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扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド10

陽子さんの部屋のバスルームを

借りとりあえず汗を流し着替えの

持ち合わせなどは勿論無かったので

着て来たままのスーツの中に着ていた

カッターとスーツの下を履き靴下は

面倒くさいのでスーツの上着のポケットに

しまいそのまま脇に抱えてリビングに

戻った。

「あっ陽子さん

お風呂まで借りてありがとうございました。

めっちゃスッキリしましたよ~」

「良かったぁ

ヒデ君何か冷たい物でも

飲む?」

陽子さんがリビングのテーブルの

前の俺がさっきまで座っていた

やる気の無さそうなパンダの

クッションの上から立ち上がると

冷蔵庫の前に行き冷蔵庫を開ける。

中を覗くが冷たい物はチューハイやら

ビールばかりであった。

「そうですね~・・・

あぁ・・・

さすがにもう酒は良い

から下で自販あったみたいなので

俺何か買ってきますわ~」

陽子さんが冷蔵庫を閉めると

苦笑いで

「あはっ

ごめんね~お酒類しか

置いていなくて~」

「いえいえ。

陽子さん何が良いですか?」

俺は脇に抱えていた

靴下がポケットに入った

スーツの上着をソファに

置くとスーツの下のズボンの

後ろのポケットに財布が入って

いる事を確認し玄関先に向かい

歩を進めた。

「う~ん・・・

下の自販だよね~

じゃぁ・・・

ウーロン茶お願いして良い?」

「ウーロン茶ですねっ

承知。

では行ってきますね~」

少し不安そうな表情で

こちらを見ながら陽子さんが

「・・・

ヒデ君・・・

早く帰ってきてね・・・」

と言っている。

ケジスケの件から

エレベータの家族連れの

この世の者ではないであろう

者達との遭遇とロビンフッドや

陽子さんがバイトする楓のある

テナントからここに来るまで

今日は本当に色々な事があった

ので不安になるのも解るが

俺がマンションの下に行き

マンションの向かいにあるタバコの

自販と並んであるジュースの自販で

ジュースを買い戻ってくるのに

ものの数分。

その間位1人にしても大丈夫だろうと思い

「ははっ

少しの間ですよっ

そんな不安そうな顔

せんどいて下さいよ~

では行って来ますねっ」

と俺は裸足のまま靴を

履き陽子さんの部屋である

403号室を出た。

さっきの今なのでさすがに

エレベーターを使う気が起きず

俺は階段で1階まで降りることにした。

うん?なんやこれ・・・

さっき陽子さんと4階まで

昇って来るときにはそんな

事は無かったのに4階から3階に

降りる階段の踊り場が靄がかかって

見える。

愛用のグラサンは着けていない。

夜だから暗いというわけでも無く

廊下から踊り場にかけては

マンションの設備の明かりがついて

いるのにもかかわらず黒ずんで見える。

やっぱり・・・

このマンションはおかしいぞ・・・

前に武市と高校から大学に上がる

春休みに何件か心霊スポットに

乗り込んだ時に

有象無象のショボイ霊たちが

たまり場を作るみたいなことを

国内屈指の霊能者である

武市の叔母さんの甲田福子先生が

巣と言うと武市から聞いていて

その春休みの心霊スポット巡りで

武市が

「ここは巣やなぁ」

と言うていた所が

俺には全て今見えているような

靄がかかり暗く見えていた。

その時の体験になぞらえると

この陽子さんの住むサンハイツ鶴澤も

巣という事か・・・

さっきのエレベータの在る筈の無い

地下に降って行った夜逃げ家族も

ここが巣やから当たり前のように

居てたんか?

俺は靄のかかった階段をジュースを

買うために3階、そして2階と降って

行く。

勿論さっきは無かった靄が3階から

2階に降りる階段の踊り場にもあり

2階の踊り場を通過しようとした時

俺は一瞬歩を止めてしまった。

その理由は踊り場には明らかに

生きているとは思えない銀色のような

グレーのような肌をした5歳か6歳くらいの

男の子が全裸で三角座りをしながら俺を

見上げていたのだ。

見てんよ~

また俺見てんよ~

何や今日は・・・

しかしこの子・・・

害は無さそうやがこの年で・・・

可哀想に・・・

俺を見上げている子を

避けるように俺は階段を降り

1階まで降りるとマンションの

玄関口を出て向かいにある

ジュースの自動販売機の前に

辿りつく。

そしてジュースを買う前に丁度切らして

いたタバコを先に購入する。

「よっしゃっ!

ヤニ補給完了っと・・・」

俺が外にジュースを買いに来たもう1つの

大きな理由はヤニ切れを起こしていた

事に他ならない。

ヤニ切れを起こしていた俺は

購入した俺が愛煙してやまない

銘柄コールドの箱のセロハンを

外すと箱から1本タバコを取り出し

勇んで火を点ける。

「ふぅぅぅ~

このヤニを我慢しまくって

いた後にヤニる気持ちよ~

めっちゃ小便を我慢した後に

一気に放出する小便の

気持ち良さに匹敵するやろ~」

もう1人仲良くしてもらっている

ヒカルさんのマンションには既に

俺専用の灰皿が設置されていて

ヤニるという蛮行のお許しも

出ている仲になっていたが

陽子さんの部屋は今日が初訪問。

さすがに初訪問のレディの部屋で

ヤニるという行為は俺の武士道に

反する為、俺はこの自販機前で

ひとヤニ入れていく事にした。

コールドを立て続けに2本吸い終わると

俺は愛用の携帯灰皿に吸殻を詰め込み

ジュースの自動販売機でコーラと

陽子さんリクエストのウーロン茶の

ペットボトルを買い陽子さんの

部屋に戻る為に再度マンションの

玄関口の前まで歩いた。

何気なく陽子さんの部屋を見上げたのは

俺の意識的な行動ではなく

何かもっと俺の奥底にある潜在意識が

そうさせたような無意識とはまた

違う内面からの俺から俺への命令を

受けたような感じがしたが深くは気にせずに

陽子さんの部屋を見上げる。

403号室。

隣の部屋は両方ともすでに消灯して

いるが明かりの点いているのが外から

でも解るのが陽子さんの部屋。

なっ!?

そう見えたのかそう感じたのかは

今の俺には判断できないがあの部屋に

陽子さん以外の者が1人確実にいるのが

外から見ればよく解った。

いやそう感じた。

それは今陽子さんのすぐ後ろに居る!

俺は飲むときに炭酸が暴発する事も

構わないと思いコーラーとウーロン茶の

ペットボトルを両手にバトンのように

持ちながら猛ダッシュでサンハイツ鶴澤の

玄関口を潜り抜けた。

1階から2階へ階段を駆け上がる。

「はぁはぁっ・・・」

時間は既に深夜3:00を過ぎており

この時間まで起きている事

ここまで酒を飲んだ後に

歩いた事。

ケジスケを捕獲するのに

久々に全力疾走をしたことから

俺もさすがにバテていて息も

上がる。

そして息の上がる中

2階から3階へ駆けあがった時

俺は目の前にさっきの

銀色の全裸の子供とはまた

別の物を見る。

あのな~・・・

1日に3回は見過ぎやろ・・・

階段を全力疾走で

駆けあがっていた俺が急ストップ

をかけたのは止まらざるをえなかった

からである。

「おっさん・・・



急いでんねん。

ちょっと通してくれへんか?

言葉わかるんあったら

頼むわ~」

俺が急ストップをかけたのは

さっきここで三角座りをしていた

子供が居た位置に踊り場の

天井に届くのではないかと思うほど

デカイ

いやデカすぎる

ゆうに2メートル50センチくらいは

あるのでは無いかと思うほどの巨大な

全裸のおっさんが俺の道を塞いでいたからだ。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

耳に聞こえるというよりは

直接脳に届くような声が

確かに俺に聞こえる。

はぁ?

何言うてんねん

このおっさん・・・

てかここ6階までしか

無いやろ・・・

そう思いながら4階と答える

べきかどうすれば良いのか

考えながら俺はさっき外から

見えた陽子さんの部屋の影の

事を気にしながら考えていた。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド10 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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