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扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド11

陽子さんが住むサンハイツ鶴澤の

2階と3階の間にある踊り場で

俺は急ぎ陽子さんの部屋に

戻る必要があると本能的に

感じる中、得体の知れない

明らかにこの世の物とは

思えぬデカすぎる全裸の

おっさんに道を阻まれていた。

そのおっさんが俺に問う。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

あ~もう煩いって何回

同じ事聞いてんねんっ!

て言うかおっさん何で

そんなデカイねんっ!

しかも何で全裸やねんっ!

このおっさんが俺に

聞く前に俺の方が

聞きたい事は山ほど

あるがここはぐっと

堪えて、このマンションに

7階が無いのもひとまず

突っ込まずに置いといて

俺は直感的にこの答え方に

より俺の命運が左右しそうな

予感がする。

最初に俺がこのおっさんに

お前が行くのは7階かと

聞かれた時にいくつか

行動パターンの候補を

あげたが・・・

やはり答えておっさんの

様子を見るという1番俺らしく

無い行動パターンの選択肢

しか無いようだ。

俺が瞬間的に思いついたのは

1.無視してそのまま走り抜ける。

2.効くか効かないかは不明だが

  とりあえず蹴り倒す。

3.4階か7階か迷う所ではあるが

  素直に答えてみる。

1、素通りできそうな感じも無いしなぁ・・・

  もし出来たとしても次の階にもおっさん

  居たらそれこそ時間の無駄・・・

2、いや・・・効かんやろ?蹴りは・・・
 
  空振るのが落ちやわ・・・

  万が一当たったとしても

  このサイズの生き物が倒せるとも

  思えんし当たった場合の反撃が怖い。

  こんな巨人と戦えばそれこそ

  持って行かれる確率極めて大よっ

という事で消去法で3しかないわけやが・・・

何て答えたらええねん。

わっ・・・わかれへん・・・

多分高校の時の物理の試験・・・

P田君こんな気持ちあったんやろな~

俺は耳塚南高校時代の同級生にて

陸上部の同士であるP田という物理にて

伝説の点数1点を取った事のある男の事を

こんな時にも関わらず思い出し口角を上げていた。

『お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?

お前が行くのは7階か?』

こいつは煩いしよ~

まあ答えるまで聞いてくるんやろな~

これで8階とか言うたら北尾の部屋に

飛ばされたりしてな・・・

ははははっ

もう開き直り一応拳法の有段者である俺は

咄嗟に左前中段構えの体勢を取っていたが

このおっさんは今のところ俺に危害を加える

気は無いみたいで

ただただ、意味の分からない答えようのない

質問をしつこく聞いてきているだけであった。

P田君が1点を叩きだした伝説の物理の試験より

難しい問題に俺は答えを決めた。

勘しかないっ!

消去法やっ!

4階と答えて陽子さんに被害が及べば俺は

切腹物の後悔をするだろう。

今は少しでも早く陽子さんの部屋に戻りたいが

直接的に陽子さんに何か危害が加わる事は

何より避けぬばならない。

7階と答えたら・・・

俺になんらしかの危害が加わるか

このマンションに存在しない

7階に向かう為にこの

デカイおっさんがここを通してくれるか?

賭けであったが俺は

「ああ。

おっさん俺は7階に行くねん」

『・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・』

俺がそう答えた瞬間、しつこすぎる程

俺に7階へ行くのか?と聞いて来ていた

全裸のデカイおっさんは俺に聞くのを

やめた。

するとおっさんは

『口開けてみ~!!!!!!』

なっなんやてっ!?

俺はそう思い笑いそうになったが

笑えない程おっさんの口が見る見るうちに

大きく開いていく・・・

なっなんや?これ・・・

おっさんの口はマンホール大

いやそれ以上の大きさに広がっていくと

中は黒い渦、ブラックホール何か見た事も

無いがブラックホールの様に暗闇のような

空間がおっさんが空けた大きすぎる口の

中に見える。

これアカンやつか?武市・・・・?

と思い横を見たがいつも一緒にヤバイ

思いをしてくれる武市は隣に居ない。

アカン・・・

俺も冷静さを失っているな~

おらん武市に頼ろうとしてるなんてな・・・

俺はおっさんの口が広がりすぎて

この2階と3階の踊り場全てを

ブラックホールのような空間に包まれていく

様子に何もできずただその場で身構えている

しかできずにそんな事を考えていた。

一瞬真っ暗闇の中に身を置くような感じになると

次に前か後ろか上か下かも解らない暗闇の

中で俺は重力すら感じず宙に浮いているの

かと思い・・・

死んだんか?

と次に思う。

死ぬならもっとたくさんのレディと愛し合って

から死にたかったな~

陽子さんゴメン・・・

あのまま何も無かったらええんやけど・・・

武市スマン!俺がおらんかったら

あいつ絶対結婚できんやろうな~

と色々人生について想起していると

パシャッとカメラのフラッシュのような

光と共に身体に重力を感じ俺は部屋に居た。

おっ?死んでないんか?

俺は右手で左手を触りその後

両手で両足を触ると五体満足で両の足で

しっかり床を踏んでいる。

先程までの真っ暗闇で現実味の無い

重力も感じない感覚ではなくこれは

さっきまで陽子さんの部屋で居たあの

時の続きの時間が進んでいるという実感はある。

しかし・・・

この部屋・・・

間取りや作りは陽子さんの

部屋と一緒や無いか?

ご丁寧に電気はついているが

人はおらんのか?

俺は陽子さんと同じ作りの部屋を

ぐるぐると徘徊するが家具も無く

ただ殺風景な部屋でこの部屋は

陽子さんと同じマンションのどこかの

部屋であるであろうが、この部屋に人の気配は無い。

いや・・そもそも誰も住んで居ない

ような感じである。

マジで7階?

幻の7階か~?

俺はあのおっさんにより本当にありもしない

7階に吸い込まれたのであろうか?

ほなここから出たら下に繋がる階段が

あって6階に行けるという事かい?

そう思い俺は玄関へ行き出ようとするが

何度玄関のドアを開けようとドアノブを

回そうが引こうが押そうが開く気配すらない。

堅いというよりそもそもこれは動かない

もので力の問題では無いと思い知らされた。

「ふぅ~困ったなぁ

出れんという事か・・・」

俺はベランダへ出ようとリビングの奥に

ある窓ガラスを開けようと試みるも

やはり出れず。

部屋には本当に何も無いので

素手で窓ガラスを殴ってみるも

強化ガラスかと思うほど堅く

それなのに手は痛くなかったのが

何よりここは俺の知るこのサンハイツ

鶴澤の一室の様に見えるがそうでは

無いと思わされる。

「しかしよ~

この景色どう見ても

陽子さんの部屋のさらに

上階に見えるんやがなぁ・・・」

殴ろうが力づくで開けようが

ベランダには出れないがその

窓ガラスから見える夜の景色は

まさしく俺がさっきまで居た

陽子さんの部屋403号室の

上にある部屋から見ている景色と

思われる。

俺の知る泉佐川市のさびれた

夜景がそこに見え先程タバコと

ジュースを買った自動販売機の

明かりも見えるのだ。

「まあ・・・

レディの部屋でないなら・・・

それに武市もこんなキツネに

摘ままれたような目におうた

時はヤニればええて言うてたしな」

俺は殺風景な部屋の中央にどっかり

胡坐をかきとりあえず落ち着き

一服する事にした。

⦅扉シリーズ 第2.8章 ロビンフッド11 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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