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扉シリーズ 第3.5章 ミノムシの逆襲8 突入するものに残される者

茜ママは陸上部の現役の時の武市並みに速かった。

あの細い足でしかもヒールでなんであんなに速いねん・・・
俺も短距離専門と言うわけではないが、元陸上部の端くれ
俺が所属していた中距離パートは時には短距離の練習も
するので、一般の人よりは短い距離でも速く走れる自信が
あったが・・・

しかもママ、ヒールやのに・・・

コツンコツンコツンッ!!

茜さんのヒールが地面を蹴る音がロビンフッドやスナック楓
が入っているテナントの横のアスファルトに鳴り響く。

「ヒデ君っ!近いわっ!」

「えっ!?マジっすか!?
テナント出たばっかりっすよ・・・」

俺は階段を駆け下りてテナントのビルを出て
少し国道添いに走ると急ブレーキをかけるように
止まった茜ママの後ろで止まる。

「ここね・・・」

茜ママはテナントビルのすぐ隣にある今は営業されていない
焼き肉屋
【焼肉モロコシ】
という店の前で止まっている。

ここか・・・

「あっ!?」

あの歪んだ籠のチャリンコは・・・

俺は前日に西口さんを家に送り届けた時に
公園で会話の流れから怒りに任せてどついて
歪ませてしまった西口さんのチャリンコの籠が目に入る。

あの歪み方・・・まさしく西口さんのチャリンコ・・・

「どうしたの!?ヒデ君?」

「あっそこで倒れてるチャリンコ・・・
西口さんのんですわ・・・」

茜ママが「ここね」と言った
焼き肉屋モロコシの裏口の横に
西口さんの籠の歪んだチャリンコが倒れている。

俺は何か背筋にゾワゾワとする寒気でも悪寒でもない
物が走る。

義男に対する怒りからなのか・・・

それとも西口さんまで、陽子さんや美智子さん、アズサのように
義男に・・・

そう思うと俺は胸が苦しくなり目頭が熱くなってきていた。

あのカスッ!!!
何べん蹴り倒したら消えるねんっ!!

茜ママは怒りに震えている俺を優しい目で
見ながら

「あの自転車は真由佳ちゃんのものなのね・・・
ヒデ君・・・
ごめんね・・・
君も真由佳ちゃんを助けに行きたいでしょうけど・・・
ここからは私が1人で行くわ・・・
相手が色情霊という事は
真由佳ちゃんも君に見られたくない
状況である可能性が高いでしょうし・・・」

確かにそうだ・・・
陽子さんの時もそうだった。

しかし俺は義男のカスにはなんぼ蹴っても蹴り足らない
くらいの恨みがある。

「そっそれはそうっすけど・・・
しかし義男のアホには・・・
あっ・・うぅ・・ママ何を・・・」

俺は茜ママに香水のような物をふりかけられると
とてつもない気持ち良さと共に強烈な眠さに襲われ
その場で力が抜けて行った。

「ごめんね。
ヒデ君・・・
これは私の霊具の1つで
本来は霊を見せたら危険な人を
眠らせる為に使うものなの・・・
発狂しちゃった人を大人しくさせる
為とかね・・・」

そう言いながら茜は崩れ落ちる木林を受け止め
焼き肉屋モロコシの脇の路地にあるベンチに寝かせた。

「ここなら・・・人通りも無いし
みぐるみはがされることもないよね。」

茜は笑顔で眠る木林を見ながら

「君は本当に不思議な子ね。
あの人が・・・源二さんが
気に掛けるのも解るわ・・・」

そう言いながら茜は営業されていない
焼き肉屋モロコシの勝手口から店内に入っていた。

奥からは明らかに真由佳の悲鳴とも喘ぎ声ともとれる嬌声が聞こえてくる。

「あっあああぁぁぁっ!!きゃぁぁぁぁっ!!
いや~!!仲間先生っ!太いッ!!壊れちゃいますっ!!
もう許してくださいぃぃ・・・」

何という事なの・・・遅かったか・・・

茜は相手が色情霊であると木林から聞いた時から
高い確率で真由佳が犯されているであろうという
予測はしていた。

しかしまだその過程であれば何とか救いたいとも思っていたのだ。

なっ・・・この店にも穴が・・・

茜が真由佳が色情霊に犯されているおそらくは
店内の座敷のあたりであろう場所に歩を進めると
店のカウンターや調理場の裏にある控室のような
部屋の開いたドアから浮遊霊が3体ほど顔を覗かせていた。

真由佳ちゃんを犯している色情霊はもうかなりの人数の
生きた女性の精液を吸い取っているようね・・・

色情霊は生きた人間の精液を吸い取ることで色情霊として
成長する。
成長した色情霊は自分が事を起こそうとする
スペースに自動的に穴を作る。
高位の色情霊になればなるほどその穴から出てくる
浮遊霊もバリエーションに冨み人間にとって害悪な
浮遊霊が多く出てくる・・・

しかしあの色情霊木林君の話では、ヒデ君や真由佳ちゃんが高校を卒業してから
死んだ元教師・・・
それならまだ色情霊になり1年も経っていないはず・・・
そんな短期間で穴をあけれる存在にまで成長するなんて・・・
外的要因が働いていそうね・・・
誰か彼を利用して良からぬ事を考えている者が居る・・・?

茜は穴から出てきた3体の浮遊霊に向かいゆっくり歩くと
白のスーツの上着の内ポケットから扇子を取り出すと
一閃した。

シュルルルルッ!!

キュイーンッ!!

一閃した扇子は浮遊霊三体を撫で斬りにすると浮遊霊たちは
およそ不浄の霊が奏でる音とは思えぬほど美しい高音と共に
散華した。

「哀れな者達よ。
せめて美しい挽歌に
奏でられ逝きなさい・・・」

茜は扇子を手に持ったまま
さらに座敷に向かい歩を進める。

真由佳ちゃん・・・

ここまで真由佳の悲鳴が聞こえてくる。
耳が痛い・・・
胸が痛い・・・
茜は暗い店内ではあるが外のテナントの灯りが
少し入ってくる薄明りを頼りに自慢の俊足を急がせた。

コツンコツンコツンッ!

「あっあ・あ・あ・あ・あ・・・・
あぁ・・・もう無理・・あぁ・・・
それはいや~!!その突き方やめてくだ・・・
ひぎぃぃぃぃぃぃっ!!あぁぁぁぁっ!!いくぅぅぅっ!!」

真由佳ちゃんっ!!

茜が速足で店内を座敷へ進む。
途中襲い掛かってきた浮遊霊2体を速足のまま
美しい挽歌を奏で散華させるとやっと
真由佳の居る座敷に着いた。

そこに真由佳の姿が視界に入った
瞬間、茜の切れ長の美しい瞳からは
大粒の涙が頬を伝っていた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ミノムシの逆襲8 突入するものに残される者 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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