2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン29 黒い奴

「とっ・・・冨田ぁ・・・
俺今日お前におうたあたりの下りから・・・
これって夢やんなぁ・・・」

俺は白い少年の霊の大きく開いた
闇の中から出てくる兵隊の霊、その後からさらに
出てくる、白髪の老婆の霊・・・

それらを見ながら冨田に心の叫びをぶつけた。

冨田はリビングから押し寄せてくる霊たちを手袋の嵌めた
手で次から次へとなぎ倒しながら

「モツよっ!!俺もそう思いたいけど
これは、まさしくリアルよっ!!」

分かってはいたが当然の答えが返ってくる。
そうこれはリアルである。

「なんちゅうっ!!こんなふざけたリアルがあると申すんけっ!!」

俺はやけくそになりながら手袋を嵌めた手で、白い少年の口から
這い出て来た兵隊霊と老婆の霊に次々とモツムラナックルを浴びせると
霊たちは散りゆく花弁のように消えていく・・・

しかし俺の足元にはさらに白い少年霊の闇のような口の中から
新たに出て来た太った眼鏡をかけた霊が俺の足首を掴み悶えている。

「うっうおっ・・・うわぁぁぁ」

俺は太った眼鏡をかけた霊に足首から身体に
這い上がって来られそうになり、恐怖と驚きで
尻餅をついてしまった。

「モツ~!!」

冨田はリビングのドアの向こう側から押し寄せてくる
霊たちの駆除に手いっぱいで俺を助ける余裕が
無さそうで俺を見て心配そうな叫びをあげている。

あかん・・・
俺みたいな素人にどうこうできる
もんちゃうよ・・・こいつら・・・

俺は太った霊に身体に這い上がってこられて
半ばあきらめかけていた時、美智子さんの
部屋のリビングの向こう側の浴室か手洗いあたりで
叫び声が聞こえる。

「おのれら~!!どこから湧いて出てきてんねんっ!!
レディの風呂場はお前らの溜まり場ちゃうんやぞっ!!」

この声は・・・
俺は太った眼鏡の霊と更に白い少年の口から出て来た
2体の霊に乗りかかられ意識が朦朧としている中、俺は
その声を聞き、やたら全身を黒い服に身を包む、黒い奴を
思い浮かべていた。

「おっお~!!木林ぃぃぃぃ!!」

ゴリラ吠えてるなぁぁ・・・

俺は朦朧とした意識の中でゴリラの咆哮に黒い奴の姿を思い浮かべながら
目の前に来た気持ち悪いデブの眼鏡の霊の顔で意識が戻る。

「うおぉぉっ!きも~!!お前きも~!!
何じゃこらぁぁぁっ!!」

俺は力いっぱいその眼鏡デブを殴っていた。
眼鏡デブは枯れた花弁のように俺の目の前で散って行った。

すると俺にまとわりついていた霊たちも駆け寄ってきた
冨田に殴り消されていく。

「モツッ!しっかりせいっ!
意識しっかり持て~!!」

ゴリラが暴れている。
俺は大暴れするゴリラに腕を引っ張られ立ち上がらせてもらい

「すっすまん・・・冨田
意識が飛びそうになってたわ・・・」

「しゃ~ないよ。
初めての霊体験がこれではなぁ・・・
しかしこの部屋が巣あったみたいやなぁ・・・
あいつが来てくれんかったら数でやられてたわ・・・」

あいつとはあそこで容赦なく霊たちを蹴りまくっている
あの黒い奴。
木林がどうやら来てくれたらしい。
斎藤さんは無事やったんかな?
俺はそう思いリビングのドアの向こうでゴミくずのように
霊たちを次々蹴り消していく木林に白い少年の口から
更に出てくる霊に一撃を入れながら叫ぶ。

「キバ~!!斎藤さんは無事かぁ!?」

「おうっ!モツッ!生きてたか!?
武市もよう聞いてくれっ!
アズサの所に義男いてよ~!!
あのカスッ!!
あのカスはぼてくりまわしたけど
しぶとくて逃がしてしもたが・・・
今はアズサの部屋はなんもないっ!
このマンションの巣はここやっ!
お前ら見てへんかったんかよっ!
この部屋の風呂やっ!
ブラックホールみたいになっとる!!」

「やはりそこかっ!!」

冨田が木林が居るリビングの向こう側の廊下まで
走って行く。
俺もそれに続き美智子さんは気になるがひとまず
行くことにした。

木林が風呂場から次々に出てきている霊たちを駆除しながら
浴室にまで侵入し浴槽を眺めながら叫んでいる。

「あの白いガキの口とここか・・・
そりゃこの数にもなるわ・・・」

冨田が呆れたようにつぶやく。

「武市っ!!これのふたの仕方とか
わからんよな!?」

「ああ。今は無理や・・・
叔母や綾さんとか伊田さんなら
方法知っていたり道具も持っているかも
知れんが今は方法もわからんし道具もない!」

マジかよ~
そんなあっさりと・・・

俺は2人の会話を聞きながら風呂場を見て気分が悪くなり
すぐに残してきた美智子さんの事も気になったので
リビングへ戻った。

リビングでは白い少年の口から更に出て来た学生服を着た霊に
エプロンをした若妻風の霊がリビングから今度は廊下に迫ってきていた。

「武市っ!肉体労働やっ!
お前美智子さん抱えてアズサの部屋に先に
行っててくれっ!
あっちは今は安全やっ!
モツッ!モツッ!お前は美智子さん抱えて移動する
武市にカスどもがよりつかんように
排除していってくれっ!
俺はできるだけここに居るカスどもを排除した
らアズサの部屋に向かうからっ!」

木林はそう叫びながらリビングの中に入ってくると
目の前に居た2体の霊たちを容赦なく蹴りつぶすと
動かなくなったがその口から次々と、霊たちを出し続ける
白い肌をした全裸の少年に向かい蹴りを入れる。

「次から次へとカスども出しやがって!
お前はドラえもんかっ!!」

蹴りはヒットしたが少年霊は吹き飛んだだけでやはり消えない。

「なんや・・・こいつ・・・
義男並みに手ごたえないなぁ・・・
おらっ!おらぁっ!」

ヨシオ?さっきも言っていたがヨシオとは・・・
俺はそのワードも気になったがとりあえず今は
木林があの少年霊を倒してくれることを祈る。

木林は何度も少年霊に蹴りを入れているがやはり
少年霊は消えない。

「おいモツッ!いくぞっ!」

俺は木林の動きに目を奪われていたが冨田の声により
既に美智子さんをおぶっていた冨田に気づく。

「あっあぁ・・・」

俺は冨田に近づく霊たちを排除しながら美智子さんと冨田を
斎藤さんの部屋にまで連れていく任務があった。

俺は冨田に寄り添うように移動しながら木林が気になり
振り返ると木林に蹴られた少年の霊は宙に浮いていて
まだ消えずにいたが木林がその少年の霊に飛び蹴りを
加えようと飛び上がった時、木林の足は赤く輝きその赤を
装飾する用のさらに銀色に輝いているように見えた。

パシャ・・・・

ヒットした木林の蹴りにより今まで何をしても消えなかった
白い少年の霊は他の霊たちと同じように散りゆく花弁の
ように消え去っていった。

おっおおぉ・・・キバすげぇ・・・

「ふぅぅっ・・・やっと消えよった・・・
あとは風呂場か・・・」

木林のその声を背中で聞きながら俺は冨田をガードしながら
斎藤さんの部屋を目指した。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン29 黒い奴 終わり⦆





コメントの投稿
非公開コメント

プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
扉裏口通過人数
スポンサーリンク
ランキング
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ
にほんブログ村 アダルトブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR