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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン7 西口真由佳の章4

ロビンフッドを出て木林君とはテナントの

駐車場で待ち合わせをすることになった。

私は事情を説明する為に心配している

であろう楓ママにこの後、陽子さんの

所へ行く事を話しに行った。

楓ママはかなり不安そうにしていたが

「まゆちゃんも気をつけて・・・」

と私にお守りを持たせてくれた。

見たこともないような紫色の

高級そうな袋に包まれたお守り

には式神という文字が刻まれていた。

私はお守りをスーツの胸の

内ポケットにしまい木林君との

待ち合わせ場所に向かった。

「お待たせっ木林君っ」

コツンコツンとヒールの音を

立てながら私はテナントの駐車場の

暗闇に黒い上下の木林君を探し当て

近づいて行った。

私の足音に気づいた木林君は

誰かと電話をしていたのか電話を

切ったばかりだったようで胸の

ポケットに電話をしまい込み

「楓のママさんには

上手く伝えれた?」

と優しい口調で聞いてくれる。

「うん・・・

木林君がこの後陽子さんの

所へ行くみたいだから

私も付いて行くとだけ

伝えたよ・・・

陽子さんの事については

木林君も会えていないから

解らないって・・・

伝えた・・・」

「そうか・・・

ごめんなぁ・・・

陽子さんに会えていないのは

本当やが・・・

原因は・・・

あっもう1人陽子さんの

家に行くにあたり助っ人を

呼んであるねん。

ここの国道を横切って

まっすぐ行ったところの

公園で待ち合わせしているから

とりあえずそこに行って

そいつが来てから全て

西口さんには詳しく話すわ。」

私は木林君に従うしかなく

自転車を押しながら徒歩の木林君と

並びながら歩く。

少しの間2人共無言であったが

木林君が先に口を開き

「西口さん・・・」

と自転車を押しながら歩く

私を見て少しトーンの

落した声で呟いた。

「何?」

と木林君を見る私。

「西口さんて・・・

その・・・

幽霊とか・・・

例えば既に死んでいる人間が

霊体になって

俺らの目の前に現れるという

現実を信じれる?

うん・・・

信じれるじゃないなぁ・・・

信じれるというより事実そういう

事が起こったとしたら・・・

その事実を受け入れれる?」

高校の時の木林君を私はよく知っている。

その言葉の半分くらいが冗談でもう半分くらいが

私たちが意味を理解するのに苦しむ程の

造語の連続した不可解な言葉をよく使う人。

木林君の友人で私と同じ陸上部の

同僚でもある冨田君と木林君の会話などは

近くで聞いていても外国語か方言かのように

思う事がよくあった。

2人は同じ陸上部の同僚の北尾君を

よく宇宙人と言っていたが

私から見れば2人の方がより宇宙人に見えた。

その木林君が冗談でも造語を使う事も

なく真面目に私に聞いてきている事だけで

木林君は真剣に今の質問を私に投げかけて

いるのだと伝わるには十分であった。

自転車を押しながら木林君と同じ速度で

歩を進めたまま私は応える。

「昨日までの私なら・・・

信じない・・・

信じれないし受け入れがたいと思うけど

今日の木林君と・・・

それに楓のママの行動が何か・・・

意味があるような気がして・・・

今なら受け入れれるかも・・・

何か陽子さんとその木林君が

いう幽霊?関係あるのでしょ?」

「うん・・・

西口さんが柔軟な子で

良かったよ・・・

詳しくは武市と合流してから

話すけど・・・

武市にはあらかた説明してあるねん。

オカルトに興味の無い西口さんでも

知ってるとおもうんやけど・・・

テレビとかでよく見る霊能者の

甲田福子先生・・・

あの方武市の叔母さんやねん。」

武市・・・

武市君って冨田君?

そして今木林君が言った

甲田福子さんは木林君が

言うように私でも知っている

高名な霊能者である。

しかし同級生の冨田君が

甲田福子さんの甥っ子であった

とは初耳であった。

「え~そうなの!?

武市って冨田君でしょ?

あの冨田君って甲田福子さんの

甥っ子さんだったんだ~」

「そうやねん。

それでな・・・

武市はそっち方面?

いわゆる心霊現象に

対する知識がかなり

あってな・・・

もう西口さんも薄々

気づいてるかも知れんけど

今陽子さんは

俺の予想では何らしかの

霊障にかかってるかも

しれん・・・

ていうか多分そうやねん・・・

その原因になる事が

先週俺が陽子さんのマンションに

行った時に起こってな・・・

というか・・・

俺もそう言う物そこそこ

見えるんやけど・・・

先週の時点で陽子さんの住んで居る

マンション自体が結構ヤバイ感じ

あったんよ~

だから・・・

西口さんにもついて来てもらうんやけど

途中で俺らがヤバい思ったら

すぐに出て行けっていうから

その時は後の事は俺と武市に任せて

素直に出て行ってな・・・

西口さんももしかしたら・・・

あのマンションに居たカスに

狙われてたかもしれんねん。」

「えっえっ・・・・

その・・・

陽子さんの住むマンションが

ヤバいって・・・

それに私が狙われてたかもって・・・・?」

私もさすがに今木林君が話してくれた

内容の全てを理解することができずに

とまどいながら何から聞いたら良いか

解らずにしていると私たちは木林君が

言っていた公園に着いた。

「あっ西口さん・・・

詳しくはあそこに居る

夜の公園が世界一似合わん男にも

一緒に聞いてもわうわ」

木林君が公園のベンチに座り

唯一この近辺にある街灯と

月明かりに照らされている

私も見覚えのある同級生の

冨田君を指さしながら言った。

「あっ・・・

冨田君~」

私は久々に会う陸上部時代の

同級生であり耳塚南高校の

同窓生でもある冨田君に

懐かしさを覚えながら木林君と

一緒に彼が座るベンチへ向かい

歩いて行く。

「武市すまんな~

こんな夜遅くに出張って

もらって・・・

しかしお前ほど夜の公園が

似合わん男もおらんな~

はははっ・・・」

こういう事を言う時の木林君は

大抵その後爆笑するのに心なしか

笑いにも力が無いのはロビンフッドの

アルバイト後で疲れているからでは

無いのは私でもわかった。

「いや・・・

お前は女性の為なら

親でも使う男やからな~

お前のその武士道か騎士道に

俺も乗せてもらうよ。

ってか夜の公園など俺には

無縁の物よっ

この場所を待ち合わせに選んだ

お前のミステイクではないのかい?

木林よ・・・

うん?

てかっあれ?西口・・・さん?」

おそっ!

冨田君私に気づくのんおそっ!

木林君の掛けた声に掛け合う

のに一生懸命でいくら暗闇でも

元同級生に気づかないこの人に

私は高校時代の冨田君その者の

イメージ通り接する事が出来そうな

安心感を抱く。

「冨田君気づくの遅いよ~」

「あっごめんごめんっ」

冨田君が後頭部を触りながら

申し訳なさそうにしているのも

高校時代そのままだ。

「あっ武市・・・

西口さんな・・・

俺が話した陽子さんと同じ

店で今バイトしていて

陽子さんにめっちゃ可愛がって

もうてたねん。

それで陽子さんを心配して

今日俺の店に来てくれたんやけど・・・

あのな・・・

西口さんもよう聞いて欲しいんやけど・・・

武市には昼電話で話したけど・・・

俺らの高校のヨシオ・・・

古典の教師の仲間っておったやろ?

あのオッサン・・・

何が理由か解らんけど死んでんねん。」

えっ?

確か・・・

おった!おったおった!仲間先生っ!

やたら声の高い古典の先生っ!

そう言えば私も木林君も冨田君も

1度副担任になってもらったよね・・・

え~!!死んだのっ!?

なんで?

冨田君は無言で目を閉じ

腕を組み頷いている。

そして口を抑えて驚いている私に対して

木林君は鋭い視線を向けて続ける。

「それでな・・・

どういうわけかそのヨシオが

霊体のくせに生きてる人間・・・

俺は陽子さんの時しか

見てないんやけど・・・

生きてる人間と・・・・

まあなんていうか・・・

その・・・

セックスができる霊体に

なってまだこの辺りを

うろついてるんよっ!

陽子さんはあの日俺が

外にジュースを買いに行っている

間に・・・

ヨシオにっ・・・

それ以降電話しても繋がらんし・・・

店にも顔出してないねん・・・」

バキッ!!

木林君は隣にあった自転車の

かごを思いっきり殴りながら

悔しそうにしている。

にわかに信じがたいけど・・・

木林君の話が本当なら陽子さんは

死んだ仲間先生に犯されたという事?

そんなバカな・・・

でも事実そんな事があればショックだろうし・・・

今店に来ておらずに私や楓の茜ママが

連絡しても繋がらないという事は事実なので

信じがたい話であるが信じれる要素は沢山あった。

あっ・・・

かごが・・・

木林君が無意識に殴った自転車のかごは

私の自転車でかごが歪んでしまっていたが

この空気で私はそれを突っ込むことができなかった。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン7 西口真由佳の章4 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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