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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン12 西口真由佳の章8

ウヨウヨと私たちをめがけて

歩いてくる木林君曰くの

夜逃げ家族とその取り巻き達。

私は冨田君に手を引かれて

階段を上がり1階と2階の踊り場を

駆け抜けて2階にたどり着く。

下から木林君が叫んでいる。

「武市~!!

もしかしたら

2階と3階の踊り場に

巨人がおるかも

知れんから気をつけれよ~」

きょ・・巨人?

夜逃げ家族の次は巨人なの~?

もうっ何なのっこのマンション。

陽子さんこんなマンションに住んでいたら

おかしくなるはずだよっ

私がそんなことを考えながら2階から3階へ

上がる階段の前で壁のように立ち尽くす

冨田君の真後ろで木林君を待っていると

木林君が階段を駆け上がってくる。

「あかんっ!

武市っあいつら

生意気にも階段まで

昇れるみたいやっ

全員あのおもしゃい手の

動きをしながらついてくるぞ~

笑けて走れるか~よっ」

「そうかぁ・・・

笑いたい気持ちもわかるが

今は少し笑えん状況やぞ・・・

お前が言う2階と3階の間の踊り場には

巨人か何かは解らんが居てるわ・・・

しかも相当数おるぞ・・

このままじゃ挟み撃ちに合うぞ」

木林君が何が面白くて笑けるのかは

私には理解できなかったが今私たちの

おかれている立場が大ピンチであるという

事は理解できた。

「マジかよ・・・

あの巨人が居たらさらに

めんどいぞ・・・」

「冨田君・・・

木林君・・・

その・・・

手袋で何とかならないの?」

私は素人目線ではあるが

当たり前と思える疑問を

2人に投げかけた。

私が公園であの冨田君の開かずのリュックから

冨田君が取り出した手袋はイダさんという

方が作りおそらくはこの2人が頼りにしている

くらいの方だからこういった霊能関係に深い知識を

持ってらっしゃる方なのだろう。

そのイダさんに頂いた手袋を訳があり使って

いないだけなら良いのだがこの2人のことだから

本当にただ忘れているだけならいけないと思い

つい聞いてみた。

「そうやなぁ・・・どうする武市・・・

あの夜逃げ家族は無害やろうけど・・・

もうこうなってくると邪魔やぞっ」

「ああ・・・

しゃ~ないなぁ・・・

しかしこの手袋は耐久力があるから

無限には散華させ続けられんっ

やるんあったら上や。

それに陽子さんの部屋に着いてから

陽子さん救い出すのに部屋にも

相当数いてるように感じたから

その分も計算に入れておけよっ」

そういう事か。

あの手袋には使用の回数か時間に

制限があるんだ。

だから2人は陽子さんの部屋に悪い霊が

居た時に使わなくてはいけないから

不用意に手袋の力を使わなかったのね。

「そうやなぁ・・・

武市っ

俺前行くわっ!

ここから先は俺が先頭に行き

やれるだけやるから

お前西口さん守りつつ

下からくる奴らに追いつかれんように

手袋温存しながら着いてきてくれっ

西口さんっ俺先行くから

絶対武市から離れたあかんでっ!」

木林君はそう言いながら私の横を

駆け上がり冨田君を避けるように追い抜き

2階から3階へ上がる階段を駆け昇って

行った。

「おいっ!木林っ

今のん全部こなすとなると

結構難しいぞっそれっ!?」

そう言うと冨田君はまた

あの開かずのリュックを背中から

下ろすと中から何か取り出した。

今度は上手く開いた開かずのリュックから

出てきたのは透明のビニール袋に入った

白い粉?

が二袋出てきた。

そんな呑気な事をしている冨田君を尻目に

もう私から見える範囲にゆっくりと

階段を昇ってくる夜逃げ家族軍団が

迫ってくる・・・

しかも・・10・・11・・12・・

うそ~

「ねえっねえっ冨田君っ

いや~!!来たよっ来たっ来たっ

しかもさらに増えてるんだけど~」

「もう来たか?

西口さんこの袋

渡しとくわ。

うちの叔母が送ってきてくれてる

塩やねん。

あいつらレベルならこれ

かけたら消えると思うから

念の為に持っておいて。

ほな行こっ」

「あっうんっありがとうっ・・・

きゃっ・・・」

私が冨田君から塩の入った

袋を受け取り手を引かれて階段を

駆け上がろうとしたその右足を

何かが掴む。

『ミノムシさま~

ミノムシさま~

ミノムシさま~』

私の右足首を掴む老人男性の

片目が潰れたような幽霊は

そう呟きながら私の足首からふくらはぎ

へと手を伸ばし這い上がってくる。

私は足を掴まれ動けなくなりその場に

うつぶせでこけてしまった。

「きゃっ!!

痛いっ

いや~!

いやっあぁっ・・

来ないでっもう嫌だっ!」

こけた私のスーツのスカートの

中へ入って来ようとする老人。

しかもずっとミノムシ様~と

言い続けていて本当に気持ち悪く

足をばたつかせるが向こうからは触れて

私の蹴りは当たらない感じでもう何が

何だかわからなくてパニックになりそうな

状態に陥る私であったがその時

「散っ!!」

という声とともに

私の足を掴んでいた

老人に冨田君がさっき

私にくれたのと同じ塩を

振りかけたのか老人は

信じられないことに

花が風に吹かれて散るように

消えていった。

そしてその塩は老人だけで

無く周りにいた2体の霊にも

降りかかりその巻き添えを

受けた軍服を着た霊に学生服の

少年のような霊も同じように花が

散るように消えていく。

「西口さんっ!

ごめんっ大丈夫!?

立てるか?

さあ行くでっ上で木林が

派手に始めてるから道は

開けてるはずやからっ!」

私はこの塩凄いっと思いながら

冨田君に手を引き上げられ

立ち上がると腰が抜けそうな

思いをしたが私の腰は意外にも

しっかりとしていて冨田君に

手を引かれて階段を駆け上がった。

すると2階と3階の踊り場には

何も居ずそのまま3階へ進める。

進む先からは木林君の

「往生せいやっこら~!」

という声だけが姿は見えないが聞こえる。

「木林無駄に

散華の山築いてるな~

あいつの手袋陽子さんの

部屋まで持てば良いけど・・・」

冨田君の独り言のように

呟く言葉が私に変な胸騒ぎを

催させた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン12 西口真由佳の章8 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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