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「うん・・・

木林君なら陽子さんと

ここまで一緒に

通勤していたくらいだから・・・

その何か知っているのかなと

思って・・・

私が連絡しても・・・

楓のママが連絡しても

携帯電源切ってるでしょ?

陽子さん・・・」

私は木林君が作ってくれた

2杯目の水割りが入ったグラスを

両手に持ち膝の辺りで持ったまま

木林君にいきなり本題をぶつけた。

木林君はやっぱりそうかという

ような表情を浮かべるといつもは

口数の多いのが特徴の彼が

しばらく無言でただ私の方を・・・

いえ・・・

私のさらに後ろ・・・

何も無い壁を見つめていた。

そして私はビクッとした!

木林君が高校時代から見せたことの

無い怖い形相で何かに激しく怒っている

ような表情でその壁を睨み付けた時

私の全身にゾクッとする寒気のような

悪寒が走った。

そしてまたしばらく無言で俯く

木林君に私は落ち着かずに足を組み替え

木林君の何に対して怒っていたのか

分からない怒りに震えて緊張していた。

木林君は私の膝のあたりにあった視線を私に

向け話し出す。

「西口さん・・・

陽子さんの事は・・・

その・・・

ここでは詳しく話せんのやけど・・・

俺今日店終わった後

陽子さんの所に顔出そうと

思ってんねん・・・

それで何か分かったら

連絡するから

今日の所はここでは

何も教えられんと言う事を

許してもらえんやろか・・・」

木林君は教えたいけど理由が

あり教えれないという様な

言い方をした。

教えないじゃなく教えれないのだと

私はそう理解するようにした。

こんな時なのに静香さんの言葉が

頭をよぎる。

「口を割らないのなら犯しちゃえ!」

静香さんのバカッ!もうっ!

私は勝手に顔が赤くなり

怖いくらい真剣な木林君に

対して無言で頷いた。

「それと・・・

西口さん・・・

あの・・・

俺の勘違いあったら

ごめんやけど・・・

最近、肝試しとか・・・

例えば学校の友達に

誘われて心霊スポットとか

行ったりした?」

えっ?

木林君が楓の茜ママと

同じ事を聞いてきた。

そんな偶然ってある?

私は1つの仮説を立ててみた。

私はそういった心霊系の話や

怖い系の話には全く興味も無ければ

知識も無いしだからこそ行く気も無い。

しかし行ってもいない心霊スポットに

同じ日に偶然で突然最近行ったかと

聞かれる事はおかしい。

おかしいからこそ茜ママとこの木林君には

そういう事を感じる力がある?

今まではそういうことを信用していなかった

私も今日この小一時間ほどで信用しそうに

なっていた。

そしてもしかしたら陽子さんにも関係があるのかも・・・

私に何らしかの悪い物・・・どう言ったら良いか

分からないが何かが憑いていてそれが原因で

陽子さんに悪影響を与えてしまったとか?

元々鈍感な私には何の影響も無いだけとか?

しかし普段されるはずの無い質問を

このような短期間に2人の人からされると

無性に気になったので私は

「行ってないよ・・・

あっでも木林君・・・

その・・・

木林君って何かそういうの

解るとか?

私に何か憑いてたりする!?」

と少し詰め寄る感じで聞いてみる。

そして気になるのは当然のことながら

怖いというのもあったしそれが

陽子さんが連絡がつかない事と

関係するのかもっと思った私は

木林君の返事を待たずにさらに

続ける。

「あっと言うのもね。

ここに来る前に実は楓のママにも

同じ事を言われたのっ!?

ねえそうなの木林君!?

私に何か憑いていてそれが

原因で陽子さんに何かあったとか!?」

珍しく必死な私に木林君は

一瞬苦笑いのような表情を

浮かべ片手で私を制するような

所作を取り落ち着けよと

言わんばかりに既に飲み干した

私のグラスをゆっくり取ると

口を開きだす。

「え~と・・・

あのな~西口さんっ

一気に言い過ぎっ!」

と笑いながら私の空いたグラスに

楓のネームプレートのかかる

ブランデーボトルからブランデーを

少し注ぐとミネラルウォーターを

多目に入れ氷を入れながら

木林君は話を続けた。

「まず・・・

ここに来た時の西口さんには

確かにムカつく霊が

憑いてたけど

今は大丈夫とだけ言っておくわっ

そこは気になるやろうから・・・

しかし楓のママさんも解るんやなぁ・・・

後な陽子さんの事なんやけど・・・

西口さんに憑いていたものが

関係あるというよりは・・・

俺からすれば何でそいつが

西口さんに憑いてたんか

不思議やねんけど・・・

その霊の正体はここでは

言えんから・・・

でも西口さんも

詳しく知りたいようなぁ・・・

そうやなぁ・・・

あのな・・・

もし西口さんこの後

時間大丈夫なら一緒に

陽子さんの所に顔出さんか?

陽子さん西口さんの事

可愛がってたし・・・

俺も連絡してから行くわけじゃなくて

飛び込み訪問みたいな

感じやから同じレディの

西口さんも居た方が

良いかなと・・・」

木林君が私の前にグラスを

差し出すために身体を伸ばし

そのまま私に近い位置で

私にしか聞こえないような

トーンで話してくれた。

「うん・・・

行く・・・

あっごめんね・・・

何か私・・・」

伸ばして居た身体を戻し

ながら木林君は

「いやいや・・・

ええよ・・・

こんな事言うてもな・・・

まず普通は信じれへん思ったから

話せんかんったんよ・・・」

木林君はそう言い私を

見ずに少し貰うなと言いながら

自分の飲む水割りを作り始めた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン6 西口真由佳の章3 終わり⦆



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ロビンフッドを出て木林君とはテナントの

駐車場で待ち合わせをすることになった。

私は事情を説明する為に心配している

であろう楓ママにこの後、陽子さんの

所へ行く事を話しに行った。

楓ママはかなり不安そうにしていたが

「まゆちゃんも気をつけて・・・」

と私にお守りを持たせてくれた。

見たこともないような紫色の

高級そうな袋に包まれたお守り

には式神という文字が刻まれていた。

私はお守りをスーツの胸の

内ポケットにしまい木林君との

待ち合わせ場所に向かった。

「お待たせっ木林君っ」

コツンコツンとヒールの音を

立てながら私はテナントの駐車場の

暗闇に黒い上下の木林君を探し当て

近づいて行った。

私の足音に気づいた木林君は

誰かと電話をしていたのか電話を

切ったばかりだったようで胸の

ポケットに電話をしまい込み

「楓のママさんには

上手く伝えれた?」

と優しい口調で聞いてくれる。

「うん・・・

木林君がこの後陽子さんの

所へ行くみたいだから

私も付いて行くとだけ

伝えたよ・・・

陽子さんの事については

木林君も会えていないから

解らないって・・・

伝えた・・・」

「そうか・・・

ごめんなぁ・・・

陽子さんに会えていないのは

本当やが・・・

原因は・・・

あっもう1人陽子さんの

家に行くにあたり助っ人を

呼んであるねん。

ここの国道を横切って

まっすぐ行ったところの

公園で待ち合わせしているから

とりあえずそこに行って

そいつが来てから全て

西口さんには詳しく話すわ。」

私は木林君に従うしかなく

自転車を押しながら徒歩の木林君と

並びながら歩く。

少しの間2人共無言であったが

木林君が先に口を開き

「西口さん・・・」

と自転車を押しながら歩く

私を見て少しトーンの

落した声で呟いた。

「何?」

と木林君を見る私。

「西口さんて・・・

その・・・

幽霊とか・・・

例えば既に死んでいる人間が

霊体になって

俺らの目の前に現れるという

現実を信じれる?

うん・・・

信じれるじゃないなぁ・・・

信じれるというより事実そういう

事が起こったとしたら・・・

その事実を受け入れれる?」

高校の時の木林君を私はよく知っている。

その言葉の半分くらいが冗談でもう半分くらいが

私たちが意味を理解するのに苦しむ程の

造語の連続した不可解な言葉をよく使う人。

木林君の友人で私と同じ陸上部の

同僚でもある冨田君と木林君の会話などは

近くで聞いていても外国語か方言かのように

思う事がよくあった。

2人は同じ陸上部の同僚の北尾君を

よく宇宙人と言っていたが

私から見れば2人の方がより宇宙人に見えた。

その木林君が冗談でも造語を使う事も

なく真面目に私に聞いてきている事だけで

木林君は真剣に今の質問を私に投げかけて

いるのだと伝わるには十分であった。

自転車を押しながら木林君と同じ速度で

歩を進めたまま私は応える。

「昨日までの私なら・・・

信じない・・・

信じれないし受け入れがたいと思うけど

今日の木林君と・・・

それに楓のママの行動が何か・・・

意味があるような気がして・・・

今なら受け入れれるかも・・・

何か陽子さんとその木林君が

いう幽霊?関係あるのでしょ?」

「うん・・・

西口さんが柔軟な子で

良かったよ・・・

詳しくは武市と合流してから

話すけど・・・

武市にはあらかた説明してあるねん。

オカルトに興味の無い西口さんでも

知ってるとおもうんやけど・・・

テレビとかでよく見る霊能者の

甲田福子先生・・・

あの方武市の叔母さんやねん。」

武市・・・

武市君って冨田君?

そして今木林君が言った

甲田福子さんは木林君が

言うように私でも知っている

高名な霊能者である。

しかし同級生の冨田君が

甲田福子さんの甥っ子であった

とは初耳であった。

「え~そうなの!?

武市って冨田君でしょ?

あの冨田君って甲田福子さんの

甥っ子さんだったんだ~」

「そうやねん。

それでな・・・

武市はそっち方面?

いわゆる心霊現象に

対する知識がかなり

あってな・・・

もう西口さんも薄々

気づいてるかも知れんけど

今陽子さんは

俺の予想では何らしかの

霊障にかかってるかも

しれん・・・

ていうか多分そうやねん・・・

その原因になる事が

先週俺が陽子さんのマンションに

行った時に起こってな・・・

というか・・・

俺もそう言う物そこそこ

見えるんやけど・・・

先週の時点で陽子さんの住んで居る

マンション自体が結構ヤバイ感じ

あったんよ~

だから・・・

西口さんにもついて来てもらうんやけど

途中で俺らがヤバい思ったら

すぐに出て行けっていうから

その時は後の事は俺と武市に任せて

素直に出て行ってな・・・

西口さんももしかしたら・・・

あのマンションに居たカスに

狙われてたかもしれんねん。」

「えっえっ・・・・

その・・・

陽子さんの住むマンションが

ヤバいって・・・

それに私が狙われてたかもって・・・・?」

私もさすがに今木林君が話してくれた

内容の全てを理解することができずに

とまどいながら何から聞いたら良いか

解らずにしていると私たちは木林君が

言っていた公園に着いた。

「あっ西口さん・・・

詳しくはあそこに居る

夜の公園が世界一似合わん男にも

一緒に聞いてもわうわ」

木林君が公園のベンチに座り

唯一この近辺にある街灯と

月明かりに照らされている

私も見覚えのある同級生の

冨田君を指さしながら言った。

「あっ・・・

冨田君~」

私は久々に会う陸上部時代の

同級生であり耳塚南高校の

同窓生でもある冨田君に

懐かしさを覚えながら木林君と

一緒に彼が座るベンチへ向かい

歩いて行く。

「武市すまんな~

こんな夜遅くに出張って

もらって・・・

しかしお前ほど夜の公園が

似合わん男もおらんな~

はははっ・・・」

こういう事を言う時の木林君は

大抵その後爆笑するのに心なしか

笑いにも力が無いのはロビンフッドの

アルバイト後で疲れているからでは

無いのは私でもわかった。

「いや・・・

お前は女性の為なら

親でも使う男やからな~

お前のその武士道か騎士道に

俺も乗せてもらうよ。

ってか夜の公園など俺には

無縁の物よっ

この場所を待ち合わせに選んだ

お前のミステイクではないのかい?

木林よ・・・

うん?

てかっあれ?西口・・・さん?」

おそっ!

冨田君私に気づくのんおそっ!

木林君の掛けた声に掛け合う

のに一生懸命でいくら暗闇でも

元同級生に気づかないこの人に

私は高校時代の冨田君その者の

イメージ通り接する事が出来そうな

安心感を抱く。

「冨田君気づくの遅いよ~」

「あっごめんごめんっ」

冨田君が後頭部を触りながら

申し訳なさそうにしているのも

高校時代そのままだ。

「あっ武市・・・

西口さんな・・・

俺が話した陽子さんと同じ

店で今バイトしていて

陽子さんにめっちゃ可愛がって

もうてたねん。

それで陽子さんを心配して

今日俺の店に来てくれたんやけど・・・

あのな・・・

西口さんもよう聞いて欲しいんやけど・・・

武市には昼電話で話したけど・・・

俺らの高校のヨシオ・・・

古典の教師の仲間っておったやろ?

あのオッサン・・・

何が理由か解らんけど死んでんねん。」

えっ?

確か・・・

おった!おったおった!仲間先生っ!

やたら声の高い古典の先生っ!

そう言えば私も木林君も冨田君も

1度副担任になってもらったよね・・・

え~!!死んだのっ!?

なんで?

冨田君は無言で目を閉じ

腕を組み頷いている。

そして口を抑えて驚いている私に対して

木林君は鋭い視線を向けて続ける。

「それでな・・・

どういうわけかそのヨシオが

霊体のくせに生きてる人間・・・

俺は陽子さんの時しか

見てないんやけど・・・

生きてる人間と・・・・

まあなんていうか・・・

その・・・

セックスができる霊体に

なってまだこの辺りを

うろついてるんよっ!

陽子さんはあの日俺が

外にジュースを買いに行っている

間に・・・

ヨシオにっ・・・

それ以降電話しても繋がらんし・・・

店にも顔出してないねん・・・」

バキッ!!

木林君は隣にあった自転車の

かごを思いっきり殴りながら

悔しそうにしている。

にわかに信じがたいけど・・・

木林君の話が本当なら陽子さんは

死んだ仲間先生に犯されたという事?

そんなバカな・・・

でも事実そんな事があればショックだろうし・・・

今店に来ておらずに私や楓の茜ママが

連絡しても繋がらないという事は事実なので

信じがたい話であるが信じれる要素は沢山あった。

あっ・・・

かごが・・・

木林君が無意識に殴った自転車のかごは

私の自転車でかごが歪んでしまっていたが

この空気で私はそれを突っ込むことができなかった。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン7 西口真由佳の章4 終わり⦆



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私はかごが歪んだ自転車を虚しい気持ちで

見つめながらも木林君が更に話を続けたので

それに聞き入った。

同じく冨田君も先程まで目を閉じ腕を

組み頷いていたが今は目を見開き口を

開きつつある木林君を見ている。

私の自転車のかごを見事に歪めた木林君は

その右拳を今度はポケットにしまい

まだ無実でいる左拳も同じようにスーツの

ズボンのポケットにしまい話し始める。

「それでな・・・

あのカス・・・

ヨシオなんやけど・・・

実は今日、西口さんが

店に来た時に西口さんの

真後ろに憑いてたんよ・・・」

「なんやとっ!」

私が驚く前に先に冨田君が声を上げる。

「えっえ~!!!!」

続いて私も普段は囁くような声しか

出ないのに深夜の公園であるからか

思いのほか大声が出てしまい自分の

声に驚き口を抑えた。

「いや・・・

しかし今は・・・」

やはり冨田君もこの流れであれば

当たり前なのだろうけど

【視える人】

であるらしく私をジロジロ見ながら

不審そうに首をかしげる。

「ああ。

武市・・・

今はおらんよ・・・

ていうかあのカス

俺に気づいて思いっ切り

ガンくれてやったら

すごすご逃げて行きよった・・・」

冨田君は納得したように

また腕を組み頷いている。

あっそう言えば・・・

ロビンフッドで木林君が私を

接客してくれ出した時に

凄く怖い顔で私の後ろの方を

睨み付けていたけど・・・

あっあれかぁ・・

え~でも何で仲間先生が私に・・・

「西口さんに聞いたけど・・・

心霊スポットの類も・・・

それに陽子さんのマンションにも

行ってないんやんな?」

私は私に仲間先生の幽霊が憑いて

いたことがショックですぐには声が

出ずにまず首を縦に振ってから

「うっうん・・・

行ってない・・・」

「そうかぁ・・・

あのカス先週には陽子さんの

マンションに居たんや・・・

なあ武市よ~

あのカスは自分の事を色情霊とか

のたまってたんやけどよ~

その色情霊って

巣にしかおれんとちゃうん?」

木林君が冨田君を見ながら

ポケットに入れていた両手を

出し手の平を上に向け

いわゆるホワイ?

のポーズをとっている。

「ああ。

俺も色情霊と言う物は

見たことも無いが

知識として持っている

範囲では地縛霊と同じ扱い

を受けるはずではあるがなぁ・・・

しかしもしヨシオが何らしかの

力のある者に色情霊化された

のであればもしかしたら

あいつ自由に動けるのかも

知れんな~

あくまで推測でしかないがなぁ・・・

しかしお前が先週その陽子さんて

いう人のマンションで見たヨシオが

今日西口さんにべったりと

憑いていたのであればそう考えるのが

妥当か・・・」

今度は木林君は地面にあった空き缶を

思いっ切り蹴った。

カンッ!!ガシャッ!!

空き缶はすごい勢いで私の自転車のタイヤの

スポークに奇跡のような角度でさっくりとハマる。

その事を普通にスルーしながら木林君と冨田君は

話を続ける。

私は私に仲間先生の幽霊が憑いていたという

事実とその仲間先生の幽霊が私が憧れる陽子さんを

犯したという現実に大きなショックを受けながら

今私の自転車に何の恨みがあるのか軽く私の自転車を

虐待している木林君の行動に小さなショックも受けていた。

「あのカス・・・

まあ自由に動けるんやとしたら

顔見知りの西口さんを狙っていたとしか・・・」

木林君がまた拳を振り上げる。

あっもう自転車は止めて~

「えっ?木林君・・・・

それって仲間先生の幽霊が

私を・・・」

私の願いが通じ木林君が振り上げた拳はまた

木林君のスーツのポケットに戻りひとまず

私の自転車は木林君の怒りの標的には

されずに済んだ。

木林君が私の言葉に一瞬私を見て俯いた。

そして普段は比較的高い声の木林君が

低いトーンで

「西口さん・・・

あいつはもう仲間先生や無い・・・

なあ武市よ~・・・

西口さんに憑いていたいう事は・・・

やっぱり・・・」

私は木林君を見ていた視線を

冨田君に向けると無言で冨田君が

頷いた。

「え~!!

そんな事って・・・

どうして私なの!?」

私は2人を交互に見ながら

本気で意味が解らずにそう聞いてみる。

2人共首を傾げ首を左右に振り答えくれない。

答えてくれないというよりは

2人にも理由が分からないのであろう。

「西口さん・・・

俺らでできるだけ

今後西口さんは守るから・・・

俺・・・

あの時、何かおる気が

してたのに陽子さんから

離れて自販にジュースを買いに

行った事ホンマに後悔してんねん・・・

だから・・・」

木林君は陽子さんを守れなかったことを

悔しそうに歯を食いしばりながら拳を

握りしめその悔しさは本当に私にもおそらく

冨田君にも伝わった。

「・・・うん・・・

ありがとう・・・

木林君・・・」

私はこんな時に頼りになる人なんて

今まで居なかったので木林君がそう

言ってくれた事が本当に嬉しかった。

「木林よ~そう思って

俺昼にお前から連絡を受けた後

伊田さんに会って来たんよ~」

冨田君がやっとベンチから立ち上がった

と思うと背中に背負っていたリュックサックから

何かを取り出そうとしているが冨田君の

リュックのファスナーが開かない・・・

「武市っ伊田さんに相談してくれたんかっ!?

お前ったまにはいやここぞという時は

気が利くやないか~!」

木林君が冨田君にかけより冨田君の

背中をバンバン叩いているが冨田君は

木林君のその称賛に応えようともせずに

まだ必死でリュックのファスナーと格闘している。

冨田君は依然、無言でリュックを開けようと

モゾモゾしているので木林君はその後に

続けて何か言いたそうであったがしばらく

見守るようにしたみたいでスーツの上着の

ポケットからタバコを取り出すとそれに

火を点けてふぅ~と一息入れて無言で

冨田君を見守っていた。

私も仕方なく冨田君を見守りながら

冨田君が中々開けれないリュックに木林君が

イラつき私の自転車に更なる被害が出ないよう

ハラハラしながら見ていた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン8 西口真由佳の章5 終わり⦆



おのれ~!!

おのれ~!!おのれ~!!

おのれ木林っ!!

何故に奴があの場所に居るのだっ!!

霊体でありながら私はまだ

身震いが治まらない・・・

私の名は色情霊のミノムシ。

生きていた時の名は仲間義男。

耳塚高校で古典の教鞭を取っていた

国語科の教師であった。

拠無い理由で40代にしてこの世を

去るが通称院長という方に色情霊として

この地域に尽くすなら本来は地縛霊に

なる所をある程度の自由は与えるという

言葉に乗り今に至る。

色情霊となり私は都合8名の生のある

女人を貫いたが先週貫いた女肉は

その8名の中でも極上であった。

しかしそこでハプニングが起こる・・・

何とっ!!

私の教師時代の教え子であり

教師時代の時からの天敵と言っても

良い存在の木林博喜と出くわす!

そして驚くことに奴はこの身である

私を視覚できるようでさらに驚いた事に

奴はこの身である私を・・・

何と蹴り飛ばす事まで出来たのだ。

院長に持たせて貰った女人を動けなくする

金縛り符も木林には効かずに私は

元教え子に散々足蹴にされた挙句

思わず散華しそうになったが木林め・・・

詰めが甘かったのだよ・・・

院長が言うには私の意志や人格を形成する

霊子まで粉々にされていなかったので

色情霊として複製可能であったらしい。

院長のお蔭で2度目の命拾い?

命は既に無いのであるがこの仲間義男

というアイデンティティーはかろうじて

保つことができた。

そして木林に復讐を誓いながらも

私は色情霊として活動する為には

8日に1度は生きた女人の淫液を男根に

浴びる必要・・・

すなわち生きた女人とまぐわう必要があり

その為に偶然泉佐川駅で見つけた

元教え子の西口真由佳。

彼女と今宵まぐわう予定であったのにっ!!

またもや木林に邪魔をされたのだっ!!

もはや足蹴にされ散華直前まで追い込まれた

この霊体は木林アレルギーなのか奴に睨まれた

だけで何やら奴の眼光から銀色の粒子が私に

向かい襲いかかってきて私は霊体であるのに

意識が遠のく思いをした。

奴は一体何者なんだっ!!

今宵元教え子の猫目の可愛い西口のあの華奢な身体を

存分に楽しみこの世の物ならざる快楽であの

先週絶頂に次ぐ絶頂を与え錫た豊満ボディの

女人のように狂わせてやろうと意気揚々としていた

私は目の前に出されたドッグフードを

食べる直前で奪い取られた

シベリアンハスキーのように怒り狂っていた。

意識が朦朧とした私は仕方なく西口の代わりに

西口が働いている店の女人で手を打とうと

西口が働いていた店に戻り色気のある茜と言うママか

静香と言う巨乳の淫乱な感じのする女人に目を付けるも

この茜と言うママがただ物では無く香水のような

スプレーを偶然を装い私にふりかけてくると私はまた

木林に睨まれた時のように意識が朦朧として思わず

散華しそうになる。

楓と言う西口の働く店での女人物色も諦めた

私はやはり西口真由佳を諦めきれずどうしても

あの細い腰を掴み小ぶりな尻をなぶりながら

この身になり2倍ほどになった男根で西口の

狭そうな女陰を蹂躙したくなり彼女の家で彼女の

入浴シーンを拝ませてもらった時に念の為彼女に

貼り付けておいたマーキング符で彼女を付ける事にした。

あの浴室か西口が仮眠を取っている時に事を済ませて

おけば良かったと何度後悔しても後の祭りであり私は

西口の私生活を覗き見したく時間に猶予を持たせ彼女を

視姦していた無駄な時間を嘆く。

『しかし・・・・

西口には木林が張り付いている

事は間違いないでしょうし・・・

蓑虫いと哀れなり・・・

ミノちゃん哀れなんですよ・・・

院長~こんな時はいかように

振る舞えば宜しいのでしょう・・・』

私は耳塚労災病院に居る院長に

話しかける。

院長は遠く離れた土地に居ても

私たち院長の下僕として活動する

霊体の声は届くのだ。

『ミノムシよ・・・

主の思いのまま振る舞えば良い。

主が標とする女人・・・

西口真由佳は主が天敵とする

男と既に歪んだ空間に向かっておる。

主が以前

根城としていたサンハイツ鶴澤は今や

霊道と化してきて数か所穴が空いておる。

そこから現れる有像無像の躯たちは

主の手足となり働くであろう。

主が再びサンハイツ鶴澤の主となるのだ。

そして穴を守りサンハイツ鶴澤に君臨せよ。

ミノムシよ・・・

くれぐれも申し伝えておくが

西口真由佳にこだわる事無かれ・・・

何れは主の思惑通りに事は運ぶ・・・

西口真由佳は今は強き者複数に守られておる・・・

頃合いが良しと思う時に西口真由佳の

淫液を吸い取るが良い・・・

ゆめゆめ忘れる事無きよう心がけよよ・・・』

院長の声が届いた!

私は膝を付き院長の声を賜う。

『御意!御意にござりまするっ!院長!

このミノムシ院長のお言葉を賜る事

許され有り難き幸せっ!!

仰せのままに・・・』

そうか・・・

8日さえ経過しなければ今回は西口では

無くても良いのではないか・・・

とにかく院長は私がサンハイツ鶴澤に

居続ける事が大事と仰られた。

おそらくは木林と西口もサンハイツ鶴澤に

向かっているはず。

いや院長が仰っていたのだから間違いない。

そして院長が仰るにはサンハイツ鶴澤は

私の草の根活動が功を奏し院長の思惑通り

穴が開いたようだ・・・

そうなればいくら木林が普通の人間と違い

私たちのような霊体に暴力を振るえる

輩だとしても次から次へと霊体が押し寄せて

くれば私ばかりにも気を配れまい。

クククッ・・・そうなれば隙を見て

西口に金縛り符を貼り付け彼女をさらって

しまえば後で気が済むまで楽しめる。

クククッ・・・

てこずらせやがって西口め・・・

この色情霊ミノムシが開発中の

霊界の大人の玩具の被験者にしてやる・・・・

クククッ・・・

覚えていろよっ!

西口真由佳!

それに木林博喜!

この私には院長と言う絶対的な存在が

付いているという事を思い知らせてやるぞ。

クククッ・・・

この仲間義男のターンは始まったばかりである。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン9 奢る蓑虫久しからず 終わり⦆




「武市よ~・・・・

何を取り出そうとしているかは

解らんがそのリュックは

まだ開かないのかね?」

引き続きリュックのファスナーを

開けようと頑張っている富田君に

短くなった煙草を親指と人差し指で

火種を握りつぶしながら木林君が

右足のつま先でトントンと地面を

打ちながら言う。

無言で見守る私も何故かこの

空気に耐え切れず木林君が素手で

煙草を消したことにも驚きたかったが

それ以上に驚くことが今日は沢山あった

のでそこは普通にスルーできた。

私が気を使い

「あの・・・

富田君・・・

ファスナー噛んでいるよね?

ちょっと見せてみて・・・」

と遠慮気味に富田君が座る

ベンチの前にしゃがみ込み

リュックに手をかけてみる。

煙草の吸い殻を携帯灰皿に

しまいながら木林君もベンチに

寄ってくる。

「お前よ~

いくらなんでも

どんくさ過ぎるやろ~

背中丸めてリュックに

ウホウホ言うてる

まるでバナナが取れん

ゴリラやないかっ

ははははっ」

木林君が身も蓋もない

事を言いながら笑って

いたが私は噛んでいた

リュックのファスナーをすぐに

元に戻すと

「あっ富田君

これで開くと思うよ」

と富田君にリュックを渡した。

「木林よ・・・・

俺に文明的な物を

持たせた親が悪いんよっ

俺には洒落たリュックなんかより

手さげ袋のほうが似合っていることは

お前にも解るやろう。

あっ西口さんありがとうっ」

富田君がそう言いながらリュックを

受け取り中を開いた。

「ははははっ

ゴリラにはリュックすら

文明とかほざいてんよ~

おっ?それは何かね?

武市君?

お前まさかレディの家に

お邪魔するからって

お洒落の為に手袋を

用意してきたとか言うんちゃう

やろな?」

確かに富田君がリュックから

取り出したものは一対の黒い

手袋。

それとノートをちぎって何かが

書かれてあるメモ用紙のような

物だった。

「うむ。

手袋である事には変わりないが

これはただの手袋にあらずや。」

「ほう?どうあらずなんや?」

木林君が富田君が取り出した

手袋を片方受け取りながら聞く。

「え~と・・・・

名前は霊具:霊破:試作R01や

伊田さんが急で一対しか渡せんから

すまんとキバちゃんに伝えてくれとの

伝言も頂いている。」

富田君がノートの切れ端を読みながら

手袋の名前を読み上げる。

れいぐ?れいは?・・・

しさくあーるぜろいち?

何か変わった名前の手袋を富田君と

木林君が片方づつ手に持ちながら

話している。

「うむ。

伊田さんがくれたということは

ただの手袋にあらずやな~

デザインは黒の革製で確かに俺好みよ。

さすが伊田さんは解っていらっしゃるな~

察するところ・・・

武市よ~これを手に付けると

霊体の耳を引っ張れるということかね?」

えっ?えっ?

霊体の耳を引っ張るって・・・?

私はボーッとした表情で2人の会話の

意味にも言葉の使い方にも付いて行けず

ただ木林君と富田君の顔を交互に見ながら

視線を落とした時に視界に入った私の自転車の

タイヤのスポークにスッポリと嘘のように

ハマっている空き缶を抜いて良いものか

どうか迷っていた。

「然り。

これをお前の手に装着すれば

微弱な霊であれば掴めるし

殴れるし無論耳も引っ張れる。

しかし試作品であるからある程度の

強靭な霊には通用せんとの事やから

気をつけてくれと伊田さんが言ってたわ。

しかし微弱な霊なら俺らの元々の霊力なら

一撃で散華可能らしいわ」

「ほう・・・

そいつは便利な手袋やな~

また伊田さんの店に飲みに

行ってお礼言わなあかんな~」

「それともう1つ・・・

伊田さんが製作段階で

そこら辺にふらふらしていた

むかつく顔したおっさん

の霊をぶち殴った時に

加減せんと殴ったら

一瞬で手袋灰になった

らしい。

その時よりも手袋の強度は上げているから

ずいぶん持つようにはなったらしいが

耐久力は最初に霊体を殴ってから

せいぜい1時間くらいと言っていたわ。」

「そうかぁ・・・

まあそれでも元々

丸腰で行こうと思って

たんやからな~

それに比べりゃ随分楽になったよっ!

武市ええ仕事するやないけ~

伊田さんにも感謝やなっ」

木林君は嬉しそうにそう言いながら

富田君から受け取った黒い指が出ている

手袋を右手に装着した。

富田君は左手に装着しながら

「一対しかないから

西口さんは木林か俺の後ろに

常に隠れていてな~」

「ああ。

レディを戦わせる

わけにはいかんからな~

まああのマンションが

カスどもの巣になっていても

この木林ナックルと伊田さん

策のえ~と・・なんとかゼロイチが

あれば大丈夫やさかいっ」

木林君が手に装着した黒い

手袋を私に向けてそう言った。

「うん・・・」

ありがとう・・・

私も最初は凄く怖かった

けど何か木林君と富田君見てたら

怖くなくなってきたよ・・

ははっ・・・」

この2人の緊張感の無さと

何か今からちょっと遊びに

行くような感じののりに私も

今でも半ば信じられない幽霊という

物が沢山いる場所に行くのが

本当に怖くなくなってきていた。

もしかしたらこの2人はかなり

以前・・・

それこそ私がマネージャーをしていた

陸上部で一緒に練習に明け暮れていた

頃から陰でこういう体験を幾度となく

していたのかな?

そう思うほど彼らの今の行動は日常的な

感じがしてならなかった。

「ほな・・・

行こかっ」

木林君がそう言いながら公園の出口へ向かい

歩き始める。

「うむ。」

富田君がうなずき立ち上がると

私も2人に続き自転車を押しながら

付いて行こうとした。

ガチャッ!!

「きゃっ!」

私は自転車のタイヤのスポークに

木林君が蹴った空き缶が見事に

ハマっていた事を忘れ自転車を

押してしまいそれが引っ掛かり

自転車が進まずにつんのめって

しまい小さく悲鳴を上げてしまった。

「どうしたっ!」

「西口さんっ!」

2人が急いで振り返り私の方へ

駆け寄ってくる。

「あっうん・・・

何もないごめん・・・

ちょっと自転車が・・・」

・・・・・・

2人が私の自転車のタイヤを

同時に見る。

「ぎゃははははっ

そういや~木林の

蹴った空き缶が見事に

西口さんの自転車のタイヤに

刺さってたな~」

「ぎゃははははっ

あの時は見事すぎたし

真剣な話してたから

スルーしたけど

これめっちゃおもろいやんっ!

ぎゃはははっ」

え~!今!?

今ウケてるの~

ってかこれはあなたが・・・

もう~ひどい~

「ちょっと~木林君が

蹴ったんでしょ~

笑いすぎ~」

私が膨れた表情で

そう言うと

「ぎゃはははっ

ホンマや木林笑いすぎやし

タイヤに缶刺さりすぎやってっ

ぎゃははははっ」

「ぎゃはははっ

ごめんごめんっ

西口さんホンマごめんっ

あかんっ腹痛いっ・・・

あっちょっと・・・どいてな」

そう言いながら木林君が

自転車を支えている私を

どかせると再び木林君の

あの悪魔の蹴りのモーションに

入る。

私は思わず私の自転車がまた

蹴られるのかと思い目を塞ぐと。

ビュンッ!!ガシャッ!!

カランカランカランッ・・・

と木林君はどうやら

私の自転車のスポークに

刺さっていた空き缶を蹴った

らしく空き缶は暗闇へ転がって

行き見えなくなった。

「ほな行こか」

そう言いながら木林君と富田君は

笑いながら何事もなかったかの

ように歩き出した。

私はカゴも直して欲しい・・・

とは言えずに自転車を押しながら

2人に付いて行き歩き出した。

⦅シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン10 西口真由佳の章6 終わり⦆



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プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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