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公園から左右に人が住んでいるのか

住んでいないのか解らない本当に

暗い民家を抜けて右手にある大きな

駐車場を過ぎると6階や7階の

マンションが三戸立ち並ぶ所に出た。

私は陽子さんのマンションに行くのが

初めてなのでどれが陽子さんの住む

マンションか分からずに居たが富田君が

「あの真ん中のマンションか?」

「ああ・・・

先週よりヤババイ感じが

するなぁ・・・」

という会話をする2人から

私と同じく陽子さんの住むマンションを

知るはずの無い富田君が陽子さんの住む

マンションがどれか分かるあたり

今日1日私が聞いてきたことが全て

真実であるのだなと再認識させられる。

「数がヤババイなぁ・・・

なんやこれ・・・

八龍やスカイハイツ鶴澤の比や

ないぞ・・・」

「マジか?そんなに・・・」

富田君と木林君がマンションの

住人の人たちが自転車を置く

駐輪場から進めずにそこで

立ち止まり話している。

私は駐輪場の空いているスペースに

まだかごが歪んだままの自転車を止めた。

「木林・・・

陽子さんの部屋は何階よ?」

「4階や・・・403号室」

富田君と木林君が無言で見上げる

部屋はおそらくは4階の403号室

陽子さんの部屋なのだろう。

私も同じように部屋を見上げるが

周りにはいくつか灯りのついている

部屋はあったが2人が見上げている

向かってから3番目の部屋が陽子さんの

部屋ならばそこは灯りもついておらずに

カーテンが閉められ真っ暗である。

2人を後ろから見ている私は木林君が

富田君がイダさんという人から貰ってきた

という黒い指先が出ている手袋を装着して

いる右手を握りしめているのを見た。

私はそれを見て今止めたばかりの

自転車を見るが今回ばかりは木林君の

その拳の向かう先は無実の私の自転車ではなく

陽子さんを苦しめているかもしれない幽霊達で

ある事に木林君の拳が頼もしく見える。

「ほな行くか・・・」

「うむ。」

木林君が先に進むことを促すと富田君が

それに続き歩き出し頷いた。

私も2人の後ろから続く。

2人はエレベーターの前に止まり

富田君が上の矢印を押す。

「まぁ・・・

無理やと思うが

エレベーター

試してみよか・・・」

「無理?なんでよ」

木林君が無理だと思うという

様なことを言い富田君がそれに

何故だと理由を聞く。

「前来たときは夜逃げ家族が

地下まで降りて行ったからなぁ」

どういう事なのだろう?

夜逃げ家族?

「はん?なんなよそれ・・・?」

富田君は少し笑いながら木林君の

方を見て聞く。

「まあもしかしたら

また会えるかもな~」

そう木林君が言った時に

エレベーターが到着する。

どうやら人が乗っているようだった。

30代くらいの男性に女性・・・

子供が2人おそらくは兄弟の2人の計4人。

こっこれが・・・

木林君が言う夜逃げ家族・・・?

家族は皆同じ姿勢で俯いている。

「やっぱりか・・・・武市

階段で上がろっ・・・」

「キッツイなぁ・・・・いきなり

これかよ・・・

まあ散華さす必要はないか・・・」

エレベーターは開いたままで

家族4人は手を差し出して来て

手の平を上に向けている。

「ああ・・・

解ってますよ~

下指さすんでしょ?

僕ら下には行きませんのでっ」

木林君は前回来た時もこの

家族に会ってるんだ。

しかしこのマンション地下なんてないし・・・

もしかしてこの表情と言い

気持ち悪い感じと良い

この家族が幽霊なのだろうか?

と言う事は私にも見えていると

いう事になる・・・

急に怖くなってきた私は

「あの・・・

木林君・・・?

あの人たち・・・」

「えっ?

西口さんあれ見えてるんか?」

「うっ・・・うん

ということはやっぱり・・・」

「ああ。

あれが夜逃げ家族や~」

木林君は真剣にそう答え

まだ開いたままのエレベーター

の中で手を差し出している

4人の家族を見ている。

「いや・・・

そうじゃなくて・・・」

私は幽霊なのかどうかを・・・

「武市。あの家族下を

指さすねんよっ

前来たときはそのまま

地下に降りていったから」

「地縛霊か?

このマンションから動けんの

やろなぁ・・・

恐らく下はあの世とこの世の

境か?」

あぁやっぱり・・・

私見てしまった~

しかしあの人たちそんなに

怖い感じも無いよね。

普通の家族連れに見えるし・・・

私は2人の話を聞きながらも

おそるおそるエレベーターの中の

家族連れの幽霊を見ていた。

「あっ僕ら上なんで

行ってくれて良いっすよっ

どうせ下行くんでしょ?」

木林君がそういうと家族連れの

4人の幽霊たちは差し出していた

手の平を上に向けたまま手を握った。

「はぁ?」

木林君は相手が幽霊なのに

今にもツッコミを入れそうな

姿勢を取っている。

すると4人連れの家族の幽霊は

一度握った手をまた広げた。

そしてまた握る。

そしてまた広げる。

それを永遠と繰り返している。

「あんたらこの間とちゃうやないかっ!」

何故か木林君は怒っている。

「木林もうええやないかっ

エレベーターが使えんことに

変わりはないやろっ

行くぞっ」

富田君が木林君の肩をたたくと

腑に落ちないような表情の木林君は

諦めたように階段へ向かい歩こうと

する。

すると4人連れの家族は手を握ったり

開いたりを繰り返しながらエレベータの

中から出て来て私たちに付いてくる。

それに1番早く気付いた私は思わず声が

出てしまった。

「きゃ~!!」

富田君と木林君が振り返り1番

最後尾にいた私と4人家族の間に

身体を挟んでくれる。

「西口さんっ」

富田君が私の前に立ちはだかり

大きな富田君が間に入り私からは

4人家族の幽霊が見えなくなる。

「あんたら~

地下に行くんちゃうの?

何で俺らに付いてくんねんっ!」

木林君が家族連れの幽霊たちに

問いかけるが当たり前だが返事はなく。

「木林っそいつら自我すら

無いから説得なんかできんぞっ!

誰かは解らんが力の強いものに

操られてるかもしくは無我や。

ゾンビと変わらんっ害は無い

やろうから散華させるまでも

無いっ走るぞっ!」

私は富田君に腕を引っ張られ

一気に階段の所まで走った。

「了解~」

木林君も同じように階段の所まで

走ってくる。

「はぁはぁはぁ・・・

あれが・・・

幽霊なの・・・」

1階から2階へ上がる階段の踊り場で

息を切らせた私がつい口からそう漏れて

しまう。

「まあ

そうなんやけど・・・

西口さんにも見えるなんて

なぁ・・・

このマンションの住人は

大丈夫なんか?」

富田君が木林君の到着を待ちながら

私が口から漏れた言葉にそう答えた。

「陽子さん・・・」

私が心配そうにそう呟くと

木林君が到着する。

「武市~増えたぞ~

あの家族増殖してるっ!!」

「何っ!?」

「えっ?うそ~!?」

木林君の声にほぼ同時に

富田君と私が声を上げ

木林君が走ってきた方向を

見ると4人家族の周りには

5人いや・・

6人増えていて軍人のような

服を着た兵隊風の男の人や

ワンピース姿の若い女性それに

老婆など皆家族と同じように

手を前に差し出し握ったり開いたり

を繰り返しながらゆっくり私たちの

方向に歩いて来ていた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン11 西口真由佳の章7 終わり⦆



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ウヨウヨと私たちをめがけて

歩いてくる木林君曰くの

夜逃げ家族とその取り巻き達。

私は冨田君に手を引かれて

階段を上がり1階と2階の踊り場を

駆け抜けて2階にたどり着く。

下から木林君が叫んでいる。

「武市~!!

もしかしたら

2階と3階の踊り場に

巨人がおるかも

知れんから気をつけれよ~」

きょ・・巨人?

夜逃げ家族の次は巨人なの~?

もうっ何なのっこのマンション。

陽子さんこんなマンションに住んでいたら

おかしくなるはずだよっ

私がそんなことを考えながら2階から3階へ

上がる階段の前で壁のように立ち尽くす

冨田君の真後ろで木林君を待っていると

木林君が階段を駆け上がってくる。

「あかんっ!

武市っあいつら

生意気にも階段まで

昇れるみたいやっ

全員あのおもしゃい手の

動きをしながらついてくるぞ~

笑けて走れるか~よっ」

「そうかぁ・・・

笑いたい気持ちもわかるが

今は少し笑えん状況やぞ・・・

お前が言う2階と3階の間の踊り場には

巨人か何かは解らんが居てるわ・・・

しかも相当数おるぞ・・

このままじゃ挟み撃ちに合うぞ」

木林君が何が面白くて笑けるのかは

私には理解できなかったが今私たちの

おかれている立場が大ピンチであるという

事は理解できた。

「マジかよ・・・

あの巨人が居たらさらに

めんどいぞ・・・」

「冨田君・・・

木林君・・・

その・・・

手袋で何とかならないの?」

私は素人目線ではあるが

当たり前と思える疑問を

2人に投げかけた。

私が公園であの冨田君の開かずのリュックから

冨田君が取り出した手袋はイダさんという

方が作りおそらくはこの2人が頼りにしている

くらいの方だからこういった霊能関係に深い知識を

持ってらっしゃる方なのだろう。

そのイダさんに頂いた手袋を訳があり使って

いないだけなら良いのだがこの2人のことだから

本当にただ忘れているだけならいけないと思い

つい聞いてみた。

「そうやなぁ・・・どうする武市・・・

あの夜逃げ家族は無害やろうけど・・・

もうこうなってくると邪魔やぞっ」

「ああ・・・

しゃ~ないなぁ・・・

しかしこの手袋は耐久力があるから

無限には散華させ続けられんっ

やるんあったら上や。

それに陽子さんの部屋に着いてから

陽子さん救い出すのに部屋にも

相当数いてるように感じたから

その分も計算に入れておけよっ」

そういう事か。

あの手袋には使用の回数か時間に

制限があるんだ。

だから2人は陽子さんの部屋に悪い霊が

居た時に使わなくてはいけないから

不用意に手袋の力を使わなかったのね。

「そうやなぁ・・・

武市っ

俺前行くわっ!

ここから先は俺が先頭に行き

やれるだけやるから

お前西口さん守りつつ

下からくる奴らに追いつかれんように

手袋温存しながら着いてきてくれっ

西口さんっ俺先行くから

絶対武市から離れたあかんでっ!」

木林君はそう言いながら私の横を

駆け上がり冨田君を避けるように追い抜き

2階から3階へ上がる階段を駆け昇って

行った。

「おいっ!木林っ

今のん全部こなすとなると

結構難しいぞっそれっ!?」

そう言うと冨田君はまた

あの開かずのリュックを背中から

下ろすと中から何か取り出した。

今度は上手く開いた開かずのリュックから

出てきたのは透明のビニール袋に入った

白い粉?

が二袋出てきた。

そんな呑気な事をしている冨田君を尻目に

もう私から見える範囲にゆっくりと

階段を昇ってくる夜逃げ家族軍団が

迫ってくる・・・

しかも・・10・・11・・12・・

うそ~

「ねえっねえっ冨田君っ

いや~!!来たよっ来たっ来たっ

しかもさらに増えてるんだけど~」

「もう来たか?

西口さんこの袋

渡しとくわ。

うちの叔母が送ってきてくれてる

塩やねん。

あいつらレベルならこれ

かけたら消えると思うから

念の為に持っておいて。

ほな行こっ」

「あっうんっありがとうっ・・・

きゃっ・・・」

私が冨田君から塩の入った

袋を受け取り手を引かれて階段を

駆け上がろうとしたその右足を

何かが掴む。

『ミノムシさま~

ミノムシさま~

ミノムシさま~』

私の右足首を掴む老人男性の

片目が潰れたような幽霊は

そう呟きながら私の足首からふくらはぎ

へと手を伸ばし這い上がってくる。

私は足を掴まれ動けなくなりその場に

うつぶせでこけてしまった。

「きゃっ!!

痛いっ

いや~!

いやっあぁっ・・

来ないでっもう嫌だっ!」

こけた私のスーツのスカートの

中へ入って来ようとする老人。

しかもずっとミノムシ様~と

言い続けていて本当に気持ち悪く

足をばたつかせるが向こうからは触れて

私の蹴りは当たらない感じでもう何が

何だかわからなくてパニックになりそうな

状態に陥る私であったがその時

「散っ!!」

という声とともに

私の足を掴んでいた

老人に冨田君がさっき

私にくれたのと同じ塩を

振りかけたのか老人は

信じられないことに

花が風に吹かれて散るように

消えていった。

そしてその塩は老人だけで

無く周りにいた2体の霊にも

降りかかりその巻き添えを

受けた軍服を着た霊に学生服の

少年のような霊も同じように花が

散るように消えていく。

「西口さんっ!

ごめんっ大丈夫!?

立てるか?

さあ行くでっ上で木林が

派手に始めてるから道は

開けてるはずやからっ!」

私はこの塩凄いっと思いながら

冨田君に手を引き上げられ

立ち上がると腰が抜けそうな

思いをしたが私の腰は意外にも

しっかりとしていて冨田君に

手を引かれて階段を駆け上がった。

すると2階と3階の踊り場には

何も居ずそのまま3階へ進める。

進む先からは木林君の

「往生せいやっこら~!」

という声だけが姿は見えないが聞こえる。

「木林無駄に

散華の山築いてるな~

あいつの手袋陽子さんの

部屋まで持てば良いけど・・・」

冨田君の独り言のように

呟く言葉が私に変な胸騒ぎを

催させた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン12 西口真由佳の章8 終わり⦆



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2階から3階に上がり3階と4階の

間にある踊り場で先を進む木林君が

次から次へとウヨウヨいる幽霊を

イダさんという方に頂いた手袋を

使い排除してくれていたので私と

冨田君は下から昇ってくる夜逃げ家族

一行を振り払い殆ど幽霊たちとは出会わずに

来れた。

しかし冨田君はこの3階と4階の間の踊り場で

立ち止まり進むべき歩を止める。

「まずいな・・・

ここ・・・」

冨田君は踊り場のアスファルトの床を見つめる。

そこには何だか黒い水たまりのようなものがあった。

「冨田君・・・・・?」

「あっ・・・

西口さんにも何か見える?」

珍しく冨田君が冷や汗をかいている

ように見える。

「うん・・・

黒い油?なんていうか

水たまりのような・・・

重油が溜まっているような・・・」

「やっぱり西口さんにも

見えるんや・・・

ここは・・・

あの世とこの世の境目というか・・・

なんでこんな普通のマンションに

こんなもんができてんねん・・・」

「えっえっ?

それってどういう事!?」

私が不安気に冨田君に尋ねるが

冨田君は

「悠長にしてられへん。

西口さん説明は後や先に進まな

この水たまりみたいなところから

成仏できんような霊がウヨウヨ

出てくるでっ

ってかこんな所もう人

住めんぞっこれっ」

冨田君はそう言うと先に進もうと

私の手を引き踊り場から4階へと

昇ろうとすると凄い勢いで

木林君が戻ってくる。

「武市ヤバイッ!!!

ていうかヤババイッ!!

陽子さんの部屋の並びの

1番奥の407号室から

ウヨウヨ出てくるぞっ!!

手に負えんぞこれっ!

うおっ!なんやこの水たまりっ!

いや沼かこれ?

こんなもんさっき無かったぞっ!」

「何!?お前が通った時は

無かったんか?

しかも407号室から

大量に沸いて出てきてるって・・・

それ部屋ごとあの世とこの世の

境目になっているという事か?」

冨田君に木林君は意外に落ち着いて

話しているように見えるが普通に聞いていたら

凄くまずい状況のように聞こえる。

それって上からも下からも幽霊の大群に挟まれていて

今ここにある水たまりからも出てくる可能性が

あるという事ではないの?

「うおっ!なんやっこの沼っ

くさっ臭ないかこれ?」

「えっ?そうかな?」

私はそんなに臭いまでは感じないので

そう答えた。

「いや・・・

俺も何も感じんがな」

冨田君も私と同じく何も感じないようだ。

「うそやろ~お前ら

鼻炎ちゃうんかよ~

くさいっすっ!くそうございますっ!

これはくそうございまするぞっ!!」

何でこの状態でふざけれるのか

私には理解不能だが木林君は

これでも案外真面目に話しているのかも

知れない。

しかしここはあえて私は突っ込ませて

もらうことにした。

「もうっなんでこの状況で

ふざけれるのよ~

しかもくさいに何で敬語なの!?」

「しかも木林よ。

そんな敬語無いやろ?」

冨田君が笑いながら私に続いて

くれたけどこの状況でふざけて

しかも笑えるこの2人が正直私は

羨ましかった。

「いやっくさいの敬語はやな~

うおっ!あかんっこれ

あかん臭いわっ!!

くそうございますっ!

臭すぎる鼻取れそうやっ!!」

木林君が両手で鼻を抑えて

そう言うと黒い水たまりの中から

数本の手が出てきたように見える。

「きゃっ・・・うそ・・・

手が・・・」

私はありえない光景に口に手を

当てながら地震も起こっていないのに

揺れる膝を落ち着かせるのに必死であった。

「出てきたかぁ・・・

木林が感じた臭いは

こいつらか・・・」

「あかんっ

こいつら臭すぎるっ!

どうする武市っ!?

とりあえず4階に進んで

陽子さんの部屋まで

強行突破しかないやろ?

ここまで来て戻れんしなっ」

冨田君は悩んでいたが無言でうなずくと

階段の方を向いた。

階段の上からは既に木林君が引き連れて

来たスーツを着た霊や半裸の霊

男女様々な複数体の霊が次から次へと迫ってくる。

水たまりから出てくる霊も居るし

1階から上がってくる家族連れ一行も

もうそこまで見えてきた。

私は半ばパニック状態で

「きゃ~!!もう嫌~!!」

と冨田君に貰った塩の袋から

一握り塩を取ると水たまりから

迫ってくる霊に振りかけた。

そして冨田君と木林君の間を抜け

4階へ行こうとすると木林君が

引き連れてきた大群に出くわし

「きゃ~!いやっいやっ!!」

と同じようにもう一握り塩を

振りかけると水たまりから出て

来た霊に4階から迫ってきた霊たちは

花弁が散るように消えていった。

「おお~!!

西口さんっ・・・

あっそれ武市から

もらってたんか~?

何にせよナイスやっ!

進もうっ!」

「西口さん

塩は自分の身を守るときの

為に残りは取っておきなっ

次からは俺らに任せてっ」

冨田君が今度は後ろで

前の木林君とで私を挟むように

3人で4階へ移動する。

「うん・・・

ごめんなさい・・・怖くて・・・」

水たまりから出てきた霊と4階から

迫ってきた霊が消え少しは落ち着いた

私が冨田君にそう答える。

「うら~!!

お前らっ邪魔すんなっ!!」

4階の廊下を進む木林君が

まだ1番奥の部屋から出てくる

霊達を右手で突くようにしながら

進んでいく。

木林君に突かれた霊はやはり塩を

かけられた霊と同じ消え方をして

行く。

やっとのことで陽子さんの部屋の403号室の

前までたどり着いた私たちは後ろから追って

くる霊たちを冨田君がなぎ倒し407号室から

出てくる霊たちを木林君が突き倒している間に

私が陽子さんの部屋のインターフォンを押す。

3度・・・4度・・・

押すが反応がない。

「えっえっ・・・

陽子さんっ・・・」

「うお~こいつら

どれだけおるねんっ!!

あっ西口さん玄関開いてないか

どうかみてみっ」

木林君が私に霊たちが近づかないように

霊を突きながら私にそう叫ぶ。

「この手袋マジでええな~

おっとっ!

あかんっ足は掴まれるのに

手袋以外では殴れんて不公平

極まりないやろっ

おらっ!」

反対側は冨田君が防いで

くれている。

私は冨田君と木林君が前後を守って

くれている今のうちに木林君に言われた

ように玄関のドアを開けてみた。

すると鍵はかかっておらずにすんなり

開く。

私は

「木林君!冨田君開いたよっ!」

と叫び急ぎ中に入ると

「陽子さんっ!!陽子さんっ!!」

と叫ぶが返答はなく中は電気も

ついておらずに真っ暗であった。

『久しぶりですね~

西口真由佳さん。

少し見ない間に本当に

美しくなりましたね~』

部屋の中からは陽子さんの声の代わりに

凄く高い声で聞き覚えのある声が聞こえた。

そしてそれと同時にガチャンと玄関のドアが

勝手に閉じられた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン13 西口真由佳の章9 終わり⦆



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「えっ・・・

ドアが・・・」

私は勝手に閉じられた陽子さんの

部屋のドアを開けようとして

ドアのノブを回すが回らずに

開かない。

何?何なの・・・

それに今の高い声・・・

仲間先生?

あんな声の人2人と居ないだろうし・・・

「木林君~!!

冨田君~!!!

助けて~!!

ドアが開かないの~!!」

たかだかドア1枚であるが

私はさっきまで私を守ってくれていた

2人とドア1枚を隔てただけで大きく

引き離された気になり急に怖さが

こみあげて来て大声で叫んでしまう。

『フフフフッ

西口真由佳さん~

もうこの部屋は外とは繋がって

いませんからね~

いくら叫んでも外の2人には

聞こえませんよ~

フフフフ』

私はドアの方を向き叫んでいたが

またさっきの甲高い声が聞こえ

月の灯りはどうしたの?

何故そんなに暗いの?

と思うほど真っ暗闇でとてもマンションの

一室とは思えない部屋の中に視線を送る。

見えない・・・

本当に何も見えず陽子さんが居るのか

居ないのかすら確認できないがそこに

声の主・・・

仲間先生が・・・

いや木林君の情報では

亡くなられたはずの仲間先生が

確かに居るという嫌な気配は感じる。

私は手探りで玄関先にあるはずの

電気のスイッチを探す。

あっ・・・

電気のスイッチは運良く私の

部屋と同じような位置にあり

スイッチを今ある上から下へと押してみた。

すると玄関からリビングへと繋がる

部屋の電気が一気に灯された。

柿色のやや暗い感じがする電気が

ついただけではあるが視界は先ほどより

随分マシになり中の様子が伺えた。

伺えたが私はリビングからその奥の

依然真っ暗な寝室までを見て愕然とする。

確かに私の見覚えのある仲間先生がそこに居た。

しかしいつもスーツ姿で私に古典を教えて

くれていた私の元副担任の仲間先生のようには

見えず驚くことに全裸である仲間先生のその

肌の色は生きている人間の肌の色をしていなかった。

白と言うかグレーと表現すれば良いのか・・・

全身に白い粉を振りかけたような感じの血色をしていた。

そしてもっと驚くことに陽子さんもベッドで全裸で

うつ伏せに寝かされている。

私は仲間先生の存在に怯えながらも再度

勇気を振り絞り叫ぶ。

「陽子さんっ!!陽子さんっ!!

大丈夫ですかっ!真由佳ですっ!!」

陽子さんは全裸でうつ伏せで伏せたまま肩で息をしているから

意識はあるのだろうが起きようともしないし返事もしてくれなかった。

『フフフフ

西口さん~

この陽子さんは今、私のこの

おちんちんに満足してぐったりと

休憩中ですよ~

フフフッ

ほれどうですか?

これ良いでしょ~?

西口さんはこんなに大きなの

見たことないでしょ~?

フフフフッ』

そう言うと

陽子さんの横でベッドに座っていた

仲間先生が自分の股間を握りしめながら

私の方に近づいてくる。

「そんな・・・

まさか・・・

仲間先生が陽子さんを・・・

いやっこないでっ・・

きゃ~!!木林君っ冨田君っ

助けて~!!」

私はこの状況で陽子さんを助けるどころか

陽子さんの所へ駆け寄ることもままならず

また開かない玄関のドアを開けようと何度も

何度もドアノブを回そうと試みていた。

しかし開かないどころかドアノブは回ることも

してくれずに股間を握りしめながら近づいてくる

仲間先生はもう寝室を出てリビングの中央まで

来ていた。

「きゃ~!!

いやっ仲間先生っ

どうしてこんな事するのですかっ!?

どうしてっ」

『私はね~西口さん

生きている時は全く

良い思いができませんでしたからね~

・・・・・

40歳を越えやっと決まった

縁談も破棄されるし・・・

その挙句に交通事故で死んで

しまうし・・・

だからねっ

生きていた時に出来なかった

気持ち良い思いを死んでから

しても良いでしょ~

しかし高校の時から猫目で可愛くて

人気のあった君が女子大生になって

さらに綺麗になったね~

さあ先生が経験したこともない気持ち

良い思いをさせてあげるからこっちへ

来なさい西口真由佳さん。』

徐々に迫ってくる仲間先生と

開かない玄関のドアに挟まれた私は

どうすることもできずに迫りくる恐怖から

腰に力が入らなくなりその場に

へなへなとしゃがみ込んでしまう。

「そんな・・・・

そんな滅茶苦茶な理由で・・・

陽子さんを・・・

仲間先生・・・

ひど過ぎますよ~」

私はまだベッドの上でうつ伏せで動けずに

肩で息をしている陽子さんが再び視界に

入り涙が勝手に零れ落ちてきた。

『そんなに泣かないでよ~

西口さん・・・

君もすぐにあの陽子さんの

ように気持ち良すぎて気絶するくらいの

生きた人間とじゃ味わえないセックスを

教えてあげるからね~』

この人完全に生きていた時と性格が変わっている・・・

こんなことを言う人じゃ無かったし・・・

仲間先生は声こそ変だけど私は嫌いじゃ無かったのに・・・

男子とかにはいじられたりしていたけど

人畜無害な良い先生だったのに・・・

私はしゃがみ込んでしまい迫ってくる仲間先生を

近づけさせないように必死で仲間先生に向かい

蹴っていた。

『こらこら

君のようなお嬢様がそんなに

足癖の悪いことをしては

いけないよ~

ほら~お行儀悪いからパンツが

見えちゃってるよ~

今日は薄い黄緑色なんだね~西口さん~

もうお行儀悪い子にはお仕置きが必要だから

少し私の従者達に遊んでもらい

大人しくなるまでしつけてもらいなさい。

そのあとに私がたっぷりとあの世の快楽と言うものを

君に教えてあげるからね~』

「いやっいや~!!

来ないでっ!!」

私は足をばたつかせて立ち上がれないほど力が入らない腰を

無理やり立たせると仲間先生はリビングのテーブルの上に

全裸で座る。

そして私に近づくのを止めると陽子さんの部屋の

お手洗いのドアがひとりでに開いたと思うと中は

ブラックホールのような暗闇と渦が混同するような

空間になっていてそこから1人また1人と這い出て

くるように幽霊が次から次へと匍匐前進をしながら

私に近づいて来た。

軍服を着た顔の潰れた霊・・・

着物を着た男性の霊・・・

今確認できるだけでも2人の霊がそれぞれ私の足首を

掴み私に這い上がってこようとしている。

私は自分のガチガチ鳴る歯の音により今自分が

異常に震えていて声も出せない状態であるのだと感じた。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン14 西口真由佳の章10 終わり⦆



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着物を着た霊の冷たい手の感触が

私の左足首から膝・・・

太ももへと這い上がってくる。

パンスト越しでもその感触は確かに

人の手であると解りしかし決定的に

違うのはその私の肌に伝わってくる

体温であった。

最初人肌にしては冷たいと私は感じていたが

それは錯覚であったようで暖かくも冷たくも無い。

体温が無いのだ。

感触はあるが温度が無いというおかしな

感覚あのである。

そのおかしな感覚が今私の左足の太ももと

右足のふくらはぎあたりに着物を着た霊と

軍服を着た霊から感じている。

私は腰が抜け動けなく陽子さんの部屋の

玄関口で尻餅をついたようにへたり込み

声も出せずに何もできずにいた。

いやっいやっ・・・

助けてっ・・・

お父さんっお母さんっ・・・

茜ママッ・・・木林君っ・・冨田君っ・・・

私は心の中でありとあらゆる人に助けを

乞うが無情にも更に次から次へと陽子さんの

部屋のお手洗いの中のブラックホールのような

黒い渦の中から現れる霊が私に迫る。

着物を着た霊がついに私の下腹部に手をかけ

パンストをはぎ取るように破りだした。

その後ろから来る学生服を着た霊も私の

左足首を掴み私は今3人の霊に下半身から

迫られ気が狂いそうな精神状態に陥っていた。

そして私の太ももから下腹部へ手をかけてパンストを

はぎ取った着物を着ている霊が私のスーツの上着も

引きはがすように脱がせる。

陽子さんの姿に仲間先生の姿・・・

それに陽子さんの部屋のお手洗いの黒い渦・・・

そこから次々と出てくる信じがたい幽霊達・・・

私の精神状態はもう抗う気力を失いほぼ

無抵抗のままパンストを引きはがされスーツの上着も

脱がされたその時・・・

式神と書かれた楓のママに貰ったお守りが

引きはがされた私のスーツのポケットから

飛び出て銀色の光を放ちながら宙に浮いていた。

えっ?

あれは・・・ママから貰った

お守り・・・

『なななな・・・

何かね?

それは・・・』

楓の茜ママから頂いたお守りの

光と仲間先生の声で放心状態で

動く事すら諦めていた私の精神状態は

蘇り引きはがされたスーツを再び手に取り。

足にまとまりつき私の下腹部に下着の上から

手を当てたり太ももを気持ち悪い顔で舐めて

いた霊達から距離を取ることができた。

はぁはぁはぁ・・・

私・・・

何を考えてんだろっ

諦めてどうするのよっ

まだ外で木林君と冨田君が私を守る

為に戦ってくれているのに・・・

それに私が諦めたら陽子さんはあのまま

なのよっ

真由佳のバカッ頑張りなさいっ!

西口ファイトッ!

最期に私は自分で自分に言い聞かすように

耳塚南高校時代の陸上部の同僚を応援する

時の掛け声を心の中で自分に浴びせた。

私は私にスーツの上着のポケットから独りでに

飛び出たように見えた宙に浮く銀色に輝くお守りを

眺めながら手で床を押し身を後ろへ後ろへと引きながら

私にまとわりついていた霊たちから距離を取っていく。

霊たちに仲間先生は宙に浮き銀色に輝くお守りに

気を取られ皆お守りを眺めている。

するとお守りはさらに輝きを増すとお守りの袋の中から

小さな正方形の半紙のような紙切れが数枚中に飛び散り

半紙は宙で独りでに形を変えていきそれぞれが勝手に

折られて行きなんと驚くことにその全てが折り紙で作った

織鶴の姿になった。

「わぁ・・綺麗・・・」

私が無意識にそう呟いたのはその織鶴全てがそれぞれ

別の色で輝いていたからである。

赤色、橙色、黄色、黄緑色、青色、藍色、紫色

まるで虹のように見えるその鶴たちは一斉に

私にまとわりついていた霊たちに襲い掛かるように

飛んでいく。

えっ?

わぁっすごいっ・・・

すると鶴たちに見とれていた霊たちは鶴に身体を

射貫かれて散りゆく花のようにその姿を消して行った。

そして3羽残っていた紫色と青色と緑色に輝く

鶴たちは陽子さんの部屋のお手洗いめがけて飛ぶと

お手洗いの中にあった黒い渦の中に吸い込まれて行き

黒い渦は消え陽子さんの部屋のお手洗いはただの

お手洗いに姿を取り戻していた。

私はその光景に見とれながら助かったと思い力が抜けていったが

まだこの部屋にはもう1人問題になる人・・・

いや元人が居ることをその元人の声により気付き

現実に戻る。

『わわわわ・・・

私の下僕達を~!!

西口さん~良いパンチ持ってるじゃないか~

え~?

許さない~許さないよ~

君にはこの陽子さん以上の

快楽地獄を与えてあげるからね~』

「そっそんなっ・・・

そもそも仲間先生が私に

酷いことをしようと

したんじゃないですかっ!

それにこのお守りに

こんな力があったなんて・・・

私は知らなかったのですからっ!

もうっ・・・

もう怒りましたよっ!

私も・・・

許せないのはこちらの方ですからっ!」

お守りのお陰で本当に助かった。

私はこんなお守りを持っている楓の

茜ママは只者では無いと思いながらも

本当に茜ママには感謝していた。

そして理不尽極まりない勝手な事を言う

仲間先生が本気で許せなかった。

陽子さんをあんな目に合わせそしてまた

私にまで酷いことをしようとする仲間先生が

許せなくついにキレてしまっていた。

『ほう?大人しい君にしては

言うね~さっきのような術式を

まだ隠し持っているのかね?

はたして院長の御力(みちから)を

賜うたこの私にもそれが

通用するか試してみるかね?』

仲間先生が真っ白い粉を振りかけたような

全裸の姿で私に近づいてくる。

キレて意気込んでは見たけど正直

私に幽霊をどうこうできる力など

あるはずなく私は仲間先生に負けないよう

直視するしかできなかった・・・その時

ガチャンッ!!

私の真後ろにある陽子さんの家の玄関のドアが開き

私の背中に当たった。

「きゃっ!いたい~」

驚いたし痛かったがこの方向から開くドアが

何を意味するかを瞬時に悟った私は今まで堪えて

いた涙が一気にあふれ出て来てドアから入ってきた

人に思わず抱き着いてしまっていた。

「え~ん・・・うっうぅ・・・

怖かったぁ~」

「西口さん・・・

さっきの啖呵外まで聞こえてたでっ

よう言うたっよう頑張ったな・・・」

私の頭を撫でながら木林君がそう言ってくれる。

「ごめんな~西口さん・・・

こっちもトラブルあってな~

俺らの手袋2つともお釈迦になって

そもてよ~それで手こずってしもたんよ~」

木林君の胸の中で抱かれる私の肩を叩きながら

冨田君がそう言う。

『ききききき・・・・

きききききき・・・・

きばやし~!!!!!!!!

もっもげ~!!!

おっおのれっおのれっおのれっ!!

きっきさまっあの私の下僕達の大群を

相手にここまでくるとはっ・・・』

仲間先生が先ほどとは違いかなり取り乱している

相当木林君に嫌な目に合されたのだろう。

尋常じゃない怯え方をしていた。

私は木林君からそっと離され冨田君の大きな

背中の後ろに居場所を移されていた。

その大きな背中の後ろで私は冨田君が

前を向いたまま囁くような声で私にだけ

聞こえるよう話す言葉を聞く。

「こらっ!!このクソムシッ!!!

おのれ陽子さんに何したんじゃこら~!!

今日は八つ裂きじゃすまんからなっ!!」

木林君がズカズカと部屋の中に入っていき

仲間先生を威嚇している。

その間に冨田君が私に何か伝えたいようだ。

「西口さん・・・

木林はああ言っているけど・・・

正直俺ら今打つ手無しやねん・・・

俺が持ってきた塩も手袋も

もう無くてもしヨシオが何かして

きても俺らやられるがままになるしか

ないんよ・・・」

冨田君が低く太い声でそう呟く。

「えっ・・・

そっそうなの・・・」

「それで確認なんやけど・・・

西口さん、俺が渡した塩って

まだ持ってる?」

「あっ!?

忘れてたっあるよっ

使うの忘れててまだあるっ!」

私は冨田君に貰っていた

甲田先生仕込みの粗塩を使うのを

忘れていてスーツのポケットにしまい込んで

いたのを思い出した。

「良かったぁ・・・

じゃあ作戦言うから

良く聞いていてなぁ・・・」

冨田君は仲間先生から視線を外さずに

依然木林君が仲間先生を口で挑発する

中、私に作戦を伝えると言いさらに声の

トーンを落とした。

⦅扉シリーズ 第3.5章 ヨシオのターン15 西口真由佳の章11 終わり⦆


プロフィール

千景

Author:千景
私は他の一夜限りの思い出話という官能小説を今も書き続けております。今回はホラー小説扉筆者の冨田さんより扉の官能部分に当てはまるシーンの描写のご依頼があり引き受けた次第でございます。本編のイメージを壊さないよう精一杯書かせて頂きます。

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