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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン28 浮遊霊VS武市&持村3

「と・・・冨田っ!!
あっあれなんなよ~!」

俺は美智子さんの頭の横、白く全裸の少年の足元に
膝まづきながら痛むこめかみを抑え声を振り絞り
冨田に聞く。

「モツ・・・
やぱり・・・この部屋やっ!
この部屋が巣になっとる・・・」

美智子さんの部屋のリビングの入り口のドアに
群がる幽霊の数々。

俺はこれが現実か?
と思いながらその光景を見てこっち方面に
長けているはずの冨田ですらしゃがみ込み
腹を抑えるさまを見て、どうすれば良いのか
分からずに居た。

なっなんやねんっ・・・これ・・・?
夢か?夢なら覚めてくれっ!
いや覚めるべきよっ!
夢と申してくれ~!!

誰に言うわけでもなく俺は心の中で叫んでいた。

「モッ・・・モツよっ!多分そいつやっ!
そのガキなんとかならんのかっ!」

冨田が腹を抑えながら俺に叫ぶ。
冨田がこんなに腹痛に苦しんでいるのは
俺が高校の修学旅行の時に
当時流行ったゲームの召喚呪文のダイダラウェーブ
と叫びながら本当の腹痛で苦しんでいる放送部の貴公子こと
天野の腹の上で暴れていた時以来だ。

しかし今日とあの時では意味が違う。
ゲラ(笑い上戸)の冨田はあの時は爆笑により
腹痛に襲われていたが今日の冨田は俺がこめかみや
耳に受ける痛みと同じ理由で腹痛に襲われている。

間違いない。
そして冨田が言うようにこの子供。
何故に全裸で何故に口内がブラックホールの様に
なっているのかは謎であるがこいつが原因という事も
間違いないだろう。

この子供の声を聞いただけで俺たちは行動不能となるほど
動きに制限がかかる。

この子供はさっきまで美智子さんの周りにまとわりついていた
幽霊達とは違うらしい。

そして驚くべきことにさっき俺におそらく冨田も美智子さんの悲鳴
でもダメージを受けていた。

それは美智子さんがこいつらに憑かれる事により
なんらしかこいつら寄りの身体になってしまってる
という事か・・・

冗談じゃないっ!!ふざけんなっ!!

やっと出来た俺の彼女を・・
年上の眼鏡美人が俺は好きだった。
そんな超ストライクゾーンの彼女が出来た俺への
報いがこれかいっ!!

誰に対する怒りかは分からぬが俺は頼みの
冨田も腹を抱え蹲り、俺も動けぬ中、こみ上げる
絶望感が絶望を通り越し怒りに変わってきていた。

『賢二君・・・

賢二君・・・

助けて・・・』

「美智子さんっ!!
美智子さんっ!!」

美智子さんは先ほど大きな悲鳴を上げた後
目を閉じ確かに寝ている。
もはや寝ているのか気を失っているのかは
分からないが目は開いていない。
しかし今俺は確かに美智子さんの声が聞こえた。

俺はその美智子さんの声が活力となり何とか立ち上がることが出来た。
あまり怒りを表に出さない俺ではあるがこの時は鬼の形相をしていたの
だと思う。

俺は鬼の形相で白い全裸の少年の霊に近づくとその忌々しい口の中に
木林に借りた手袋を嵌めている右手をねじ込んだ。

「うらぁぁっっ!!このクソガキッ!ええ加減にせえよっ!!」

『ルッ‥・・ジジ・‥ジジ・・・』

少年の霊は口に手を突っ込まれ苦しそうに悶えているが
美智子さんをこんな目に合せ俺や冨田にまで訳の分からない
ダメージを与えたこいつを俺は許せなかった。

「何言うてるかわからんのじゃぁっ!」

俺は少年の口の中に突っ込んだ手を更に奥にねじ込むように
すると手が何かに吸い込まれていくような感覚に襲われ手が
取れそうな気がしたが怒りに震えている俺は片手で美智子さんが
助かるなら安いもんだと思い容赦なく手を押し込んだ。

『ジジ・‥ジジ・・・』

少年は機械音のような音を立てながら大きな黒い闇のような
口を開けたまま停止すると俺の耳やこめかみの痛みは治まっていた。

「モツッ!ナイスッ!男やっ!
ようやったっ!動けるぞっ!」

腹を抑えて蹲っていた冨田の痛みも治まったようでやはり
この少年が原因であったのだろう。

冨田は即座に立ち上がりリビングの入り口のドアから
次々と押し寄せてくる幽霊たちを手袋を嵌めた手で
掴んでは投げ掴んでは投げと排除していっている。

「当り前よ~彼女やられて
キレんかったら男ちゃうやろ~」

俺は冨田が動けるようになり少し安心し
先ほど聞こえた美智子さんの声はなんだったんだろ・・・
と思い美智子さんを見ていると
動かなくはなったが今冨田が掴んでは投げしている幽霊や
最初に俺たちが殴り倒した霊たちのように少年の霊が消えない
事が気がかりで

「と・・・冨田っ
このガキ消えへんねんけど・・・
これはこれでええんか?」

と恐る恐る聞いてみる。

冨田がボロい老人の幽霊の頭を
掴みながら俺を見る。

「なんやと・・・
散華せんのか?そいつ・・・」

「ああ・・・消えてないし
河下並みに口開けたままなんやけど・・・」

「おいおい・・・」

冨田が白い全裸の少年霊を見ながら
呆れたような口調になった理由は今
俺が絶句している理由と同じだった。

何と動かなくなった少年の霊の開いたままの口から
火傷をしたような手が這い出て来たと思うとそこから
這い出て来た手は軍服を着た兵隊風の霊だった。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン28 浮遊霊VS武市&持村3 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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