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俺は迫弟達と別れると

陽子さんの車で俺がバイトする

ロビンフッドというレディースBAR

に陽子さんがバイトするスナック楓のある

テナントビルに向かっていた。

道中、迫弟達を虐めているように

見えたと陽子さんに弄られながら

車で12~3分くらいの場所にある

テナントの駐車場に着く。

ロビンフッドは3階にあり

楓は5階にある為、3階で

エレベーターが止まると陽子さんは

エレベータの中から手を振りながら

俺を見送っていた。

俺はバイト先のロビンフッドのドアを開け

「おはようございますっ!」

と挨拶をしながら店内に入ると

既に来ていたマスターが

カウンターを布巾で拭いている。

俺は焦って年長者のしかも

この店のボスであるマスターに

下々の人間がする仕事などさせれぬと

思い率先してマスターの所へ駆け寄り

「マスター貸してくださいっ!

拭き掃除なんて僕がしますからっ」

と言うとマスターは

「おうっ!ヒデ君おはようっ!

今日はまたビシッと決めて~

しかし相変わらず真っ黒やな~

はははっ

ああ拭き掃除は俺がするさかい

ええよっ

ヒデ君はお客さん来るまで歌の練習でも

しておき」

とカウンター拭き交代を却下された俺。

「いや・・・

しかしボスにこのような

下働きさせれませんって」

「はははっ

ヒデ君は確か元陸上部あったか?

礼儀正しいなぁ~

きっと社会に出てからも

その姿勢を貫いてたら

君は出世すると思うよ~

あっでもね。

この拭き掃除もトイレ掃除も

この店は俺がするべき事やねん。」

マスターは手際よくカウンター拭きを

終わらせると布巾をカウンター内の

水道で洗いながら俺を見てそう言った。

「いや・・・

カウンター拭きもそうですが

トイレ掃除なんて俺しますって・・・」

俺は何でマスターがこんなに

掃除好きなのだろうと思い

不思議でその理由が知りたくて

少し食い下がってみる。

「ヒデ君ね~

今のその律儀な姿勢を崩さないのは

社会に出てから大事やけど

もしかしたら君のポテンシャルなら

サラリーマンは向かないかも

知れないから将来俺みたいに店持つか

もしかしたらもっと別の自営をするかも

知れんな~

もしそうなったら僕の事思い出して

欲しいんやけどなぁ

会社も店も家もそうやけど

掃除は特にトイレはな

そこの主が掃除するもんなんやで。

そうすることにより店なら繁盛するし

家なら金回りも良くなるもんなんやわ。」

マスターは真剣に俺に自ら掃除を

率先してする理由を教えてくれた。

マスターは今37歳で20代の半ばくらいまでは

住宅メーカーの営業をしていて

トップセールスマンであると聞いた事がある。

その後会社勤めをしているのが

バカらしくなったという理由で

この店を始めたらしい。

経験のある職種での独立をしなかったのは

元居た会社の連中と業界で顔を

合わせるのが嫌だったという理由らしく

今のような女性向けのBARにしたのは

話す事だけは元々好きであったから

人と話す仕事がしたかったから

らしい。

そしてどうせ話すならおっさんより

レディの方が良いだろうと言う安直な

理由らしいが今マスターが俺に

話してくれた事は今後の俺の人生に

大きくかかわるくらいの金言になったと

俺はこの時思った。

マスターの有り難い言葉も頂き

今日は先輩の27歳の浩二さんと

23歳の修二さんがまだ来ないが

先にお客様がやってきた。

浩二さんも修二さんも昼も勤めているので

出勤はいつも開店後になる事が多い。

俺はカウンター内から

「いらっしゃいませ~」

と笑顔で入って来た2人組の

30代前半くらいのレディと20代半ばから

後半くらいに見えるレディに

おしぼりを差し出した。

「あれ?

久しぶりに来たら

新しい子?

店長?」

俺から見て右側に

座ったかなりエレガントな

黄緑色のスーツに髪や

胸元にも金色のアクセサリーに

宝石まで付いている物を身に着けて

いる女性が店長に話しかける。

「ええ。

ミナコさん。

最近うちに入ってくれた

期待の星のヒデ君です。

可愛がってやって

下さいね。

ヒデ君こちらミナコさんに

ユリさん。

オープン当時からお世話に

なっているお客様やから」

とマスターが俺を紹介して

後ろからマスターの手と

美奈子というプレートが

かけられたマーテルの

キープボトルが

出て来た。

かなり慣れてきた年上のレディの接客も

こんなエレガント貴婦人系は俺の担当ではなく

いつもはマスターや浩二さんが相手してくれる

事が多いのでさすがに俺も緊張しながら

「あっ!

先月から入りましたヒデですっ!

ミナコさん、ユリさん

宜しくお願いします!」

俺は今日ここに来る前に

迫弟達が俺にしたように

直立不動でお辞儀をした。

ミナコさんは30代前半くらいの

エレガント美人でその横に座った

ユリさんは紺系のスーツをビッシリ

着こなし20代後半くらいか眼鏡を

かけた言い方は悪いがエロDVDの

女教師物に出て来そうな感じの方だった。

「凄く若そうに見えるわね~

ヒデ君。

店長~この子金の卵よ。

大事にしなさいね。」

ミナコさんが俺の挨拶を受け

店長にそう言った。

「よろしくね。ヒデ君」

その後初めてユリさんが口を開いた。

透き通るようなクールな声が

俺のツボだが今は目の前のミナコさんの

何とも言えない威圧感に抑えられ俺は

色気という名の霊障にかかり動けずにいた。

「おっヒデ君。

ミナコ社長のお目にかなった

みたいやな~

さすがミナコさん。

この子は僕も期待していますよ~

うちの店ではなく

もっと将来のヒデ君に

期待しているんですがね。」

マスターが色気という名の霊障にかかり

金縛り状態の俺を

助けてくれてミナコさんとユリさんの

水割りを作ってくれていたが

俺もマスターに何をさせてるんだと

正気に戻り氷を入れアイスピックで

水割りのグラスを掻きまわすと

おしぼりでグラスを拭き美女2人の

コースターの上に差し出した。

「お待たせいたしました。

ミナコさんって社長さんなんですか?」

俺はグラスを差し出すと同時に

そう聞いた。

「ええ。

親がそうだったから

私もそうなっただけでね・・・

別になりたくてなった

わけじゃないのよ。」

大きな瞳で見据えられながら

少しブラウンのカールした

髪先も黄緑色のスーツの

中の白のブラウスの中の大きく開く

胸元も全てが学生の俺には

刺激が強すぎる。

「ヒデ君。

ミナコさんはね。

若耶麻にある江戸時代から続く

老舗呉服店の社長さんの1人

娘さんなんやよ。

ラッキーなことにまだ独身やで

そしてユリさんはミナコさんの秘書。

この町にも店舗があるんやで~」

秘書・・・

ユリさんは秘書か~

そう言えば秘書っぽい!なんか!?

本物の秘書を知らない俺は

この後秘書と言えばユリさんを

イメージしてしまいそうに

なるくらいユリさんの秘書イメージが

強く頭に残りミナコさんは呉服店の

社長さんと聞きその秘書のユリさんとの

ツーショットの刺激に19歳の俺は

こんな2人を満足させる技

俺にあるか~よっ!と思い

「そうなんですね~

何かエレガントで知的な感じが

しましたものっお二人ともっ!

僕お二人のような大人の女性を

満足させれる技まだ未収得ですから

何か歌わせて頂きます。

ミナコさんどんな歌が好きですか?」

「ヒデ君なら

そこに立っていてくれて

いるだけで良いですよ。」

とユリさんは怖そうな見た目とは

裏腹に優しい言葉をかけて下さる。

「まあ私もそんなに

気を使わなくてもて

言ってあげたいんだけど

ここは少し苦労をさせて

あげようかしらね?

ヒデ君が産まれた年の歌を

何でも良いから聞きたいわぁ」

とミナコさんがいきなり

無茶ぶりをしてきた。

(うおっ・・・

おっ俺の産まれた年の歌・・・)

「産まれた年にできた

歌ですかぁ・・・

すみません。

ちょっと探してみますね。」

俺はカラオケのデンモクで

自分の産まれた年

1975年に出来た歌を探し

学校の音楽の時間に習った

なごり雪をみつけて歌い出した。

予想外に忙しくなるこの日

俺は最初からエンジン全開の

接客をしていた事を後で

後悔することになるのだが・・・

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド2 終わり⦆



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ミナコさんとユリさんの

前で俺が産まれた年の

昭和の名曲

なごり雪をなんとか歌い終えた。

俺は歌っている最中に

店に入って来てくれた

最近では俺が担当になっている

芳恵さんと幸子さんという

2人共バリバリの

キャリアウーマンである

OL2人組に

BOX席で接客する事になった。

ミナコさんには

「ヒデ君頑張りなさい」

と激励を頂き

ユリさんからは

「ヒデ君

歌凄く良かったです。

あなたの事興味あるから

今度は1人できますね」

とBOX席に移動するように

マスターに指示を受けた

俺がBOX席に行こうと

カウンターを出た時に耳元で囁かれた。

(うお~エロ女教師全開やんけ~

ユリさんの色気はマジでやばいっ!!)

プライベートでこんなシュチュエーションに

出会いて~などと

そんな事を思っていた俺ではあるが

今は悲しいが仕事中。

ロビンフッドのヒデであるから

興味を持たれオカルト好きの

3流大学生の木林博喜に

興味を持たれたわけでは無いのだと

図には乗らずに姿勢を正し

「恐縮ですっ

ありがとうございますっ!」

とお辞儀をしてミナコさんと

ユリさんの接客をマスターと

これもまた俺が歌っている最中に

出勤して来てくれた左官業の

仕事をされている先輩

浩二さんが来てくれたので

浩二さんとマスターが色気美女

2人組の接客をしてくれることになった。

俺は最近ヒカルさんに継ぎ俺目的で

来てくれるようになっている芳恵さんと

そのお連れ様の幸子さんが

先に座っているBOX席に

行き膝をつき挨拶をする。

「芳恵さん、幸子さん

いらっしゃいませ。

今日は仰って頂いていた通り

来てくださって僕もめっちゃ

嬉しいですよっ!」

マスターや浩二さんのように

きちっとした挨拶ができない

俺だがマスターはヒデ君は

それで良いとお客さんもそういう

若干砕けた所に初々しさを感じ

指名してくれてるからと

言ってくれていたので浩二さんから

挨拶の仕方も習いキチンとした

挨拶も出来るようになっていたが

俺は俺らしく通していた。

「きゃ~ヒデ君~

今日も可愛い~

別の人と仲良くしていたから

やきもちやいてたんやで~」

多分居酒屋で食事がてら

飲んできた後に寄ってくれて

いる芳恵さんがソファに座る

2人の斜め前の四角の椅子に座る

俺の袖を引っ張る。

芳恵さんは26歳のOLで保険の

仕事をしていると言っていた。

見た目からもう派手な感じの

今日も胸元が開いた白の半袖ニットに

水色のかなり短めのタイトスカートに

素足とこちらも色気全開なのだが

凄く積極的なお姉さまで実はヒカルさんと

この店で知り合ったらしいが

かなり仲が悪く俺は2人が同じ日に

店に来ないように上手く調整していた。

幸子さんは芳恵さんより2歳上の28歳で

銀行員。

学生時代の先輩後輩の間柄らしいが

もう結婚して3年になるらしいが

こちらは芳恵さんに付き合わされて来ているようだ。

性格は芳恵さんと正反対で酔って

乱れてしまう芳恵さんの保護者役のような

感じに見える。

1度芳恵さんがお手洗いに行き

幸子さんが1人の時に俺も気になって

いたので

「幸子さん

無理してお店に付き合わされて

いるんじゃないですか?

ご主人もいらっしゃるのに・・・

大丈夫なのですか?」

と店の営業的にはそんな事聞いたら

アカンやろという事を聞いてしまったが

その時幸子さんは

「ウチも色々あるからね・・・・

私も楽しんでいるし良いの。

ヒデ君って優しいのね。

ありがとう。」

と飲んでもいつも素面な

幸子さんがしっとりと

応えてくれたあの時の寂しそうな

表情が何だか凄く大人を感じさせられ

幸子さんに興味を持ってしまった。

しかし芳恵さんが戻って来ると

幸子さんも芳恵さんを立て

俺との会話を控えるのだがそれは

それで寂しくもあるが実際俺を指名

してくれているのは芳恵さんなので仕方が無い。

幸子さんはいつも保守的な服装で

今日も紺色のリクルートスーツ姿で

来てくれている。

俺は

(ご主人居るのに・・・

帰宅せずに仕事帰りに

そのまま店に

来てくれてるのかな?)

と思っていたがそこは

聞けずに居た。

俺は芳恵さんに

大人仕様とバッチリ決め込んだ

黒のスーツの袖を掴まれながら

お二人の飲み物を作っている。

「なあなあヒデ君~

ヒデ君って心霊スポット

とか行った事ある~?」

(何!?

心霊スポットとな!?

芳恵さんアンタこの

木林にそげなツボな話を

振れるレディであったのかい?)

と仕事中でないならこのような

口調で瞬時に返していたであろう

俺だが今は一応仕事中で

接客中。

そこは俺もわきまえて

「心霊スポットですか!?

あっはい・・・

一応大学の友達にそういうのが

好きな奴が居まして・・・

(内心では自分も好きやろ!?

と突っ込むがここは一応

話の流れ上食い付き過ぎるの

も良くないな。とりあえずは

芳恵さんの話を全て聞くべきと

判断した俺)

そいつ見た目はただの

ゴリラなんですけどね」

と俺は食い付きたい衝動をずっと

堪えながら話を聞く体勢を整える。

「ふふふっ

そのお友達見た目ゴリラ

なの関係あるの?」

俺の芳恵さんへの返答に

芳恵さんの隣に座っている

幸子さんが先に食いついてくれた。

「ハハハッ

そうそうっ!もうヒデ君

さらっという事が私らの

ツボにいっつも入るんやって!」

俺は芳恵さんに背中を

バシバシ叩かれながら

(芳恵さんの背中叩き

あのアホのアズサより

痛いんよな~

てかアイツ最近学校

来てへんけどどうしたんやろ?

くしくも芳恵さんの言う

心霊スポットの八龍に

行って以来来てへんのが

気になるな~)

俺はよそ事を考えながら

既に酔っていて力の

加減が出来ていないアズサ

以上の芳恵さんの

平手を背中に浴びながら

笑顔で芳恵さんと幸子さんの

手前にあるコースターに

ブランデーの水割りを

作り差し出した。

「それでね。

ヒデ君。

そのゴリラ君とは

どの心霊スポットへ

行ったの?」

(もしや幸子さん

かなりのオカルト好きか!?

俺の完全な独断と偏見やが

切れ長の瞳をした美人は

オカルト好きもしくは霊感女の

可能性が極めて大という持論があるか

らなぁ

芳恵さんのようなテンション高い系

の可愛いタイプはあのアホアズサと

同じで霊感無しの怖がりで豚に

追いかけられるくらいが籍の山やがな)

そんな失礼極まりない事を考えながら

いつもはしっとりと大人しく

お酒をたしなむ幸子さんの切れ長な美しい

瞳が今日はやけに輝いている事に

同じオカルト好きを見つけた気持ちになり

俺は仕事ぬきにこの幸子さんへさらに興味を

持ち出していた。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド3 終わり⦆



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幸子さんが芳恵さんの横で

スラリと足を組みながら

少し前のめりになり俺に

質問して来た何処の心霊スポットへ

行ったのかと言う問いかけに

俺はここ最近ゴリラもとい

武市との行動を振り返った。

本来ならスカイハイツ鶴澤と

言いたい所であるが

あれは心霊スポットというより

ただのマンションで今も住人が

多数住んでいて俺の高校時代からの

武市との共通の友人の北尾が

霊障を受けた特異なマンションであるが

今は武市の叔母さんの甲田先生の

お弟子さんであるAYAさんという

一度はこの店に招き接客をしたい

美人霊能者により北尾の部屋に飾ってあった

絵画が原因で起きていた事と解り

完全には解決には至っていないが

とりあえずはスカイハイツ鶴澤自体は

心霊スポットでは無くなった。

となると俺が知っているではなく

行ったとなるとやはり

八龍か?

そう思い俺は

「そうですね。

僕が最近行ったとなると

八龍ですかね?

あの耳塚市にある

元は料亭旅館なのですが

大学の同じ科の選考の子が

僕の友人のゴリラに

連れて行ってと言ってきて

結局住所不定者まで連れて行くことに

なり最終的には5人パーティで

探検してきましたが」

俺が八龍に行ってきたことを

思い出すようにして話すと既に

酔っている芳恵さんは俺の背中を

バンバン叩きながら

「あはははっ!

もう~ヒデ君めっちゃ

おもしろいからっ!

何で住所不定者とか言うんよ~」

芳恵さんの攻撃力が

酔いと共に上がって来る。

これこそバッカスの力を借りた

バーサクという能力なのかい?

と思いながらも

今日はいつもの薄手の

黒のシースルー気味の黒の

カッターシャツで無くスーツなので

防御力はいつもより高めなので

まだ耐えれる範囲ではあるが

あのアホアズサが可愛く思えるほど

芳恵さんの張り手は痛い。

(そういや俺最近

マジで背中叩かれ率

高めやよな~)

そんなどうでも良い事を考えつつ

俺は既に空である芳恵さんのグラスに

これ以上背中叩かんどいて下さいという

念を込めながらバーサクの元を

注ぎ氷を足しマドラーで混ぜると

コースターの上に差し出す。

しかし俺の話にもっと食い付いたのが

多分俺の予想では切れ長瞳の霊感美女

もしくはオカルト好き美女である幸子さんが

足を組み替えながら

「芳恵ちゃんと同じく

私もそこ少し突っ込みたかったんだけど

ヒデ君っ八龍に行ったんだ~

ゴリラ君と・・・

どうだった?

面白かった?」

そう来るのかい!?

お姉さまっ!

心霊スポットに行って面白い?

などと聞いて来るのはかなりの

好事家である証拠である。

普通は怖かった?

とか何か見た?

とかでしょ!?

そうかい!そうかい!

幸子姉さまっあなたも

かなりの好き者のようで

と内心ほくそえみながらも

「そうですね~

まあ一緒に行った

メンツ的には面白く

なってしまわない

方が不思議というメンツ

でしたからまあ・・・

面白かった事には

変わりはないのですがね・・・・

ははっ」

芳恵さんはついに

酒がまわりすぎたのか

それともここに来るまでに

飲み過ぎていたのか

はたまた俺を叩き過ぎて

疲れ立てたのか今度は

幸子さんの腕に絡みつくように

なり寝てしまった。

幸子さんはそんな

芳恵さんの頭を撫でながら

視線は俺を見据え

「へ~

そう・・・

面白かったのね~

あのねっ

実は明後日の

土曜日の夜なんだけど・・・

私ねこの芳恵ちゃんと

後まだメンバーは正式には

決めていないんだけど

ちょっと余興でね

心霊スポットへ行って

みない?

という話になっているのよ~

1人は多分うちの弟を

連れて行くんだけど

それでね場所はヒデ君が

行った八龍か

それとも三滝町にある

達磨亭を考えていたんだけど

ヒデ君どう思う?」

やっぱりか~

やっぱりやんな~

てか八龍はアカンでしょ!?

余興で行くほどの

レベルちゃうからっ

あの変なジジイとかに

出くわしたらどんなことに

なるか・・・

それにあれ以来武市も体調悪い

みたいやしな~

アホアズサも学校け~へんし・・・

どないしたにゃろ?あいつ・・・

週末あいつのアパートに

乗り込んでみるか・・・

それでもう1つが達磨亭って

今日店に来る前に迫の弟が

言うてた所か・・・

う~ん・・・

どっちもモノホンやん・・・

達磨亭は迫の弟の友達の姉ちゃんが

霊障にかかってる感じやしなぁ・・・

俺は幸子さんがいくら

好事家でも危険と解っている

場所へこの霊感ゼロで霊的知識もゼロっぽい

芳恵さんと好事家ではあるが

霊感は未知数だが霊能力者という

事は無いだろうと感じる幸子さんに

その弟さんを行くように勧める事はできず

「もう1つは達磨亭ですか~

う~ん・・・・

僕が行った感じでは八龍はマジで

ヤバイ所やと感じました。

一緒に行ったゴリラは変な霊障を

受け今まだ苦しんでいますし

もう1人一緒に行った奴が

それ以来もう4日も学校に

来てないんすよ~

だから興味本位とか

遊び半分なら八龍は進めれないですよ~

もう1つの達磨亭は僕も行った事が

無いのですが・・・

その達磨亭の噂なら聞いておりまして・・・」

幸子さんがいつもより

真剣な表情になり

自分の久の上に寝かせていた

芳恵さんをそのままソファに寝かせ

芳恵さんや幸子さんが座っていた

向かい側のソファに移動し

より俺に近い場所で

膝と膝が当たりそうなほど

近づいて来る。

「うんうん。

八龍は危険か~

行きたかったけど・・・

でっ達磨亭はどうなの?

どんな話を聞いたの?」

表情は真剣だが目が輝いている

いつも美人だが何かオカルト話を

聞いている幸子さんはより一層

美しく見えるのは気のせいだろうか?

人は好きな事をしている時が

1番輝きかっこよくも見え

美しくも見えるというがこの人に

取ってのそれはオカルト話であるのか?

そう思うほど年上でしかも人妻であり

銀行員である幸子さんの京風の美しい顔は

店の薄暗い雰囲気の中

妖艶に輝いていた。

こんなに行きたそうなのに止め辛いな~

まあ行くのは勝手なんやけど・・・

これがむさい野郎なら勝手に行けなんやが

麗しきレディが危険に足を踏み込むのを

見て見ぬふりをするのは俺のポリシーに

反するからな~

「あっそれがですね・・・

丁度本当に今日店に

来る直前に聞いた話なんですが・・・」

芳恵さんが起きている時には絶対

しない事を幸子さんは興奮したのか

して来た。

幸子さんは俺の手を握りながら

俺を見つめて真剣な表情をしている。

「俺の同級生の弟の

友達のお姉さんが

達磨亭に行ったらしいんですよ。

それでその日から何かおかしな

感じになっているらしくて・・・

でそのさっきから話している

俺の友達のゴリラなんですが

そいつちょっと家柄的な事もあり

そっち方面に詳しくて

ゴリラを紹介して欲しいと

その達磨亭に行った子の

弟に頼まれましてね・・・

だから達磨亭もやばいんちゃうかな~

とは思うんですが」

いやいやいやいや・・・

幸子さん~

ちょっとは怖がって下さい~

何であなたそんなに嬉しそうなのでしょう~

いや今嬉しいのは俺か?

こんな美女に手を握られてるし・・・

ってそんな浮かれてる場合じゃなく

このままではこの人絶対行くでしょ!

幸子さんは俺の手を離すと

1人嬉しそうに何度か頷き

「そっかぁ・・・

ヒデ君ありがとうね

あっもし良かったら

土曜日ヒデ君

達磨亭について来てくれない?

芳恵ちゃんも喜ぶと思うし」

えっ?

あっうん。

まあその方がまだ

俺的には安心なんやけど・・・

あのアホのアパートに

行こうと思ってたんが土曜やしな~

バイトも休みやし・・・

う~ん・・・

幸子さんのナイト役の方が

絶体役得なんやけどな~

あのアホアズサもさすがに

このままほっとけんしな~

電話も出よらんし・・・

ホンマ世話のかかる女やで

「土曜日ですか~

めっちゃ行きたいんですけどっ

その日ですね。

さっき八龍に行ったメンバーで

学校来なくなった奴が

おるって言ったでしょ?

そいつの家に様子見に行こうかなと

思っていまして・・・

すみませんっ!」

「そう。

ヒデ君と一緒なら

心強いかなと

思ったんだけど・・・

何か色々な意味で強そうだしね

ヒデ君って。

強い守護霊に守られていそうだし

ははっ

気にしないで私も急に

誘ったからごめんね。

あっこれ私の電話番号。

渡しておくわね。

芳恵ちゃんには内緒ね。

私も今日でヒデ君の

ファンになっちゃったから

何か用があったらいつでも

かけてね」

幸子さんは俺に電話番号を渡し

らしくない強引な起こし方で

芳恵さんを起こすとお勘定を

済ませ帰って行った。

そして店の外まで芳恵さん肩を

貸しながら送りエレベーターに乗る

2人を見送ると

入れ替わりで俺をこのテナントまで

送ってくれたスナック楓で働く

陽子さんが入れ替わりで来たが

陽子さんも既に酔っていた。

《扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド4 終わり》




時間は午前0時を過ぎ芳恵さんと幸子さん

を見送った俺は入れ替わりでやって来た

陽子さんと先程、芳恵さん達を

接客したBOX席とはまた別の

2人掛けのBOX席に陽子さんを

迎え入れ接客をしていた。

ちなみにこの2人掛けのBOX席で

今俺が接客する事となってる

お客様はヒカルさんと陽子さんのみである。

「ヒデくん~

早く帰ろう~

ねえっもう上がり~」

あ~今日もかなりきてるな~

陽子さん・・・

マジかよ~

陽子さんがバイトする楓も

今日は忙しかったのか

酔っ払いのおっさんどもに

かなり飲まされたみたいで

ソファに座るなり大きく

足を組むが短めの白のスーツ

姿なのであるがパンツが見えそうな

程スーツの下が捲れ上がっている。

少し細めのヒカルさんとは違い

肉感的な陽子さんもまた魅力的では

あるのだが不幸な事に俺は今

仕事中なのである。

陽子さんの魅惑的な薄いベージュの

パンスト越しの美脚に酔いしれている

場合でも無いので何とかここに

いる間に酔いを覚ましてもらおうと

思いお酒を控えるように言っても

聞くわけはないので陽子さんの

ブランデーボトルからは殆ど

ブランデーは入れずにほぼ水である

水割りを作り氷も多めに入れる。

以前マスターは

「酔ったお客様のボトルを

多目に減らすために

濃い物に作り変えていく

奴は他の店にもおるけど

店の売り上げ的にそうしろと

指示するママやマスター

もいるけど

ヒデ君は自分の思うように

しなよ。

自分のしたくない事は

しなくて良いから。」

という教えを受けていた俺は

男なら酔ったレディにさらに

濃い目の酒を飲ませ売り上げを

上げようなどと考えるのはカス

以下の所業と思うので今俺は

マスターに言われた通り

【思うように】していた。

「陽子さん

今日は忙しかった

みたいですね~

ははっ

随分酔ってますけど

僕とゆっくり

飲みながら酔い

少しづつ覚まして

行きましょ」

「え~

私そんなに

酔ってないよ~

ヒデ君迎えに来たの~

さあ帰ろうっ」

「ははっ・・・

もう少しだけ付き合って

下さいよ~

ねっ後1時間30分で

お店終わりますからっ」

「ヒデ君が一緒に

居てくれるならそうする~」

陽子さんが隣に座る

俺の腕にしがみつくと

EかFカップくらいは

あるであろう豊満な

陽子さんの胸が俺の

右腕に食い込み

19歳の学生には刺激が

強すぎる役得を得るのだが

本当に仕事中であるのが辛い。

そして少しづつ超薄めのブランデーで

何度かお手洗いにも足を運んだ

陽子さんの酔いも覚めてきたようで

2度目のお手洗いから戻ってきた

陽子さんは俺とデュエットで歌える

程まで酔いも覚めてきていた。

「きゃ~

ヒデ君に会って元気出て

来たよ~私」

「ホンマですか~

ホンマいっつも

僕のラストのお客様で

来て頂いてすみません。

僕もラストが陽子さんで

めっちゃ嬉しいですよっ!」

「ホントにそう思ってるのかな~?

ヒデ君他のお客様にも

人気あるしね~」

陽子さんがまた推定EかFカップを

俺の右腕に押し付けてきながら

顔を俺の頬に近づけてくる。

うお~

こんな嬉しいシュチュエーション

仕事中ちゃうかったら最高なんやけどっ!

てかやっぱりまだ酔うてるな~

陽子さん・・・

「いや~

そんな事ないですって~

それにそんなに人気も

無いですよ~

俺1番新しいし年も若いから

それだけで得してる部分も

ありますからね~」

「良いよ~

私3番でも4番でも良いから~

ヒデ君と今日は一緒に居たいな~」

いやいやいやいや・・・・

アンタ今日ここに来るとき

俺の事説教してたやんっ

エライ態度が違うんすけど~

「まじっすか!?

俺はそんなんめっちゃ

嬉しいんですけど・・・

そうですね~でも

陽子さん今日は絶対

運転せん方が良いし

なんなら俺明日朝いちで

ここまで車取りに

来て陽子さんのマンションの

駐車場に入れときますから

今日は歩いて一緒に帰ります?」

「ほんと~!!

嬉しいっ!

ヒデ君と夜のお散歩

デートしたいかな~」

「うん。

ホンマそうした方が

良いっすよ。

免許3人分くらいの

免取くらうくらい

酔うてますから」

「え~!

もうっそこまでは

酔うてないでしょ~!!」

バシッ!

まさかの今日2度目の背中への

張り手。

ちなみに陽子さんから叩かれるのは

初めてであったが何だかだんだん

あのアホアズサの張り手が痛く無いのだと

思えて来るほど酔ったレディの張り手は

痛かった。

「いやいやっ

陽子さん酔うてほら~

力の加減もできんくらいに

なってますから~

ねっそうしましょっ!

俺がきちんと家まで

送って行きますから」

そうしてマスターのマイクでの

本日はありがとうございました。

から始まる閉店の挨拶も終え

気を使ってくれたマスターが

ヒデ君は陽子さんを送って

行きなさいと言ってくれたので

閉店作業を免除された俺はマスターと

浩二さんに深々と頭を下げ陽子さんと

エレベーターに乗りテナントを出た。

「は~外の空気は

やっぱり良いっすね~」

俺が腕を伸ばしながら

そう言うと

「そんなに長い時間

居たわけじゃないじゃないのに~」

もうかなり素面気味の陽子さんが

俺の伸ばして戻した手に手を組んで

来ながらそう言う。

さすがに25歳の年上のお姉様に腕を

組まれるとまだまだ19歳の小僧である

俺は陽子さんのスーパーボリューミーな

それこそ北尾が好きな太川ふみよ並の

胸の圧力も加味され俺の鼓動は激しく

高鳴っている。

「まっまぁ・・

そうですけどね~」

「あっヒデ君

私にこうされるの

嫌かな?

あのね・・・

さすがにこの国道

抜けて行った先って

この辺人が住んでるのか

住んでいないのか分からない

家とか小屋みたいな建物とか

ほら・・・

多分お墓もあったでしょ?

だから怖いからこうして

いて良い?」

陽子さんは学生時代は体大で

陸上の走り高跳びをしていたらしく

初めて会った時も陸上経験者同士

という事で話が弾み今に至るのだが

そんな陽子さんは長身で身長も165㎝

はあると聞いている。

ヒールを履き俺に腕を組んでいると

もう170㎝そこそこしかない

俺よりも背が高い。

それでも街灯すらろくにない

田舎道を怖がっている姿は6歳も

年上のヒールを履くと俺よりも背が

大きく見える陽子さんではあるが正直

可愛いなと思ってしまう。

「そんなん全然嫌ちゃいますって~

陽子さんみたいな美女にこういう

風に腕組まれて嫌がる奴はもう

それはホモですよっ!

ホモッ!

もしくはゴリラかメガネですわっ!

正常な男なら

みんな喜びますからっ」

陽子さんがさらに俺の腕に

押し付ける乳圧を上げてきて

「何か~軽い~

ヒデ君ってみんなに

そんな事言ってそう~

ってかホモは解るけど

ゴリラとメガネって何よ~

きゃはははっ」

「いっいやっ

ゴリラにメガネはあれですよっ

何となく口から出てしまったんですっ

あっでもそんな誰でもって事はないですよっ

俺がボディーガードするんは

美女限定っすからっ

それにホラッ

もし何か出て来ても

そいつが幽霊でも宇宙人でも

俺が蹴り倒して見せますからっ」

「はははっ

うそうそっ

冗談よ~

ヒデ君すぐに本気にするから

かわいい~

あ~でも幽霊は嫌~

宇宙人はもっと嫌かも~」

かっ・・

かわいいとな・・・

はぁ~

そりゃそうかぁ・・・

陽子さんのような経験豊富そうな

美女からすれば俺なんかまだまだ

小僧やよな~

そしてかわいいというワードに

若干のへこみを感じながら俺達は

国道を抜け陽子さんが言うように

人気も街灯すら無い本当に人が住んでいるのか

住んでいないのか分からないような旧家が

立ち並ぶ道に差し掛かって行った。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド5 終わり⦆



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陽子さんの大きな胸の乳圧を

腕に感じながら俺は車に陽子さんを

乗せるわけには行かないので徒歩で

陽子さんを自宅のマンションへ送る

為に今街灯もほとんどない寂れた

民家が立ち並ぶ通りを歩いている。

車では12~3分の距離なので

あるが徒歩だとやはり30分くらいは

かかりそうである。

「きゃっ!

何か今あの家の

門の中に何か見えた~」

腕に絡みつく乳圧が強くなるのと

同時に陽子さんと俺の距離が

さらに縮まる。

これはこれで嬉しいのだが

やはり俺はアズサ同様

怖がりの女性は苦手のようだ。

正直一緒に歩くと歩きづらくて

仕方が無い。

アホアズサなら煩い!

何もおらんやないかっ!

と一喝もできるが

年上のレディであり

無事に送り届けると約束

した手前そういう訳にも

行かずに俺は

「そうですか?

ほなちょっと

見て来ますさかい

ここで待っててくださいね。」

と陽子さんに言うが

「いや~

ヒデ君と離れるの

怖いよ~」

俺は仕方ないな~

と思い腕に乳圧を感じながら

何も無いと思うが恐らく人の

住んでいないであろう民家の

門の中を調べに行くことにした。

「まあ。

どうせ前通らなアカン

わけやしほな陽子さん

外側歩いて下さい。」

と俺は散々良い思いをした

右腕に左腕にもええ思い

さしたってなと心の中で

言い陽子さんを俺の右側

から左側に移動するように

言い今度は左腕に乳圧を感じ

ながら陽子さんが何か見えたと

言ったとても人が住んで居なさそうな

民家の前に歩を進める。

俺も武市程では無いが

ある程度ややこしい者が

そこに居るならば感じることは

できる。

今俺の妖怪センサーもとい

霊体センサーは反応していない。

あの民家には何も居ない。

そう思いながら左腕に感じる乳圧が

歩くたびに強くなる事だけを感じて

居た時・・・

うん?

霊の類はおらんが・・・

陽子さんの言う事も

まんざら見間違いやないかも・・・

今度は俺の武術経験者としての勘

生きた人で怪しい者、俺に敵意のある者

何か存在が不愉快な者がそこに居ると

いう気配を感じる。

いてるな~

これ何かおるわ・・・

「陽子さん・・・

俺から離れんどいて下さいね。

あの家の前はもう素通りしますから」

「えっえっ・・・

何か居るの?

ヒデ君怖いって~」

左腕に感じる乳圧は陽子さんの

豊満な両胸に俺の左腕が挟まれる

形になりさすがにこれだけくっつかれると

あの民家に何かが居ても瞬時に動けそうに

無いが猫かこの辺ならまだイタチも

居るかも知れんしと思いながらその民家の

前を通過した時・・・

ガサガサガサッ!!!

何かが突然暗闇から出て来た。

そしてその何かは俺の足に体当たりを

食らわせるとそのまま陽子さんの左腕に掛けて

いたバッグを引きむしるように取り

猛ダッシュで俺達が歩いてきた道を

国道へ向かい駆け抜けていく。

ドサッ!

「きゃ~!!

痛いっ!!

あっ私のバッグ!!!」

陽子さんは何者かにバッグを

引きむしられた時に尻もちを

ついていて俺は陽子さんに駆け寄り

腕を引っ張り起きる手助けをし

「あのカスッ!!

あっ陽子さん大丈夫ですかっ!

俺あいつ追いかけますから

ここで待っててくださいねっ!」

「うんっ・・・

ヒデ君気をつけてねっ!」

陽子さんのバッグをひったくった

何者かは国道へ向かい走っているが

見た感じはそんなに進んでいないように

見える。

あいつがバテるまで追いかけたる。

俺は猛ダッシュでそのひったくり野郎を

めがけてダッシュする。

辞めてずいぶん経つが膝はもう大丈夫。

現役の頃のようなスピードは出ないであろうが

あんなひったくり野郎には負けんっ!

俺も元陸上部のはしくれ。

しかもま1ギリギリ10代、走って走れんことは無いと

思い今まででないくらい思いっ切り走った。

走りながら俺は

そういや~武市が今までで1番速かったときは

確か俺と仲代と一緒に3ケツしてバイク捨てて

警察から逃げた時あったな~

俺らプライベートでの方が速いやないかっ!

とそんな事を思い出しながらひったくり犯を追う。

「こら~待てっ!待たんかっ!

おのれっ!レディのバッグを

盗むのも許せんが突き倒して

陽子さんが怪我してたらこのカス

原型とどめておかんからな~!」

俺は見る見るうちに距離を詰め

おそらくは高校1年生の初めての

地区予選の最初の200メートルを

駆けた時以上のスピードが出ていたと

思う位身体が動きひったくり野郎の

背中が見えてくると俺は飛んだ。

そしてそのままひったくり野郎の背中

めがけて飛び蹴りを食らわせた。

「うら~!!

往生せいっ!このカスがっ!!」

ヒュンッ!!

ガスッ!!

「うぎぃぃぃっ!!」

ひったくり野郎は陽子さんの

バッグを手から離しその場に

前のめりで倒れた。

「オラッ!

おのれコラッ!

何さらしてくれてんねんっ”

このボケがっ!

壊れたプラモのように

バラいたるさかい覚悟せいよっ!」

倒れ込んだひったくり野郎に

ストンピングをかましながら

俺はみすぼらしカジュアル系の

服がボロボロで綻びもできている

ような服装の意外と若いひったくり

野郎が亀のようになり丸まって

「すんませんっ!すんませんっ!

ホンマすんませんっ!」

と謝りながら素直にストンピングを

受けているので無抵抗な輩をいたぶる

趣味も無い俺は怒りも冷めてくると

陽子さんもやっと俺においつき

この丸まっている痩せた亀が落とした

陽子さんのバッグを手に取り

「ヒデ君・・・

もうバッグ戻ったから・・・

良いよ・・・

許してあげたら・・・」

と俺の後ろで不安そうに呟く。

「あっ・・・

はい・・・

そうですね・・・・

おいっ!こらっ!

お前どこのどいつなっ!

警察に突き出したる!」

と痩せた丸まっている亀の

胸倉を掴み上げて

どんな面してんねんコイツと

思い見てみると・・・

そのひったくり亀は

「あっ・・・

あぁ・・・

キバ~?」

ひったくり亀は俺を見て

予想以上に高い声でそう言った。

俺をキバと呼ぶ奴は耳南の

同級生に他ならぬ・・・

まさか俺の青春のひと時を一緒に

刻んだあの耳南の同士に

こんなコソ泥みたいな真似する奴が

いるはずが・・・

俺は現実逃避したい気持ちを抑え

そいつの顔をよく見た・・・

髭が伸び元々痩せていたであろう

頬はさらにこけているが・・・

「おっ・・お前っ!!

毛じらみ!

ケジスケかっ!」

何とひったくり犯の正体は俺の

耳塚南高校の同級生。

石藤啓介(いしとうけいすけ)であった。

啓介は俺達、麻雀を始め様々な遊びを

よくしていた

【三出倶楽部】(サブカルチャーズマンション

耳塚シリーズ参照)

の隼メンバーでもあった男で麻雀の

牌の1策に似ていると言われてから

毛じらみと言うあだ名がつき啓介と

文字られケジスケと呼ばれていた。

元々は吹奏楽部の副キャプテンも

勤め確か吹奏楽の経験を活かし

自衛隊の吹奏楽団に入ったと聞いて

いたが・・・

何故いまこのような姿になっているか

俺にはさっぱり想像がつかなかった。

俺は啓介を起こし陽子さんに事情を

説明し民家の通りを過ぎた所の

公園で陽子さんと3人でベンチに座ると

缶ジュースを陽子さんと啓介にそれぞれ

手渡し啓介から事情徴収をすることにした。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド6 終わり⦆
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俺は夜の公園のベンチで

座り話し始める同級生の

石藤啓介の話にベンチの前で

立ちながら缶コーヒーのブラックを

片手に耳を傾けていた。

陽子さんには不本意ではあるが

こんな所に付き合わせて立たせて

いるわけにも行かないので

一応啓介の横に腰を掛けて

もらっているが

そこは陽子さんも浮浪者同然の

恰好をしている啓介の不潔な

容姿に引き気味で隣に座るも

距離は取っていた。

「おい。

ケジスケよ~

お前は耳南卒業後

その吹奏楽の腕を

振るう為に自衛隊の楽団に

入ったんちゃうかったんか?」

陽子さんも距離を取り

啓介に視線を送る。

少しうつむきながら

神妙な面持ちの啓介が

少しづつ口を開きだす。

「ああ・・・

キバの言う通り・・・

俺は自衛隊の楽団に

入隊できたんやが・・・」

「そうやろ!?

仲代や武市もお前が

競馬のGⅠのファンファーレで

出てくるのん楽しみにしてたのに

何でそのお前がこんな所で

浮浪者まがいの格好でしかも

夜道を歩くレディのバッグを

かすめ取るようなセコイ行動に

出てんねんっ!」

俺は手に握るブラックコーヒーの

缶に力を込めながら19歳にして

落ちぶれた姿で俺の目の前に現れた

同級生に憤りを感じながらしかし

それでも怒気は必至で抑えながら

そう言った。

「ああ・・・

本当にキバとこな

姿で再会してしまうとは

面目ない・・・

俺は確かに自衛隊の

楽団には入隊できたのやが・・・

実は楽団も自衛隊は自衛隊で

ある事に変わりはなくな・・・

最初は基礎体力をつけるために

自衛隊の隊員と同じ

訓練を受けなあかんのや・・・

毎日毎日綱昇りや腕立て腹筋・・・

長距離走に武術の訓練・・・

柔道の練習は高校の体育の授業みたいに

あんな生ぬるいもんやなく

マジ落ちさせられるし・・・」

啓介が言うには意気揚々と得意の

楽器を振るう為に入団した自衛隊の

楽団には最初は自衛隊員並みの

訓練が待っていたとそういう事である。

しかし啓介の肉体は

グレードアップしたようには

とても見えない。

という事は啓介はおそらく

その自衛隊のしごきに耐えれず

逃げ出した挙句にここに居るという

推測が俺でなくとも隣で

ハンカチで口元を抑えながら

話を聞いている陽子さんでも

そう思ったと思う。

「お前・・・

気持ちはわかるがなぁ・・・

それで逃げて来たんか?」

高校時代は麻雀や花火の打ち合い

夕飯を賭けたTVゲームなどで

よく遊んだ友人にこんな風に

詰めるような聞き方はしたくは

無いがそこを聞かなければ話は

進まないと思い俺は言葉にして

発した。

陽子さんも啓介を見つめている。

「・・・・・・・・

・・・・・・・・・」

少しの沈黙の後啓介は無言で

首を縦に振りベンチでうなだれている。

「・・・・・

お前実家には帰れんのか?

・・・・

帰れたらあんな所におらんか・・・」

俺は見つけてしまったからには

このまま置いて帰るわけにも行かないし

しかしこの浮浪者まがいの啓介を

俺の家に連れて帰っても

親にドヤされることは目に見えて明らか

うちのオヤジが不審者と間違えて

啓介に突きでも食らわせてしまえば

啓介を助けるために連れて帰ったのに

啓介を再起不能にしてしまう可能性も

ある。

そんな事を考えながら俺は

啓介を眺めていた。

啓介は相変わらずうなだれたまま

で陽子さんはハンカチで口元を

抑えながら俺と啓介を交互に見ている。

そうだ・・・

何の関係もない陽子さんを付き合わせて

いるのでこんな殺風景な公園で

しかも浮浪者まがいの男の隣に

座らせ陽子さんを長居させるわけにも

行かないと思った俺は

もしかしたら・・・

いや・・・

これしかない・・・

後は俺の説得力とこのアホを

どう売り込むかやが・・・

「啓介・・・

お前今の暮らし抜け出せるんあったら

何でもするか?」

啓介は顔を上げきょとんと

している。

「金も入るし空き民家に

不法侵入してスリまがいな

事をせんでええんやから

頑張れっ!今よりましやっ!」

俺は強引にそういうと

「ちょっと待ってな

陽子さんもすんません。

もうちょっとだけ待って

下さい。」

そういうと俺は携帯を取り出し

携帯を鳴らした。

多分まだ店で片付けしてるか

起きている事には間違いないはず・・・

『はい。

もしもし

ヒデ君どうした?

陽子さんはキチンと

送り届けたかい?』

俺がかけた先は

俺のバイト先の

ロビンフッドの

マスターだった。

「あっすんません。

マスター。

まだお店ですか?

寝てはりはしません

でしたよね?

あっちょっと

事情ありまして

陽子さんはまだ

一緒なんですよ~」

そして俺は陽子さんと

徒歩で帰路についていた事

途中で浮浪者まがいの輩に

襲われ陽子さんのバッグを

摺られた事。

その浮浪者が俺の元

同級生であった事。

そしてそいつが

浮浪者になった経緯も話す。

マスターは一々大きく

相槌を入れてくれながら

真剣に聞いてくれている。

「そんな事があったんやね~

しかしヒデ君はキチンと

陽子さんのナイトできれるやない?

立派っ立派っ」

「あっいえ・・・

それはカバン一回摺られてますしねっ

ははっ・・・

あっそれでなんですが・・・

あの・・・

マスターにお願いがありまして・・・」

『うん。

かまわないよ。

その子迎えに行くから。

吹奏楽やってたのなら

音楽に長けてるから歌も

上手いだろうしね。

それに今はただの置物に

なっているピアノも

生き返るかもしれないし

どう?

その子ピアノはいけるかな?』

まだ何も言うてないのに

解ってくれはるとは・・・

実は半月ほど前に

マスターから俺は

店の人員不足で誰か大学生の

同級生でバイトしてくれる子が

居ないか相談されていた。

その時俺の頭には武市と北尾しか

思い浮かばずに2秒で自主的に却下して

マスターには良い奴おれば声かけて

みますとだけ言っておいた。

そしてその言葉を思い出し

啓介なら風呂に入れ散髪に行かせて

髭もそれば見栄えはそれなりに映える。

当分は俺やマスターの服ならサイズは

合うだろうからそれを着て店に出れば良い。

そう思いダメもとでマスターに一度

連絡を取ってみたのだ。

しかし本題を言う前に察してくれた

マスターは既に啓介の経歴・・・

経歴と言っても吹奏楽をやっていて

自衛隊の楽団に入り逃げ出しただけなのだが

その経歴を聞き店でのポジションまで

考慮してくれたうえで軽くOKの

返事を頂いた。

「マスター・・・

僕まだ何にも言ってませんのに・・・」

俺は感動で震えながら声まで震えていた。

『えっ?

その子うちで雇うんじゃないの?

良いよ丁度僕のマンション

空き部屋2つほどあるし

そこに住んでもらえば。

あっ女性が来る時はその子には

何処かホテルに泊まってもらうけどね

ははははっ』

「あっマスターちょっと

待って下さいね。」

俺は一旦電話を受話器から離し

「おいっケジスケ?

お前楽器でピアノは弾ける?」

啓介は電話で話して居る俺を

ずっと見ていたようで

「ああ。

ピアノなら子供の頃から

ずっと習ってたからなぁ・・・」

その返答を聞き俺は

「あっマスターすみません。

僕の友人、ピアノもいけるみたいなので

是非お願いしますっ!」

本人の意思は関係なく俺は

マスターにお願いしたが啓介も

ここで野垂れ死にするよりは

良いだろうと思い両方に多少

強引に話をこぎつけたが

啓介的にも好きな楽器ができるのだし

マスターも人員不足解消になるし

我ながらこれで良かったと思い

納得していた。

電話を切った俺はマスターが迎えに来て

くれるというのでマスターが車で

来てくれて啓介を紹介するまでもう少し

ここで陽子さんに付き合って待ってもらうよう

頭を下げ陽子さんも良かったねと笑顔で了承

してくれた。

当の啓介も最初はレディースバーの仕事って

俺できるかな?

と不安がっていたが

マスターはええ人やし先輩方もお客様も

ええ人ばかりやから大丈夫と啓介を励まし

ているとマスターの国産の高級セダンが

到着し啓介を紹介しマスターに引き渡し

何度も啓介と2人でお礼を言いながら

小汚い啓介をマスターの高級車に乗せるのは

気が引けたがマスターは気にもしていなかった

ようであっさり啓介を乗せ走り去って行った。

俺はマスターの消えて行く車を見ながら

男の器というものを感じていた。

そしてやっと本来の任務の陽子さんを無事に

送り届ける事を再開できるのであった。

《扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド7 終わり》



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ケジスケ襲来と言う霊障を

見事ウルトラC並みの対応で

切りぬけた俺はそのまま

麗しきレディの陽子さんを

無事に自宅まで送り届けるという

任務を遂行しつつ暗すぎるために

i依然不気味な夜道を歩いていた。

ケジスケをロビンフッドの

マスターに引き渡した公園から

陽子さんのマンションまでは

何事もなくたどり着いた。

サンハイツ鶴澤。

陽子さんが1人暮らししている

マンションである。

北尾やヒカルさんが住む

スカイハイツ鶴澤のような

高層でオートロックでは無いが

陽子さんも体育大学の学生時代の

ワンルームではなく社会人となり

引っ越して住み始めたマンションである

のでそれなりの家賃なのだろうな?

と俺は6階建てのサンハイツ鶴澤を

見上げていた。

確か陽子さんの部屋は403・・・

何か今陽子さんの部屋の中に

不気味な影が見えた?

いや厳密に言えば見えるはずは

無いので感じたのだろう。

俺は陽子さんの部屋を見上げて

何やらついこの間北尾の部屋に

乗り込んだ時のような嫌な

違和感を感じた。

「あっ陽子さん。

お疲れ様でしたっ

車は俺

明日大学昼からなので

朝取りに行きここに停めて

おきますから」

陽子さんがマンションの玄関口で

集合ポストに入れられている

いかがわしいチラシをまとめて

ゴミ箱に捨て必要なものを

一時はケジスケこと石藤に

摺られたバッグに入れた。

「うん・・・

それでも嬉しいんだけど・・・

ヒデ君。

私今日何か怖いというか

不安で・・・

結局あの子はヒデ君の

お友達でヒデ君のお蔭で

私も無事だったけど・・・

だから・・・

もう少し一緒に居てっ

お願いっ

コーヒーでも飲んで行ってよ」

と陽子さんが俺のスーツの袖を

引っ張りながら不安そうな

表情でそう言う。

6歳も年上でヒールを履けば

俺よりも背が高い陽子さんが

やけに可愛く見える。

確かにそうだと思う。

暗闇でいきなり浮浪者まがいの

ケジスケに体当たりをされ尻もち

まで付きそのうえバッグまで

ひったくられた後なのだ。

不安な気持ちは収まらないであろう。

普段なら俺の倫理観と燃える下心を

戦わせるところではあるが今日は

陽子さんの部屋に見える

【何か】

も気になるしこの不安そうな

表情の陽子さんをこのまま

1人で部屋に帰らせる事など

俺の武士道に背く行為であるので

出来るはずも無く燃える下心の

大圧勝にて俺は2つ返事で

陽子さんの部屋でコーヒーを頂く事に決めた。

「そうですね・・・

そりゃあんな目にあった

後じゃ不安だと思いますし

ほな陽子さんの部屋で

コーヒーでも頂いて

帰ろうかな?

ハハッ

陽子さんが安心して眠るまで

傍で居ますよ俺」

右腕の袖を陽子さんに

摑まれていたので

左手を後頭部に当て頭を抑えながら

年上のレディの部屋に初入室となれば

さすがに緊張もするし興奮もするので

動揺をばれないようにしながら冷静を装った。

「ホントッありがとうっ!

ヒデ君!本当に頼りになるわっ

嬉しいっ!」

そう言って陽子さんはまた

再びこのマンションの前まで

の間そうしていたように俺の

右腕にしがみつくように腕を組んできた。

はうっ!にゅ・・

乳圧復活よ~!

しかも今から陽子さんの

スィーティールーム

に侵入しようとしてる

道中でこの乳圧は

ジーマーでバーヤーやないか!

(木林&武市語で

マジでヤバイの意)

俺は右腕に再び乳の圧・・・

つまり陽子さんの胸の圧力を

感じながらエレベーターに乗る。

そらこんなバイヤー(やばいの意)

なシュチュエーション

心の中での気持ちも北尾口調になるわっ!

俺は動揺していてもアホである事には

変わりなくそんな事を思いながら

エレベーターの陽子さんが4階を押した

はずなのに付かないという意味不明な

エレベーターに不信感を感じさらに

俺が4階のボタンを連射するもランプが

付かない。

仕方ないのでいったん降りてみるか

と思いエレベーターを降りる

事にする俺と陽子さん。

「あれ?

なんでや?

陽子さん

一旦降りましょか?」

「うん・・・・

故障かな?」

そう言って俺は陽子さんと

一旦エレベーターを降りると

エレベーターは独りでに上へと

動いて行った。

なんやねん!いったい・・・

俺は何か嫌な予感がしていたが

俺が何か言うたり不安そうな

表情を見せたりすると陽子さんに

余計不安な気持ちを与えてしまうので

ふふふ~んという表情で口笛を

吹きながらエレベーター早く来いよ~

お前何でいっつも四角い図体してんねんっ!

とエレベーターに理不尽極まりない

念を送っているとやっとエレベータが

来たが何やら人が乗っているが1階で停り

エレベーターのドアが開く。

うん?

俺は何かエレベータの中が暗く感じたが

人は乗っているしかも4人。

こんな時間に?

とも思ったがこの人たち

どうやら家族のように見える。

1人は40代くらいのおっさん。

おっさんは俯いている。

もう1人はおっさんの奥さんか?

30代半ばくらいのレディ。

レディも俯いている?

なんでやねんっ!

そして10歳くらいの少女と

5歳くらいの男の子。

共に俯いている。

どんだけ根暗な家族やねんっ!

と思いながら4人組を眺めていると

おっさんが俯いたまま手を出し

人差し指で俺を差した。

なんやこのおっさん・・・

俺は不気味に思い背中にじんわりと

冷たい汗を感じるが

こいつ喧嘩売ってんか?

とも思うがこんな家族連れのおっさんが

そんな事はせんやろと思っていると

おっさんは俺を差した指を下に向けた。

ああ・・・

エレベーター下に行くという意味ね。

そう思い俺はホッとするが

右手に感じていた陽子さんの乳圧が

さらに強くなっている。

何か陽子さんもこの家族を不気味に

感じているのだろう。

夜逃げかこいつら?

そう思っていると

奥さんらしきレディも

俺を指さし

その指を下に向けた。

子供たちも同じようにする。

あ~だから解ってるって!

下に行くんやろ!

陽子さんのとてつもない

乳圧に震えを感じる。

仕方ないので俺が口を開く

「あっすんません。

僕ら4階なので・・・」

そう言うとエレベーターは閉まり

エレベーターは下に動いて行った。

「なんなんすかね~?

あの人ら・・・

まさかこんな時間やし

夜逃げとか・・・?

ははっ」

俺が陽子さんの強くなり続ける

乳圧から陽子さん怯えてるんかな

と思い少し笑かそうと思いそういうと

「うそ~!!!!!」

陽子さんが急に悲鳴を上げる。

「えっ?えっ?

マジで夜逃げ!?」

陽子さんが尋常じゃない声を

上げるので俺もドキッとなり

何かまずい事言ったか俺?

と思いながら陽子さんを見る。

「ヒデ・・・く・・・ん

ここ・・・」

ゴクリと唾を飲み

とっくに酔いが覚めやや

青白い陽子さんの顔色に

何があったんだと思い

陽子さんの言葉に耳を傾ける俺。

「地下なんてないのに・・・

いや~!!!」

えっ?

今陽子さんは地下が無いと言った。

そうか?

陽子さんのマンションは1階から6階で

駐車場は屋外。

地下に駐車場があるようなマンションではない。

というとあの家族は・・・

マジかよっ!

見てんよ~俺思いっ切り見てしもてんよ~!

すぐさまこの笑気を武市に分けてやりたいが

普通の人が見てしまえば陽子さんのようになるのが

当たり前。

俺は陽子さんの地下が無いという言葉から

全て察して

「陽子さん。

しゃ~ない。

階段で上がりましょ。

今日のエレベーターは

ご機嫌ななめっぽいっすわ。」

と俺は何故か地下が無いはずの

マンションのエレベーターが

俯く4人連れ家族が降って行った

先からさらに俺らを迎えるように

下から1階へ停まったむかつく

エレベーターを尻目に陽子さんを

階段へ誘導し陽子さんの部屋に向かった。

《扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド8 終わり》



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ケジスケの来襲に訳のわからん

家族連れの夜逃げまがいの

エレベータでの怪と今日に

限り何故に陽子さんを自宅へ

送り届けるだけなのにこんなに

困難なのかと少々腹も立っていたが

階段を使いやっと陽子さんの部屋が

ある4階へ辿りつくと年上のレディの

部屋への初入室に俺は少し

緊張していたがさっきのエレベーターでの

出来事によりアドレナリンが大量分泌され

緊張も忘れていた。

それは別の理由で別の緊張感があった

事も関係していたが・・・

「はぁ~疲れた~

さあヒデ君入って~」

陽子さんが玄関先でヒールを脱ぎ

しゃがみながらヒールをキチンと揃えると

玄関から見えるリビングへ

入って行きながら俺に

部屋に入るよう促す。

「あっはい・・・

ほなお邪魔します・・・」

俺の今日のスーツ仕様では

あるが万が一の為に靴先に

鉛が入っている見た目革靴

性能は安全靴である靴を脱ぎ

靴先を玄関へ向け揃えると

陽子さんに続きリビングへ

上がらせて貰う。

陽子さんの部屋は意外にも

パステルカラーのテーブルに

家具で揃えられていてカーテンも

パステル模様で見た目の色気とは

反して部屋は乙女チックな感じがする。

やる気の無さそうなパンダの

クッションがあったので俺はそこに

どっかりと腰を降ろした。

「ヒデ君

少し待ってね~

今コーヒー入れるから

適当にくつろいでいて~」

先程までエレベーターの中に

生きてはいないであろう

4人連れの家族を見て

あるはずの無い地下にエレベーターで

降りていくという怪奇現象を

目の当たりにした陽子さんは

怯えていたが部屋に入り俺と

一緒で1人では無いという安心感からか

少し落ち着いてきたような気がする。

しかし何故か俺は陽子さんの部屋に

入った後も若干部屋が黒ずんで見え

パステルカラーのメルヘンチックな

部屋にも靄がかかったているような

感じに映っていて緊張感は解けては

いなかった。

こんな時に武市居たらな~

俺には何となくヤバイというのは

解るのであるがそれ以上の専門的な

事までは解らない。

しかし今俺はロビンフッドのバイト

帰りであるので愛用のグラサンは

着用していない。

それでいてこの暗さか・・・

何かこの部屋を外から見た時に

感じたのは気のせいか?

さっきの家族連れの影響か・・・・?

それともそもそもこのマンション

自体がヤババイマンションで

陽子さんの部屋に限った事では

無いのか?

俺にはヤバイのかヤババイのかの

区別もつかんし場所も特定できない。

しかし今のところこの部屋には何も居ない

ような気がするのでとりあえずマンション

全体がヤバいのか?

と思い陽子さんが出してくれた

コーヒーに少し口をつけた。

「あっ頂きます~」

「あれ?ヒデ君

砂糖とミルクは?」

陽子さんが手に持っている

スティックの砂糖と

一口サイズのミルクを俺に見せながら

「あっ俺コーヒーは

黒専門なんでっ」

「はははっ

服と同じだねっ」

やっと陽子さん笑ってくれたので

背中に嫌な物を感じ緊張気味であった

俺もやっと同じように笑えた。

「ははははっ

男は何でも黒ですよっ!」

「え~そうなの~!?

ははっもうっ

ヒデ君意味わからんよ~

あっ私お風呂入って

来るから適当にくつろい

でてね。

それともヒデ君も

一緒に入る?」

「ぷぷ~!!!!

えっ?えっ?」

俺は飲みかけていたコーヒーを

噴き出してしまい霊障の時以上の

動揺を見せてしまう。

「もう~そんなに嫌なの~?

うそうそっ冗談よ~

じゃあ待っててねっ」

「はっ・・

ははっ・・・

そりゃそうですよねっ・・・

ははっ・・・」

俺は噴き出してしまった

コーヒーをティッシュで拭きながら

忙しかった1日でやっと1人

落ち着ける時間を持てていた。

はぁ・・・・

今日は店も忙しかったし

ケジスケには会うし

ケジスケは浮浪者になってるし・・・

おまけに変な家族には・・・

しかしあの家族は一体なんあったんやろ?

このマンションで死んだ人とか?

一家4人同時にか?

でもそんな事件じみたことが

あったらニュースにでもなるやろ?

しかもまともに地元やし

それなら俺も聞いたことくらいは

あるはずなんやけどここでそんな

事件あったなんて知らんけどな~

うん!?

俺は陽子さんのベッドの向こう側の

奥辺りから何やら視線を感じ

思いっ切り睨み付けたが誰も居なかった。

ふぅ~気のせいかぁ・・・

あかんな~何か神経過敏

になってるわ~

陽子さんが出て来たら俺も風呂借りようかな?

しかしさっきの陽子さんの

一緒に入る発言は驚いたな~

そんなん陽子さんとの混浴なんて

大歓迎やっちゅ~の!

あれくらいで動揺してしまうのが

まだまだ俺の甘い所やろな~

男はあれくらい受け止めて逆に

面白い返しの1つでも出来んとな~

まあ同じシュチュエーションに武市が

なったらあいつならコーヒーも吹きだせずに

石化してたやろうな~

ぷぷぷっ!

ゴリラの石像になってんよ~

石になったゴリラが部屋にある

気持ちよ~

そりゃ陽子さん気の毒やわっ

霊障よりある意味怖いしなっ

ぷぷぷぷっ・・・

俺がアホな妄想に浸り1人で笑っていると

ガチャッツと音がして入浴を済ませた

陽子さんが出て来た。

うおっ・・・・!!

陽子さんはさっきまでの短めの丈の

スーツ姿とはまた違い寝巻用なのか

デニムのホットパンツに黒のノースリーブの

シャツかタンクトップか解らないような感じの

とにかく露出MAXの姿で現れ髪は下ろさずに

後ろで1つに束ねたものを前に戻しヘアピンで

止めていてさっきまでとは全く感じが変わっていて

今度は俺が本気で石化しそうになっていた。

湯上りの陽子さんの全開に露出された脚は

ほんのりと桜色に染まり動くだけでその

豊潤な肉が揺れ俺の一物を大いに刺激する。

「ヒデ君お待たせ~

え~!?何で1人で今笑ってたの~?」

ゴリラの石像を妄想しそれが部屋にある

陽子さんの悲惨な感じをさらに妄想してしまい

完全な自爆での笑気にやられていた俺を

見て陽子さんは変に思ったのか1人で笑って

いたことを突っ込まれた俺は

「あっいや・・・

ちょっと色々考え事を

していたらですね・・・

友達のゴリラが石化した

事を想像してしまいまして・・・

ははっ・・・

それで何か笑けてしまいまして・・・」

今すでに俺の頭の中からは武市の石像は完全に

消え去り目の前にある陽子さんの艶めかしい

美脚しかなかった。

「もう~何よそれ~?

意味解らんし~

ははははっ

あっヒデ君もお風呂入る?

今日は私もいっぱい世話

かけてしまったし・・・

疲れたでしょ?」

陽子さんがリビングの隣の

キッチンの冷蔵庫から何かを

取り出しながら話している。

「あっいや・・・

そんな世話何て事はないですよ・・・・

あっほな僕もお風呂お借り

して良いですか?

ちょっと酒も抜きたいし・・・」

「うん良いよ~

ゆっくり入って来てね~」

俺は陽子さんのお言葉に甘えて

バスルームの前の脱衣場に向かいながら

「すんません。

ほなお風呂借りますね~」

と言いながら脱衣場に入って行った。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド9 終わり⦆



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陽子さんの部屋のバスルームを

借りとりあえず汗を流し着替えの

持ち合わせなどは勿論無かったので

着て来たままのスーツの中に着ていた

カッターとスーツの下を履き靴下は

面倒くさいのでスーツの上着のポケットに

しまいそのまま脇に抱えてリビングに

戻った。

「あっ陽子さん

お風呂まで借りてありがとうございました。

めっちゃスッキリしましたよ~」

「良かったぁ

ヒデ君何か冷たい物でも

飲む?」

陽子さんがリビングのテーブルの

前の俺がさっきまで座っていた

やる気の無さそうなパンダの

クッションの上から立ち上がると

冷蔵庫の前に行き冷蔵庫を開ける。

中を覗くが冷たい物はチューハイやら

ビールばかりであった。

「そうですね~・・・

あぁ・・・

さすがにもう酒は良い

から下で自販あったみたいなので

俺何か買ってきますわ~」

陽子さんが冷蔵庫を閉めると

苦笑いで

「あはっ

ごめんね~お酒類しか

置いていなくて~」

「いえいえ。

陽子さん何が良いですか?」

俺は脇に抱えていた

靴下がポケットに入った

スーツの上着をソファに

置くとスーツの下のズボンの

後ろのポケットに財布が入って

いる事を確認し玄関先に向かい

歩を進めた。

「う~ん・・・

下の自販だよね~

じゃぁ・・・

ウーロン茶お願いして良い?」

「ウーロン茶ですねっ

承知。

では行ってきますね~」

少し不安そうな表情で

こちらを見ながら陽子さんが

「・・・

ヒデ君・・・

早く帰ってきてね・・・」

と言っている。

ケジスケの件から

エレベータの家族連れの

この世の者ではないであろう

者達との遭遇とロビンフッドや

陽子さんがバイトする楓のある

テナントからここに来るまで

今日は本当に色々な事があった

ので不安になるのも解るが

俺がマンションの下に行き

マンションの向かいにあるタバコの

自販と並んであるジュースの自販で

ジュースを買い戻ってくるのに

ものの数分。

その間位1人にしても大丈夫だろうと思い

「ははっ

少しの間ですよっ

そんな不安そうな顔

せんどいて下さいよ~

では行って来ますねっ」

と俺は裸足のまま靴を

履き陽子さんの部屋である

403号室を出た。

さっきの今なのでさすがに

エレベーターを使う気が起きず

俺は階段で1階まで降りることにした。

うん?なんやこれ・・・

さっき陽子さんと4階まで

昇って来るときにはそんな

事は無かったのに4階から3階に

降りる階段の踊り場が靄がかかって

見える。

愛用のグラサンは着けていない。

夜だから暗いというわけでも無く

廊下から踊り場にかけては

マンションの設備の明かりがついて

いるのにもかかわらず黒ずんで見える。

やっぱり・・・

このマンションはおかしいぞ・・・

前に武市と高校から大学に上がる

春休みに何件か心霊スポットに

乗り込んだ時に

有象無象のショボイ霊たちが

たまり場を作るみたいなことを

国内屈指の霊能者である

武市の叔母さんの甲田福子先生が

巣と言うと武市から聞いていて

その春休みの心霊スポット巡りで

武市が

「ここは巣やなぁ」

と言うていた所が

俺には全て今見えているような

靄がかかり暗く見えていた。

その時の体験になぞらえると

この陽子さんの住むサンハイツ鶴澤も

巣という事か・・・

さっきのエレベータの在る筈の無い

地下に降って行った夜逃げ家族も

ここが巣やから当たり前のように

居てたんか?

俺は靄のかかった階段をジュースを

買うために3階、そして2階と降って

行く。

勿論さっきは無かった靄が3階から

2階に降りる階段の踊り場にもあり

2階の踊り場を通過しようとした時

俺は一瞬歩を止めてしまった。

その理由は踊り場には明らかに

生きているとは思えない銀色のような

グレーのような肌をした5歳か6歳くらいの

男の子が全裸で三角座りをしながら俺を

見上げていたのだ。

見てんよ~

また俺見てんよ~

何や今日は・・・

しかしこの子・・・

害は無さそうやがこの年で・・・

可哀想に・・・

俺を見上げている子を

避けるように俺は階段を降り

1階まで降りるとマンションの

玄関口を出て向かいにある

ジュースの自動販売機の前に

辿りつく。

そしてジュースを買う前に丁度切らして

いたタバコを先に購入する。

「よっしゃっ!

ヤニ補給完了っと・・・」

俺が外にジュースを買いに来たもう1つの

大きな理由はヤニ切れを起こしていた

事に他ならない。

ヤニ切れを起こしていた俺は

購入した俺が愛煙してやまない

銘柄コールドの箱のセロハンを

外すと箱から1本タバコを取り出し

勇んで火を点ける。

「ふぅぅぅ~

このヤニを我慢しまくって

いた後にヤニる気持ちよ~

めっちゃ小便を我慢した後に

一気に放出する小便の

気持ち良さに匹敵するやろ~」

もう1人仲良くしてもらっている

ヒカルさんのマンションには既に

俺専用の灰皿が設置されていて

ヤニるという蛮行のお許しも

出ている仲になっていたが

陽子さんの部屋は今日が初訪問。

さすがに初訪問のレディの部屋で

ヤニるという行為は俺の武士道に

反する為、俺はこの自販機前で

ひとヤニ入れていく事にした。

コールドを立て続けに2本吸い終わると

俺は愛用の携帯灰皿に吸殻を詰め込み

ジュースの自動販売機でコーラと

陽子さんリクエストのウーロン茶の

ペットボトルを買い陽子さんの

部屋に戻る為に再度マンションの

玄関口の前まで歩いた。

何気なく陽子さんの部屋を見上げたのは

俺の意識的な行動ではなく

何かもっと俺の奥底にある潜在意識が

そうさせたような無意識とはまた

違う内面からの俺から俺への命令を

受けたような感じがしたが深くは気にせずに

陽子さんの部屋を見上げる。

403号室。

隣の部屋は両方ともすでに消灯して

いるが明かりの点いているのが外から

でも解るのが陽子さんの部屋。

なっ!?

そう見えたのかそう感じたのかは

今の俺には判断できないがあの部屋に

陽子さん以外の者が1人確実にいるのが

外から見ればよく解った。

いやそう感じた。

それは今陽子さんのすぐ後ろに居る!

俺は飲むときに炭酸が暴発する事も

構わないと思いコーラーとウーロン茶の

ペットボトルを両手にバトンのように

持ちながら猛ダッシュでサンハイツ鶴澤の

玄関口を潜り抜けた。

1階から2階へ階段を駆け上がる。

「はぁはぁっ・・・」

時間は既に深夜3:00を過ぎており

この時間まで起きている事

ここまで酒を飲んだ後に

歩いた事。

ケジスケを捕獲するのに

久々に全力疾走をしたことから

俺もさすがにバテていて息も

上がる。

そして息の上がる中

2階から3階へ駆けあがった時

俺は目の前にさっきの

銀色の全裸の子供とはまた

別の物を見る。

あのな~・・・

1日に3回は見過ぎやろ・・・

階段を全力疾走で

駆けあがっていた俺が急ストップ

をかけたのは止まらざるをえなかった

からである。

「おっさん・・・



急いでんねん。

ちょっと通してくれへんか?

言葉わかるんあったら

頼むわ~」

俺が急ストップをかけたのは

さっきここで三角座りをしていた

子供が居た位置に踊り場の

天井に届くのではないかと思うほど

デカイ

いやデカすぎる

ゆうに2メートル50センチくらいは

あるのでは無いかと思うほどの巨大な

全裸のおっさんが俺の道を塞いでいたからだ。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

耳に聞こえるというよりは

直接脳に届くような声が

確かに俺に聞こえる。

はぁ?

何言うてんねん

このおっさん・・・

てかここ6階までしか

無いやろ・・・

そう思いながら4階と答える

べきかどうすれば良いのか

考えながら俺はさっき外から

見えた陽子さんの部屋の影の

事を気にしながら考えていた。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド10 終わり⦆



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陽子さんが住むサンハイツ鶴澤の

2階と3階の間にある踊り場で

俺は急ぎ陽子さんの部屋に

戻る必要があると本能的に

感じる中、得体の知れない

明らかにこの世の物とは

思えぬデカすぎる全裸の

おっさんに道を阻まれていた。

そのおっさんが俺に問う。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

あ~もう煩いって何回

同じ事聞いてんねんっ!

て言うかおっさん何で

そんなデカイねんっ!

しかも何で全裸やねんっ!

このおっさんが俺に

聞く前に俺の方が

聞きたい事は山ほど

あるがここはぐっと

堪えて、このマンションに

7階が無いのもひとまず

突っ込まずに置いといて

俺は直感的にこの答え方に

より俺の命運が左右しそうな

予感がする。

最初に俺がこのおっさんに

お前が行くのは7階かと

聞かれた時にいくつか

行動パターンの候補を

あげたが・・・

やはり答えておっさんの

様子を見るという1番俺らしく

無い行動パターンの選択肢

しか無いようだ。

俺が瞬間的に思いついたのは

1.無視してそのまま走り抜ける。

2.効くか効かないかは不明だが

  とりあえず蹴り倒す。

3.4階か7階か迷う所ではあるが

  素直に答えてみる。

1、素通りできそうな感じも無いしなぁ・・・

  もし出来たとしても次の階にもおっさん

  居たらそれこそ時間の無駄・・・

2、いや・・・効かんやろ?蹴りは・・・
 
  空振るのが落ちやわ・・・

  万が一当たったとしても

  このサイズの生き物が倒せるとも

  思えんし当たった場合の反撃が怖い。

  こんな巨人と戦えばそれこそ

  持って行かれる確率極めて大よっ

という事で消去法で3しかないわけやが・・・

何て答えたらええねん。

わっ・・・わかれへん・・・

多分高校の時の物理の試験・・・

P田君こんな気持ちあったんやろな~

俺は耳塚南高校時代の同級生にて

陸上部の同士であるP田という物理にて

伝説の点数1点を取った事のある男の事を

こんな時にも関わらず思い出し口角を上げていた。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

こいつは煩いしよ~

まあ答えるまで聞いてくるんやろな~

これで8階とか言うたら北尾の部屋に

飛ばされたりしてな・・・

ははははっ

もう開き直り一応拳法の有段者である俺は

咄嗟に左前中段構えの体勢を取っていたが

このおっさんは今のところ俺に危害を加える

気は無いみたいで

ただただ、意味の分からない答えようのない

質問をしつこく聞いてきているだけであった。

P田君が1点を叩きだした伝説の物理の試験より

難しい問題に俺は答えを決めた。

勘しかないっ!

消去法やっ!

4階と答えて陽子さんに被害が及べば俺は

切腹物の後悔をするだろう。

今は少しでも早く陽子さんの部屋に戻りたいが

直接的に陽子さんに何か危害が加わる事は

何より避けぬばならない。

7階と答えたら・・・

俺になんらしかの危害が加わるか

このマンションに存在しない

7階に向かう為にこの

デカイおっさんがここを通してくれるか?

賭けであったが俺は

「ああ。

おっさん俺は7階に行くねん」

『・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・』

俺がそう答えた瞬間、しつこすぎる程

俺に7階へ行くのか?と聞いて来ていた

全裸のデカイおっさんは俺に聞くのを

やめた。

するとおっさんは

『口開けてみ~!!!!!!』

なっなんやてっ!?

俺はそう思い笑いそうになったが

笑えない程おっさんの口が見る見るうちに

大きく開いていく・・・

なっなんや?これ・・・

おっさんの口はマンホール大

いやそれ以上の大きさに広がっていくと

中は黒い渦、ブラックホール何か見た事も

無いがブラックホールの様に暗闇のような

空間がおっさんが空けた大きすぎる口の

中に見える。

これアカンやつか?武市・・・・?

と思い横を見たがいつも一緒にヤバイ

思いをしてくれる武市は隣に居ない。

アカン・・・

俺も冷静さを失っているな~

おらん武市に頼ろうとしてるなんてな・・・

俺はおっさんの口が広がりすぎて

この2階と3階の踊り場全てを

ブラックホールのような空間に包まれていく

様子に何もできずただその場で身構えている

しかできずにそんな事を考えていた。

一瞬真っ暗闇の中に身を置くような感じになると

次に前か後ろか上か下かも解らない暗闇の

中で俺は重力すら感じず宙に浮いているの

かと思い・・・

死んだんか?

と次に思う。

死ぬならもっとたくさんのレディと愛し合って

から死にたかったな~

陽子さんゴメン・・・

あのまま何も無かったらええんやけど・・・

武市スマン!俺がおらんかったら

あいつ絶対結婚できんやろうな~

と色々人生について想起していると

パシャッとカメラのフラッシュのような

光と共に身体に重力を感じ俺は部屋に居た。

おっ?死んでないんか?

俺は右手で左手を触りその後

両手で両足を触ると五体満足で両の足で

しっかり床を踏んでいる。

先程までの真っ暗闇で現実味の無い

重力も感じない感覚ではなくこれは

さっきまで陽子さんの部屋で居たあの

時の続きの時間が進んでいるという実感はある。

しかし・・・

この部屋・・・

間取りや作りは陽子さんの

部屋と一緒や無いか?

ご丁寧に電気はついているが

人はおらんのか?

俺は陽子さんと同じ作りの部屋を

ぐるぐると徘徊するが家具も無く

ただ殺風景な部屋でこの部屋は

陽子さんと同じマンションのどこかの

部屋であるであろうが、この部屋に人の気配は無い。

いや・・そもそも誰も住んで居ない

ような感じである。

マジで7階?

幻の7階か~?

俺はあのおっさんにより本当にありもしない

7階に吸い込まれたのであろうか?

ほなここから出たら下に繋がる階段が

あって6階に行けるという事かい?

そう思い俺は玄関へ行き出ようとするが

何度玄関のドアを開けようとドアノブを

回そうが引こうが押そうが開く気配すらない。

堅いというよりそもそもこれは動かない

もので力の問題では無いと思い知らされた。

「ふぅ~困ったなぁ

出れんという事か・・・」

俺はベランダへ出ようとリビングの奥に

ある窓ガラスを開けようと試みるも

やはり出れず。

部屋には本当に何も無いので

素手で窓ガラスを殴ってみるも

強化ガラスかと思うほど堅く

それなのに手は痛くなかったのが

何よりここは俺の知るこのサンハイツ

鶴澤の一室の様に見えるがそうでは

無いと思わされる。

「しかしよ~

この景色どう見ても

陽子さんの部屋のさらに

上階に見えるんやがなぁ・・・」

殴ろうが力づくで開けようが

ベランダには出れないがその

窓ガラスから見える夜の景色は

まさしく俺がさっきまで居た

陽子さんの部屋403号室の

上にある部屋から見ている景色と

思われる。

俺の知る泉佐川市のさびれた

夜景がそこに見え先程タバコと

ジュースを買った自動販売機の

明かりも見えるのだ。

「まあ・・・

レディの部屋でないなら・・・

それに武市もこんなキツネに

摘ままれたような目におうた

時はヤニればええて言うてたしな」

俺は殺風景な部屋の中央にどっかり

胡坐をかきとりあえず落ち着き

一服する事にした。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド11 終わり⦆



プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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