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扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン34 無理やり救世主2

黒づくめの闇金業者に海の水雲とされるが為、耳を引かれながら
車に連行されてきた借金学生の耳は少し開いていて赤く変色していた。

その借金学生こと北尾が車に乗るなり俺に言う。

「よう武市もいたのかい?」

俺は北尾が車に乗るだけで、北尾の耳から発せられる
温度により車内が2度ほど温度が上がったような気になる。

車内の温度を上げた北尾は続けざまに言葉を発する。

木林は俺に絡んできた北尾を無視し無言で車を出した。

「なあ、武市て~?
今の俺の耳はデスクイーン島のマグマの
ように熱いのやが、お前のダイヤモンドダストで
冷やしてくれんかのう?」

とにやけながら眼鏡を光らせ後部座席の
真ん中に陣取りながら俺に言ってくる北尾。

俺もマンションから連れ出され木林に耳を
引っ張られながらここまで来る2人のやり取りを
見ていたし、聞いていた。

聞く気も無かったが聞こえてきたが正しいか?

そのやり取りの中で、奴は今から銀座のケーキを食べながら
聖闘士聖矢の冥王ハーデス編を見たいから、助けを乞う友人の
誘いを断ろうとしていたはず・・・

おそらく先程の木林の話では奴は全てを語ってはいないが
スカイハイツ鶴澤のオーナーである学生ブルジョワ眼鏡の
北尾に頼み、今西口さんの部屋で避難している彼女たちの
何人かに、スカイハイツ鶴澤に住ませてやってもらえないかと
頼もうとしていると思う。

そして、見た目通りの大の女好きの北尾に彼女たち4人と
会わせる事により、北尾から率先して協力させようとしている
と俺は見ている。

木林との付き合いの長い俺には奴の策もそろそろ読めてきた。

それなのに、この男は・・・

俺もこの間まで絵画の呪いで量産型スゴックのような顔色を
していた癖に、綾さんのお陰で救われたとはいえ、その後も
色々と大変な目にあっている、俺たちに比べ能天気なコイツ
に何だか腹が立ってきて・・・

「よし。北尾よ・・・
その耳色はさすがに悪すぎるな。
俺のダイヤモンドダスト・・・
いやオーロラエクシュキューションで
冷やしてしんぜよう。
ユアイヤープリーズ!」

北尾のアホな聖闘士聖矢ネタにわざと乗ってやった
俺に奴はご満悦の様子で、満面の笑みでにやけていた
顔をさらににやけさせて、深夜で道を歩いていたら
歩いているだけで補導されそうなほどのにやけ面で
後部座席、中央から助手席に乗る俺と運転席で運転する
木林の間に顔を持ってくる。

「なあ武市て~
お前が既にオーロラエクシュキューション
まで使える男とは思わなんだでっさ。
してどのようにこの灼熱の耳を冷やして
くれるのかでっさ?」

嬉しそうに俺と木林の間に身を乗り出して
きた北尾の灼熱の左耳を掴む俺。

「鳳翼天翔~!!!!!」

俺は北尾の左耳を力一杯引いた。
そして木林が北尾をここに連行して
来た時のように捻る。

「ノー!!ノー!!!
ストップ武市!?
マイイヤーイズベリーヒート!!
ベリーヒートでっさっ!!」

「お前は同級生の頼みよりそんなに
聖闘士聖矢が大事か~!」

「わかったっ!わかったでっさっ!!
このままでは俺の耳はそれこそ
フェニックスの翼のように開ききるでっさっ!」

すると運転をしながら木林が左手でまだ
無事な北尾の右耳を引っ張る。

「北尾よ。
フェニックスの翼とはこのように
両方開いてこその翼じゃないのかね?
鳳翼天翔~!!!
ぎゃはははっ」

「がはははっ」

俺と木林は爆笑しながら北尾の両耳を引っ張り
北尾の耳は左右、共に赤く開いている。

「いてててっ!
ノー!ノー!!
オーマイゴッ!!
ライトイヤーベリーレッドッ!!
ノー!!」

やはり俺たちには北尾が必要であると俺は
後部座席で両耳を抑え、いまだにやけている
北尾を見てそう思う。

ここ最近、俺や木林の周りでは良くないことが立て続けに
起こり、普段は会えばアホな話ばかりしていた木林とも
最近ではシリアスな重い空気の会話しか交わしていなかったが
北尾が居れば、こういうときでも笑いが起こるのだ。

やはりこいつは天才だ。

何の根拠も無いが俺はそう思った。

「なあ木林て~
所で、俺達は今
いずこへ向かっているのでっさ?」

北尾がシートベルトの耳を冷やしているのか
金具の部分を耳に当てながらそう聞いた。

俺はルームミラーに映るその北尾の所作に
吹き出しそうになるが真面目に話しそうな
雰囲気の木林を見て、笑いを堪える。

全くこいつはいつか人を笑死させるのでは
ないかと本気で思う俺であった。

北尾の質問に木林は

「西口真由佳さんの家よ。」

「西口さん・・・
西口さんてあの俺たち耳南陸上部の
美人マネージャーであったあの西口さんの
事かでっさ?」

「そう。その西口さんよ」

「ホワイ?」

おそらく木林の手の届く範囲に居たら
三度耳を引っ張られていたであろうこと
請け合いであるが木林は北尾のアホな
英語による問いかけにも真面目に答える。

「実はな・・・
今西口さんの家には
霊障にあった女性が3人
避難しているんよ。」

「れ・・・霊障かでっさ?
それはこの間俺が合ったような
感じなのか?」

「ああ。
まあ似たようなもんや・・・
しかしお前が量産型スゴックの
ような顔色になっていた時より
彼女たちの方がメンタル的に
受けているダメージが大きいんよ。」

「それは・・・さすがに気の毒だな・・・
それで何か俺に出来る事があれば
良いのだがな・・・
何でも言ってくれでっさ・・・」

さすがに北尾もふざけることはせずに
真剣な面持ちになってきている。

「ああ。
それで相談なんやがな・・・
あっその前に・・・
今避難している3人のレディのうちの
1人はお前も知っている斎藤アズサや。
耳南のな。
あとの2人は年上の美女や。
まあ1人は持村の彼女やけどな。」

「斎藤さんかぁ・・・
大学も一緒やし・・・
確かに知っている顔や。
俺はそこまで絡んだ事はないが
可愛い子であることは確かやな。
それはまた気の毒やなぁ・・・
あとの2人は年上で持村の彼女が
その1人のレディなわけやな。
まあ俺にも今や、リョウコさんという
美大の彼女がおることやし、この年に
なれば彼女がおらん方がおかしいというもの
なあ武市て?」

俺は自分の手がそこまで延びるんかと思うほど
手が伸びそして早かった。
俺は北尾が話し終わった瞬間、北尾の左耳を
掴んでいた。

「いてててっちょっと・・
俺は今何かお前の気に障る事を
言ったとでもいうのか?」

「北尾~!この年でも
彼女がおらん人間がここにおわすっ!
お前の眼鏡にはこの俺は映っていないと
言うのかね?うん?」

俺は後部座席に座る北尾の耳を捻りながら笑っていた。

「いやっスマンッ!俺は
かなり以前に大学でそれこそ
今木林が名前を出した斎藤さんに
会った時に、少し彼女と話したんやが
斎藤さんが言うには、お前には眼鏡美人の
彼女が出来たと・・・」

なんとっあっちゃんっ!!なんたる勘違いをっ!!

「ぷっぷぷっ!!
ぶわっははははっ!
アズサあいつ何でいっつも
トラブルメーカーやねんっ!!
だから豚に追いかけられるんよ~」

木林が隣で爆笑している。
俺も北尾の耳を離し、爆笑していた。

「いや・・・
何か俺は引っ張られ損のような
気がするのだが気のせいか?」

再び左耳を抑えている北尾に木林は
スカイハイツ鶴澤の空き部屋があれば
彼女たちの何人かを住ませてやって
欲しい旨を伝える。

北尾は耳を抑えながら、北尾の部屋の右隣りは
埋まっているが左隣なら空いていて住んでも良いと
快く引き受けてくれた。

木林は笑顔でうなずき西口さんに連絡を取り今から
行くことを伝えるとそのまま車を走らせた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン33 無理やり救世主2⦆




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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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