻いて俺の

バイト先がある空港連絡道の

大きな高架がある下から少し

逸れた所にある繁華街。

フォックスタウンという

飲み屋街のテナントが立ち並ぶ

場所へ向かう為に同じ飲み屋街の

別の店で働く陽子さんに連絡を

していた。

陽子さんはヒカルさんと同じ

元体大生で体大卒業後も

この町に住み続けOLをしているのだが

大学時代の名残で週に3度ほどは夜も

スナックでバイトをしていた。

「もしもし~

陽子さん・・・

俺です。

ヒデです。」

陽子さんとは陽子さんが自分の店を

終え俺がバイトするロビンフッドに

客として来てくれたことにより

知り合ったので陽子さんには

ヒカルさんと同じくヒデと名乗っている。

「あっ

ヒデ君~

私も今バイト行く準備

終わったから今から迎えに

行くね~」

俺は陽子さんがバイトがある日は

同じテナントで働く仲なので

陽子さんの車で迎えに来て貰うように

なっていた。

「あっホンマ

いつもすんません。

ほないつもの所で

待ってます。」

「うん。それじゃぁ

また後でね~」

陽子さんは明るい声でそう言うと

電話を切り俺はいつもの所

実家から国道へ歩いて行き

国道の手前の潰れた家具屋の前で

座りタバコを吸いながら待っていた。

すると若い学生らしき奴らが

2人近づいてきた。

「なんや。

お兄ちゃんら。

俺はヤンキー君に

知り合いはおらんで。」

若い学生服を着た2人は

顔を見合わせ何か言いたそうだが

モジモジ・・・

いやモジモジと言うよりは

モゲモゲしている。

モゲモゲとは俺と武市の間で

よく使う言葉でモジモジの

上位語に当たる言葉と

理解してくれれば解りやすいと思う。

「あの・・・

兄さん、耳南の木林さんっすよね・・・」

1人の見るからに頭の悪そうな

髪の毛の色をした学生が俺に

そう尋ねてきた。

「まあ。

もう卒業はしているけど

如何にもこの俺が木林やが

お前たちはこの辺の学生かね?」

「あっはい・・・

僕は迫言います。

兄貴が木林さんらの

同級生の・・・」

「あっ僕は

真谷です・・・」

頭の悪そうな髪の色をした

奴は俺の中学時代の

同級生の弟であった。

そしてその迫の弟の連れである

似たような格好をした俺の出身校の

制服を着た隣にいた奴が

シンタニと名乗る。

「お~お前

迫の弟か~?

兄貴は元気にしているかい?」

「あっはい・・・

兄貴は高校卒業して

今は既に空港で働いています」

「そうかね。そうかね。

奴はいち早く社会人か・・・」

迫の弟はそういながら

さっきよりモゲモゲしだして

いる。

(なんやトイレにでも行きたいんか?)

俺がそう思い気を効かせてやり

「迫ブラザー?

お前俺に声かけてきたんは

何か用があったんやろ?

兄貴が元気にやっとる

という事を伝えるためだけと

ちゃうやろ?」

俺がそう言うと

モゲモゲしていた迫弟より

さらにシンタニと名乗った

迫弟の隣にいる奴が迫弟よりモゲり出す。

迫弟がお前言えよっていう

感じにシンタニの背中をポンと

叩くとモゲりまくっていた

シンタニが口を開く

「あの・・・

木林さんって・・・

あの僕らの中学出身の

冨田さんと仲良いんすよね・・・

実は僕の姉が少し困ったことに

なっていまして・・・

その・・・

冨田さんにお願いしたい事が

あって・・・

それで木林さんに口をきいてもらおうと

思いまして・・・」

とモゲりまくっていた

シンタニが話し出すと早口で

余程話すことが苦手なのか

一気に所々でつまりながらも

まくし立てるように話す。

すると迫弟がフォローするように

「あっ木林さん・・・

こいつの姉貴

今木林さんらが

通っている大学の3年生でして・・・

その・・・

彼氏と達磨亭ていう三滝町にある

心霊スポットに行ったらしいんすよ。

そこで何があったかは

こいつも僕も知らないんすが

何かその達磨亭から帰ってきてから

姉貴の様子がおかしくて・・・

それでウチの兄貴がそんな話の専門家は

冨田さんやと・・・

冨田さんはあのTVとかにも

出ている甲田福子さんの甥っ子さんやから

相談乗ってくれるんちゃうか?

て言うてまして・・・」

(なるほどな・・・

そういう事か・・・

まあこのシンタニ言う奴の

お姉さんが武市を紹介してくれ

一度デートしたいから言う話では

無いとは思ってたが・・・

そういう事なら口効いたらな

しゃ~ないなぁ・・・

しかし迫弟も見た目によらず

中々仲間思いやないか・・・

よしよしっ)

俺はフ~とタバコの煙を宙に吹き上げると

親指と人差し指でタバコを捻り

火を消しながら

「そういう事か・・・

それならお前の姉ちゃんは

何らかの霊障に脅かされてる

可能性があるなぁ・・・

その達磨亭言う所は

俺も行った事はないが

噂は聞いた事があるわ。

お前の姉ちゃんが様子がおかしくなった

というのを見てもまあ

間違いなく本物の心霊スポットやろうなぁ・・

シンタニ君っ

お前の姉ちゃんの様子を見に行くか

俺らがまずは達磨亭に乗り込むかは

どちらが先になるかは解らんが

武市には俺から連絡しておくわ。

君らどっちか電話持ってるか?」

さすがにまだこの2人が携帯を持っている事は

無いだろうと思ったが2人共

ポケットから揃ったようにスマートフォンを

出す。

俺は最近のガキは~親の金で~

と思ったが今のこいつらに説教をするのは

さすがに酷だと思い聞いたのも俺だし

とりあえずは

「ほな

これ俺の番号やさかい

武市と連絡が取れたら

また電話するから

シンタニ君。

お姉ちゃんには少し待ってるよう

言うといてや。

それとな・・・

一応毎日風呂に入る時は

粗塩を一掴み湯船に

入れてから長めに入浴するように

しておきや~

まだお姉ちゃんがどんな状況かも

解れへんけど一応な。

何もせんよりはええやろ。」

2人は口を揃えて直立で

「あざ~す!!」

と元気よく俺に頭を下げた。

そんな様子を少し見ていた

俺を迎えに来てくれた陽子さんが

クラクションを鳴らす。

俺は陽子さんに気づき

苦笑いで少し頭を下げると

迫弟とシンタニに

「ほな

また連絡するから

すぐに何とかしたり

たいんやが俺今から

バイトやねんっ!

必ず連絡するからなっ」

と言い残し陽子さんの

赤い車に向かい走って行った。

車に乗り込み陽子さんに

「すんません。

陽子さんいつもいつも

お迎えに来て頂きまして。」

運転席でかなり短めの白色の

スーツ姿の陽子さんは笑顔で

「ヒデ君なら何処まででも

迎えに行くわよ~

ふふふっ

しかしヒデ君って予想通り

ああいう子達の先輩だったわけ?

あんまり後輩いじめちゃダメよ~」

と車を発進させながら今度は

俺が説教をされている画になる。

「ちっちがいますって~!!

あいつらはまあ同じ中学の

後輩ですが虐めてたんやなく

頼みごとをされてただけですってっ!」

俺は変な誤解をされたら困るが

本当の頼みごとの内容まで話すと

もっと話がややこしくなるから

とりあえずの誤解だけを解くために

そう言った。

「へ~そうなの~?」

多分信用していないと思う感じに

陽子さんが笑いながら頷いた。

(あ~もうっ!

迫弟次に会ったら耳引きの刑

に処す!!)

と思いながらまあ良いかと思い

俺は陽子さんと俺のバイト先

ロビンフッドがあるフォックスタウンに

向かった。

そして迫弟たちは・・・

赤い車に乗る大人の美女が運転する

車に黒づくめのスーツ姿で乗る

兄貴の同級生の先輩・・・

「なあ・・・

迫~

ありがとうなぁ・・」

と真谷はもう見えなくなった

木林が乗って走り出して行った

車の方を見つめながらやっと

口を開く。

「ああ。

良かったなぁ・・

思っていたより怖そうな

人じゃ無かったし・・・」

と迫も同じ方向を見つめている。

「うん。

しかしあの人

一体何のバイトをしてるんやろ?」

と真谷はまだボーッと見えなく

なった車が走り去った方から

視線を外せずに居た。

「ホンマやなぁ・・・

あんな美人とあんな

服着て何の仕事

するんやろ・・・」

率直にそう思う若い2人組であった。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド 終わり⦆






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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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