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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン13 西口真由佳の章9

2階から3階に上がり3階と4階の

間にある踊り場で先を進む木林君が

次から次へとウヨウヨいる幽霊を

イダさんという方に頂いた手袋を

使い排除してくれていたので私と

冨田君は下から昇ってくる夜逃げ家族

一行を振り払い殆ど幽霊たちとは出会わずに

来れた。

しかし冨田君はこの3階と4階の間の踊り場で

立ち止まり進むべき歩を止める。

「まずいな・・・

ここ・・・」

冨田君は踊り場のアスファルトの床を見つめる。

そこには何だか黒い水たまりのようなものがあった。

「冨田君・・・・・?」

「あっ・・・

西口さんにも何か見える?」

珍しく冨田君が冷や汗をかいている

ように見える。

「うん・・・

黒い油?なんていうか

水たまりのような・・・

重油が溜まっているような・・・」

「やっぱり西口さんにも

見えるんや・・・

ここは・・・

あの世とこの世の境目というか・・・

なんでこんな普通のマンションに

こんなもんができてんねん・・・」

「えっえっ?

それってどういう事!?」

私が不安気に冨田君に尋ねるが

冨田君は

「悠長にしてられへん。

西口さん説明は後や先に進まな

この水たまりみたいなところから

成仏できんような霊がウヨウヨ

出てくるでっ

ってかこんな所もう人

住めんぞっこれっ」

冨田君はそう言うと先に進もうと

私の手を引き踊り場から4階へと

昇ろうとすると凄い勢いで

木林君が戻ってくる。

「武市ヤバイッ!!!

ていうかヤババイッ!!

陽子さんの部屋の並びの

1番奥の407号室から

ウヨウヨ出てくるぞっ!!

手に負えんぞこれっ!

うおっ!なんやこの水たまりっ!

いや沼かこれ?

こんなもんさっき無かったぞっ!」

「何!?お前が通った時は

無かったんか?

しかも407号室から

大量に沸いて出てきてるって・・・

それ部屋ごとあの世とこの世の

境目になっているという事か?」

冨田君に木林君は意外に落ち着いて

話しているように見えるが普通に聞いていたら

凄くまずい状況のように聞こえる。

それって上からも下からも幽霊の大群に挟まれていて

今ここにある水たまりからも出てくる可能性が

あるという事ではないの?

「うおっ!なんやっこの沼っ

くさっ臭ないかこれ?」

「えっ?そうかな?」

私はそんなに臭いまでは感じないので

そう答えた。

「いや・・・

俺も何も感じんがな」

冨田君も私と同じく何も感じないようだ。

「うそやろ~お前ら

鼻炎ちゃうんかよ~

くさいっすっ!くそうございますっ!

これはくそうございまするぞっ!!」

何でこの状態でふざけれるのか

私には理解不能だが木林君は

これでも案外真面目に話しているのかも

知れない。

しかしここはあえて私は突っ込ませて

もらうことにした。

「もうっなんでこの状況で

ふざけれるのよ~

しかもくさいに何で敬語なの!?」

「しかも木林よ。

そんな敬語無いやろ?」

冨田君が笑いながら私に続いて

くれたけどこの状況でふざけて

しかも笑えるこの2人が正直私は

羨ましかった。

「いやっくさいの敬語はやな~

うおっ!あかんっこれ

あかん臭いわっ!!

くそうございますっ!

臭すぎる鼻取れそうやっ!!」

木林君が両手で鼻を抑えて

そう言うと黒い水たまりの中から

数本の手が出てきたように見える。

「きゃっ・・・うそ・・・

手が・・・」

私はありえない光景に口に手を

当てながら地震も起こっていないのに

揺れる膝を落ち着かせるのに必死であった。

「出てきたかぁ・・・

木林が感じた臭いは

こいつらか・・・」

「あかんっ

こいつら臭すぎるっ!

どうする武市っ!?

とりあえず4階に進んで

陽子さんの部屋まで

強行突破しかないやろ?

ここまで来て戻れんしなっ」

冨田君は悩んでいたが無言でうなずくと

階段の方を向いた。

階段の上からは既に木林君が引き連れて

来たスーツを着た霊や半裸の霊

男女様々な複数体の霊が次から次へと迫ってくる。

水たまりから出てくる霊も居るし

1階から上がってくる家族連れ一行も

もうそこまで見えてきた。

私は半ばパニック状態で

「きゃ~!!もう嫌~!!」

と冨田君に貰った塩の袋から

一握り塩を取ると水たまりから

迫ってくる霊に振りかけた。

そして冨田君と木林君の間を抜け

4階へ行こうとすると木林君が

引き連れてきた大群に出くわし

「きゃ~!いやっいやっ!!」

と同じようにもう一握り塩を

振りかけると水たまりから出て

来た霊に4階から迫ってきた霊たちは

花弁が散るように消えていった。

「おお~!!

西口さんっ・・・

あっそれ武市から

もらってたんか~?

何にせよナイスやっ!

進もうっ!」

「西口さん

塩は自分の身を守るときの

為に残りは取っておきなっ

次からは俺らに任せてっ」

冨田君が今度は後ろで

前の木林君とで私を挟むように

3人で4階へ移動する。

「うん・・・

ごめんなさい・・・怖くて・・・」

水たまりから出てきた霊と4階から

迫ってきた霊が消え少しは落ち着いた

私が冨田君にそう答える。

「うら~!!

お前らっ邪魔すんなっ!!」

4階の廊下を進む木林君が

まだ1番奥の部屋から出てくる

霊達を右手で突くようにしながら

進んでいく。

木林君に突かれた霊はやはり塩を

かけられた霊と同じ消え方をして

行く。

やっとのことで陽子さんの部屋の403号室の

前までたどり着いた私たちは後ろから追って

くる霊たちを冨田君がなぎ倒し407号室から

出てくる霊たちを木林君が突き倒している間に

私が陽子さんの部屋のインターフォンを押す。

3度・・・4度・・・

押すが反応がない。

「えっえっ・・・

陽子さんっ・・・」

「うお~こいつら

どれだけおるねんっ!!

あっ西口さん玄関開いてないか

どうかみてみっ」

木林君が私に霊たちが近づかないように

霊を突きながら私にそう叫ぶ。

「この手袋マジでええな~

おっとっ!

あかんっ足は掴まれるのに

手袋以外では殴れんて不公平

極まりないやろっ

おらっ!」

反対側は冨田君が防いで

くれている。

私は冨田君と木林君が前後を守って

くれている今のうちに木林君に言われた

ように玄関のドアを開けてみた。

すると鍵はかかっておらずにすんなり

開く。

私は

「木林君!冨田君開いたよっ!」

と叫び急ぎ中に入ると

「陽子さんっ!!陽子さんっ!!」

と叫ぶが返答はなく中は電気も

ついておらずに真っ暗であった。

『久しぶりですね~

西口真由佳さん。

少し見ない間に本当に

美しくなりましたね~』

部屋の中からは陽子さんの声の代わりに

凄く高い声で聞き覚えのある声が聞こえた。

そしてそれと同時にガチャンと玄関のドアが

勝手に閉じられた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン13 西口真由佳の章9 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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