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扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド9

ケジスケの来襲に訳のわからん

家族連れの夜逃げまがいの

エレベータでの怪と今日に

限り何故に陽子さんを自宅へ

送り届けるだけなのにこんなに

困難なのかと少々腹も立っていたが

階段を使いやっと陽子さんの部屋が

ある4階へ辿りつくと年上のレディの

部屋への初入室に俺は少し

緊張していたがさっきのエレベーターでの

出来事によりアドレナリンが大量分泌され

緊張も忘れていた。

それは別の理由で別の緊張感があった

事も関係していたが・・・

「はぁ~疲れた~

さあヒデ君入って~」

陽子さんが玄関先でヒールを脱ぎ

しゃがみながらヒールをキチンと揃えると

玄関から見えるリビングへ

入って行きながら俺に

部屋に入るよう促す。

「あっはい・・・

ほなお邪魔します・・・」

俺の今日のスーツ仕様では

あるが万が一の為に靴先に

鉛が入っている見た目革靴

性能は安全靴である靴を脱ぎ

靴先を玄関へ向け揃えると

陽子さんに続きリビングへ

上がらせて貰う。

陽子さんの部屋は意外にも

パステルカラーのテーブルに

家具で揃えられていてカーテンも

パステル模様で見た目の色気とは

反して部屋は乙女チックな感じがする。

やる気の無さそうなパンダの

クッションがあったので俺はそこに

どっかりと腰を降ろした。

「ヒデ君

少し待ってね~

今コーヒー入れるから

適当にくつろいでいて~」

先程までエレベーターの中に

生きてはいないであろう

4人連れの家族を見て

あるはずの無い地下にエレベーターで

降りていくという怪奇現象を

目の当たりにした陽子さんは

怯えていたが部屋に入り俺と

一緒で1人では無いという安心感からか

少し落ち着いてきたような気がする。

しかし何故か俺は陽子さんの部屋に

入った後も若干部屋が黒ずんで見え

パステルカラーのメルヘンチックな

部屋にも靄がかかったているような

感じに映っていて緊張感は解けては

いなかった。

こんな時に武市居たらな~

俺には何となくヤバイというのは

解るのであるがそれ以上の専門的な

事までは解らない。

しかし今俺はロビンフッドのバイト

帰りであるので愛用のグラサンは

着用していない。

それでいてこの暗さか・・・

何かこの部屋を外から見た時に

感じたのは気のせいか?

さっきの家族連れの影響か・・・・?

それともそもそもこのマンション

自体がヤババイマンションで

陽子さんの部屋に限った事では

無いのか?

俺にはヤバイのかヤババイのかの

区別もつかんし場所も特定できない。

しかし今のところこの部屋には何も居ない

ような気がするのでとりあえずマンション

全体がヤバいのか?

と思い陽子さんが出してくれた

コーヒーに少し口をつけた。

「あっ頂きます~」

「あれ?ヒデ君

砂糖とミルクは?」

陽子さんが手に持っている

スティックの砂糖と

一口サイズのミルクを俺に見せながら

「あっ俺コーヒーは

黒専門なんでっ」

「はははっ

服と同じだねっ」

やっと陽子さん笑ってくれたので

背中に嫌な物を感じ緊張気味であった

俺もやっと同じように笑えた。

「ははははっ

男は何でも黒ですよっ!」

「え~そうなの~!?

ははっもうっ

ヒデ君意味わからんよ~

あっ私お風呂入って

来るから適当にくつろい

でてね。

それともヒデ君も

一緒に入る?」

「ぷぷ~!!!!

えっ?えっ?」

俺は飲みかけていたコーヒーを

噴き出してしまい霊障の時以上の

動揺を見せてしまう。

「もう~そんなに嫌なの~?

うそうそっ冗談よ~

じゃあ待っててねっ」

「はっ・・

ははっ・・・

そりゃそうですよねっ・・・

ははっ・・・」

俺は噴き出してしまった

コーヒーをティッシュで拭きながら

忙しかった1日でやっと1人

落ち着ける時間を持てていた。

はぁ・・・・

今日は店も忙しかったし

ケジスケには会うし

ケジスケは浮浪者になってるし・・・

おまけに変な家族には・・・

しかしあの家族は一体なんあったんやろ?

このマンションで死んだ人とか?

一家4人同時にか?

でもそんな事件じみたことが

あったらニュースにでもなるやろ?

しかもまともに地元やし

それなら俺も聞いたことくらいは

あるはずなんやけどここでそんな

事件あったなんて知らんけどな~

うん!?

俺は陽子さんのベッドの向こう側の

奥辺りから何やら視線を感じ

思いっ切り睨み付けたが誰も居なかった。

ふぅ~気のせいかぁ・・・

あかんな~何か神経過敏

になってるわ~

陽子さんが出て来たら俺も風呂借りようかな?

しかしさっきの陽子さんの

一緒に入る発言は驚いたな~

そんなん陽子さんとの混浴なんて

大歓迎やっちゅ~の!

あれくらいで動揺してしまうのが

まだまだ俺の甘い所やろな~

男はあれくらい受け止めて逆に

面白い返しの1つでも出来んとな~

まあ同じシュチュエーションに武市が

なったらあいつならコーヒーも吹きだせずに

石化してたやろうな~

ぷぷぷっ!

ゴリラの石像になってんよ~

石になったゴリラが部屋にある

気持ちよ~

そりゃ陽子さん気の毒やわっ

霊障よりある意味怖いしなっ

ぷぷぷぷっ・・・

俺がアホな妄想に浸り1人で笑っていると

ガチャッツと音がして入浴を済ませた

陽子さんが出て来た。

うおっ・・・・!!

陽子さんはさっきまでの短めの丈の

スーツ姿とはまた違い寝巻用なのか

デニムのホットパンツに黒のノースリーブの

シャツかタンクトップか解らないような感じの

とにかく露出MAXの姿で現れ髪は下ろさずに

後ろで1つに束ねたものを前に戻しヘアピンで

止めていてさっきまでとは全く感じが変わっていて

今度は俺が本気で石化しそうになっていた。

湯上りの陽子さんの全開に露出された脚は

ほんのりと桜色に染まり動くだけでその

豊潤な肉が揺れ俺の一物を大いに刺激する。

「ヒデ君お待たせ~

え~!?何で1人で今笑ってたの~?」

ゴリラの石像を妄想しそれが部屋にある

陽子さんの悲惨な感じをさらに妄想してしまい

完全な自爆での笑気にやられていた俺を

見て陽子さんは変に思ったのか1人で笑って

いたことを突っ込まれた俺は

「あっいや・・・

ちょっと色々考え事を

していたらですね・・・

友達のゴリラが石化した

事を想像してしまいまして・・・

ははっ・・・

それで何か笑けてしまいまして・・・」

今すでに俺の頭の中からは武市の石像は完全に

消え去り目の前にある陽子さんの艶めかしい

美脚しかなかった。

「もう~何よそれ~?

意味解らんし~

ははははっ

あっヒデ君もお風呂入る?

今日は私もいっぱい世話

かけてしまったし・・・

疲れたでしょ?」

陽子さんがリビングの隣の

キッチンの冷蔵庫から何かを

取り出しながら話している。

「あっいや・・・

そんな世話何て事はないですよ・・・・

あっほな僕もお風呂お借り

して良いですか?

ちょっと酒も抜きたいし・・・」

「うん良いよ~

ゆっくり入って来てね~」

俺は陽子さんのお言葉に甘えて

バスルームの前の脱衣場に向かいながら

「すんません。

ほなお風呂借りますね~」

と言いながら脱衣場に入って行った。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド9 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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