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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン11 西口真由佳の章7

公園から左右に人が住んでいるのか

住んでいないのか解らない本当に

暗い民家を抜けて右手にある大きな

駐車場を過ぎると6階や7階の

マンションが三戸立ち並ぶ所に出た。

私は陽子さんのマンションに行くのが

初めてなのでどれが陽子さんの住む

マンションか分からずに居たが富田君が

「あの真ん中のマンションか?」

「ああ・・・

先週よりヤババイ感じが

するなぁ・・・」

という会話をする2人から

私と同じく陽子さんの住むマンションを

知るはずの無い富田君が陽子さんの住む

マンションがどれか分かるあたり

今日1日私が聞いてきたことが全て

真実であるのだなと再認識させられる。

「数がヤババイなぁ・・・

なんやこれ・・・

八龍やスカイハイツ鶴澤の比や

ないぞ・・・」

「マジか?そんなに・・・」

富田君と木林君がマンションの

住人の人たちが自転車を置く

駐輪場から進めずにそこで

立ち止まり話している。

私は駐輪場の空いているスペースに

まだかごが歪んだままの自転車を止めた。

「木林・・・

陽子さんの部屋は何階よ?」

「4階や・・・403号室」

富田君と木林君が無言で見上げる

部屋はおそらくは4階の403号室

陽子さんの部屋なのだろう。

私も同じように部屋を見上げるが

周りにはいくつか灯りのついている

部屋はあったが2人が見上げている

向かってから3番目の部屋が陽子さんの

部屋ならばそこは灯りもついておらずに

カーテンが閉められ真っ暗である。

2人を後ろから見ている私は木林君が

富田君がイダさんという人から貰ってきた

という黒い指先が出ている手袋を装着して

いる右手を握りしめているのを見た。

私はそれを見て今止めたばかりの

自転車を見るが今回ばかりは木林君の

その拳の向かう先は無実の私の自転車ではなく

陽子さんを苦しめているかもしれない幽霊達で

ある事に木林君の拳が頼もしく見える。

「ほな行くか・・・」

「うむ。」

木林君が先に進むことを促すと富田君が

それに続き歩き出し頷いた。

私も2人の後ろから続く。

2人はエレベーターの前に止まり

富田君が上の矢印を押す。

「まぁ・・・

無理やと思うが

エレベーター

試してみよか・・・」

「無理?なんでよ」

木林君が無理だと思うという

様なことを言い富田君がそれに

何故だと理由を聞く。

「前来たときは夜逃げ家族が

地下まで降りて行ったからなぁ」

どういう事なのだろう?

夜逃げ家族?

「はん?なんなよそれ・・・?」

富田君は少し笑いながら木林君の

方を見て聞く。

「まあもしかしたら

また会えるかもな~」

そう木林君が言った時に

エレベーターが到着する。

どうやら人が乗っているようだった。

30代くらいの男性に女性・・・

子供が2人おそらくは兄弟の2人の計4人。

こっこれが・・・

木林君が言う夜逃げ家族・・・?

家族は皆同じ姿勢で俯いている。

「やっぱりか・・・・武市

階段で上がろっ・・・」

「キッツイなぁ・・・・いきなり

これかよ・・・

まあ散華さす必要はないか・・・」

エレベーターは開いたままで

家族4人は手を差し出して来て

手の平を上に向けている。

「ああ・・・

解ってますよ~

下指さすんでしょ?

僕ら下には行きませんのでっ」

木林君は前回来た時もこの

家族に会ってるんだ。

しかしこのマンション地下なんてないし・・・

もしかしてこの表情と言い

気持ち悪い感じと良い

この家族が幽霊なのだろうか?

と言う事は私にも見えていると

いう事になる・・・

急に怖くなってきた私は

「あの・・・

木林君・・・?

あの人たち・・・」

「えっ?

西口さんあれ見えてるんか?」

「うっ・・・うん

ということはやっぱり・・・」

「ああ。

あれが夜逃げ家族や~」

木林君は真剣にそう答え

まだ開いたままのエレベーター

の中で手を差し出している

4人の家族を見ている。

「いや・・・

そうじゃなくて・・・」

私は幽霊なのかどうかを・・・

「武市。あの家族下を

指さすねんよっ

前来たときはそのまま

地下に降りていったから」

「地縛霊か?

このマンションから動けんの

やろなぁ・・・

恐らく下はあの世とこの世の

境か?」

あぁやっぱり・・・

私見てしまった~

しかしあの人たちそんなに

怖い感じも無いよね。

普通の家族連れに見えるし・・・

私は2人の話を聞きながらも

おそるおそるエレベーターの中の

家族連れの幽霊を見ていた。

「あっ僕ら上なんで

行ってくれて良いっすよっ

どうせ下行くんでしょ?」

木林君がそういうと家族連れの

4人の幽霊たちは差し出していた

手の平を上に向けたまま手を握った。

「はぁ?」

木林君は相手が幽霊なのに

今にもツッコミを入れそうな

姿勢を取っている。

すると4人連れの家族の幽霊は

一度握った手をまた広げた。

そしてまた握る。

そしてまた広げる。

それを永遠と繰り返している。

「あんたらこの間とちゃうやないかっ!」

何故か木林君は怒っている。

「木林もうええやないかっ

エレベーターが使えんことに

変わりはないやろっ

行くぞっ」

富田君が木林君の肩をたたくと

腑に落ちないような表情の木林君は

諦めたように階段へ向かい歩こうと

する。

すると4人連れの家族は手を握ったり

開いたりを繰り返しながらエレベータの

中から出て来て私たちに付いてくる。

それに1番早く気付いた私は思わず声が

出てしまった。

「きゃ~!!」

富田君と木林君が振り返り1番

最後尾にいた私と4人家族の間に

身体を挟んでくれる。

「西口さんっ」

富田君が私の前に立ちはだかり

大きな富田君が間に入り私からは

4人家族の幽霊が見えなくなる。

「あんたら~

地下に行くんちゃうの?

何で俺らに付いてくんねんっ!」

木林君が家族連れの幽霊たちに

問いかけるが当たり前だが返事はなく。

「木林っそいつら自我すら

無いから説得なんかできんぞっ!

誰かは解らんが力の強いものに

操られてるかもしくは無我や。

ゾンビと変わらんっ害は無い

やろうから散華させるまでも

無いっ走るぞっ!」

私は富田君に腕を引っ張られ

一気に階段の所まで走った。

「了解~」

木林君も同じように階段の所まで

走ってくる。

「はぁはぁはぁ・・・

あれが・・・

幽霊なの・・・」

1階から2階へ上がる階段の踊り場で

息を切らせた私がつい口からそう漏れて

しまう。

「まあ

そうなんやけど・・・

西口さんにも見えるなんて

なぁ・・・

このマンションの住人は

大丈夫なんか?」

富田君が木林君の到着を待ちながら

私が口から漏れた言葉にそう答えた。

「陽子さん・・・」

私が心配そうにそう呟くと

木林君が到着する。

「武市~増えたぞ~

あの家族増殖してるっ!!」

「何っ!?」

「えっ?うそ~!?」

木林君の声にほぼ同時に

富田君と私が声を上げ

木林君が走ってきた方向を

見ると4人家族の周りには

5人いや・・

6人増えていて軍人のような

服を着た兵隊風の男の人や

ワンピース姿の若い女性それに

老婆など皆家族と同じように

手を前に差し出し握ったり開いたり

を繰り返しながらゆっくり私たちの

方向に歩いて来ていた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン11 西口真由佳の章7 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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