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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン33 無理やり救世主

木林は親父さんの車を俺も見覚えのあるマンションへ走らせた。
木林が走らせたマンションはスカイハイツ鶴澤。

木林がバイトをするロビンフッドのお客さんのヒカルさんという人や
俺や木林の高校時代からの同級生であり、現在大学も共にする
北尾が住むマンションである。

俺はここに来てやっと、木林に理由を聞く。

「なあ、木林よ~お前はこのマンションに用が
あり俺を乗せたまま、このマンションまで車を
走らせたのか?」

木林は胸のポケットからスマートッフォンを取り出しながら

「なあ、武市て~?
お前はここに北尾が住んでいる事は
知っていると思うが、このマンションの
大家、すなわちオーナーは誰か知って
いるのかい?」

「いや・・
知らぬが誰よ?」

木林は手にスマートフォンを持ちながら
何故かこみ上げる笑気と戦っている。

プププッ・・・

木林は俺の問いに応えたいのであろうが
こみ上げる笑気が邪魔をして言葉が出ない様である。

俺は木林のこの反応を見て、木林が名前を告げるだけで
これほどの笑気に襲われる人物は、日本国拾広しと言えども
数えるほど、その数えるほどの1人がこのマンションに住んでいる。

そうか・・北尾の親父さんか・・・?
北尾の親父さんは今や日本各地に店舗を持つ大手メガネチェーン店の大社長。
マンションの1つや2つ所有していてもおかしくはない。

「あ~ん!木林っなんてスケベな奴!
笑気のみで、言葉を発せずにその
存在を俺に知らしめるとは!
まさかこのマンションのオーナーは北尾の親父か?」

木林は腹筋を抑えながら首を横に振り

えっ?違うのか?

「武市よ・・・」

木林はやっと笑気から解放され息を切らせながら一息つくと

「北尾の親父がこのスカイハイツ鶴澤の
オーナーであるとしたら、あの大金持ちの
オヤジさんの事やし、至極当然、俺も
腹筋にダメージを受けることはないさ・・・
このマンションな・・・
ププププッ・・・
オーナー北尾なんやって!
ハハハハハハッ!!」

「ぶわはははははっ!!」

俺は笑った!しばらく陰気臭いことばかり経験してきたここ最近
久々に爆笑した。
木林もまだ笑っている。

この洒落たオートロックの9階建ての鶴澤では珍しい高層マンション。
デザインなども他のマンションとは一線を画している。
そのマンションのオーナー。つまり所有者が北尾の親父さんでなく
北尾本人という事を俺は今まで知らなかった。

いや北尾の親父さんだとしても知らなかったのだが
あの北尾がこのマンションのオーナーであるという事に
木林同様、俺は笑いのツボを激しく刺激された。

普通なら金持ちの友人の1人がマンションのオーナーであっただけである。
そこまで笑えるのか?
と思うであろうが、それは普通の友人であった場合である。
北尾は北尾なのだ。
この場合、このスカイハイツ鶴澤のオーナーが北尾である。
という事が俺や木林にとっては致死量の笑気に見舞われるほど面白かったのである。
俺も木林もようはただのアホである。

ひとしきり爆笑し終え俺は再度口を開いた。

「はぁはぁ・・・
なあ木林よ・・・
よもや、お前はその衝撃の事実を
俺に告げ、俺をお前の親父さんの
車の中で笑死させるためにここまで
連れてきたわけではあるまい。」

木林も爆笑し終え息を切らせながら

「はぁはぁ・・・
無論よ。
まあお前ちょっとここで
待っておいてくれ、その理由は
オーナーが来てからお前にも一緒に
説明するから・・・」

木林はスマートフォンでどこかに電話しながら
車を降り、マンションの玄関へ歩いて行った。
オーナーとは勿論、北尾の事である。

俺は木林の車のドアを開け、煙草に火を付けながら
車を降りて行き、マンション内へ入って行った木林を待つ。
こんな時は、喫煙可能な車である木林の親父さんの車は
有難い。

しばらく煙草の煙を車の外に吹きながら、灰皿で煙草を
消し終えた頃、マンションの玄関から黒づくめの男に耳を
引っ張られながら出てくるやたらカジュアルな眼鏡をかけた
細身の男が居る。

このマンションのオーナー北尾である。

木林がオーナーの耳を引っ張りながら出てくる姿を見ていると
まるで貧乏大学生がパチンコをするために無謀な借金を繰り返し
ついには取り立てにあっているという末路を見ているように見えるが
今耳を引っ張られている男は、このマンションのオーナーであり
大学生のくせにいつも外食時にはデザートに1000円以上を
平気で使う男である。

取り立て屋と借金学生・・・
いや木林と北尾が車に近づくに連れ車の窓を
開けている俺にも2人の声が聞こえてくる。

「いてててっ・・・
いや木林~俺には何のことか
さっぱりなのやが・・・」

「だから人助けや言うてるやろっ」

「いてててっちょっと待て木林!
俺は今から聖闘士聖矢の
冥王ハーデス編をウォッチしながら銀座のケーキを
イートする予定だったんでっさ。
それよりも大事な事なのかでっさっ?」

北尾の耳は既に左右の大きさに違いが出る程
引っ張られている左耳が開いているが北尾の
この言葉が木林の耳引きの刑に捻りをくわえさせた。
北尾の十分に伸びている耳を捻る木林。

「お前はレディの役に立つ事よりも
聖闘士聖矢を見ながらケーキをむさぼる方が
大事と言うのかい?」

木林の北尾の耳を捻る手に力が入る。

「いてててっ・・・
ギブッ!ギブアップでっさ!!ストップ!!
ストップ!!プリーズでっさっ!!
うん?レディ?その人助けの相手は
レディなのかでっさ?」

ここまで引っ張られ捻られ耳が真っ赤になり
やっと聞く耳を持った北尾に木林は手を離す。

そしてレディと聞いた北尾の眼鏡が光ったのを
俺は見逃さなかった。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン33 無理やり救世主 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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